表情が読めないこともたくさんある。ではどうする?  表情について考える②

 表情について前回からの続きです。「ふつうで行われている授業などと比較して〈笑顔がたくさんみられる授業〉ならそれで大成功!」大抵の人はそう考えるでしょう。教師だけでなく、たとえば、地域で〈◯◯講座〉などを企画した側の人たちも「今回の企画は前回より参加者の笑顔が見られたから成功だ」という様に判断することもあるでしょう。しかし参加者たちの本物の満足度を得ようと考えたら、そういう判断は甘いと言わざるを得ません。また授業する側、企画する側の自分の本当の力をつけようと思った場合でもそれは同じ、甘いと言わざるをえません。

 たとえば終始、こういう様な表情をしている人がいたらどうでしょう。

 笑うわけでもなく、かといってつまらなさそうな感じには見えません。講座を喜んで受講してくれている、と判断したらよいのでしょうか。

 


 あるいは、こういう表情をした人がいた場合、その人は〈つまらないと感じている〉と判断してよいのでしょうか?

 そういう判断の仕方はお勧めできません。

 私いっきゅうは教師を退職してからも、ここ五年ほどのことで計算しても五万人くらいの人たちに授業や講演をして来ましたから、そういう例示に事欠きません。

 ある講演の場でわたしが話している間、ずっと怒っている様に見える方がいました。私はいろいろなシーンを写真画像的に覚えている方で、私から見て左手三段目の長テーブルの左端に座っていた男性です。

 講演が終了して、主催者側が〈どなたか、いっきゅう先生に質問があったら挙手をおねがいします〉と話した時、手が上がった何人かの人たちの中に、その男性もいました。
 その方が語ったことは「質問ではありませんが」と前置いて「今日の講演はとても勉強になりました。いっきゅう先生の話は、今まで自分にまったく無かった視点で、これからさっそく自分の活動に活かしていきたいと思います」という話でした。

「あ〜、怒ってるんじゃなかったのね」
という気持ちが嬉しさをさらに高めてくれた言葉でした。

 教師をしてきた頃、夏休みが近づいていた時のことです。※このサイトに関わるものについては、個人情報関連で、人物像・状況などについては脚色してあります
 弟妹思いの優しい穏やかな女の子が、暗い表情を続ける日が二日続いたことがありました。
 担任として気になったので、一日目にその子の仲の良い子ども達に聞いても、よく知らないということでした。日記を読んでも特に気になることは書かれていません。
 二日目、やはり暗い表情だったので廊下にその子が出た時に、そっと「何か悩んでいるのかなって気になるんだけど、少しお話していい?」と語りかけてみました。

 場所を変えて聞いてみると〈両親が離婚することになって、自分は母親と出て行くことになった。でもこのクラスが大好きなので、夏休みに入るまでは絶対出ていかないと言い張っている〉という話でした。その時の彼女の気持ちを想うと、今でも目頭が熱くなります。


 「授業はたのしく参加できている?」と聞くと『とってもたのしい!』と笑顔を見せてくれました。
 その子の保護者の方の離婚は教師にどうすることもできませんが、その子がここで過ごす間、もっとたのしい授業ができるようにしようと、さらに力を入れた日々になりました。あの子はどうしているでしょう・・・

 閑話休題(はなしをもどして)

 たのしんでくれているのかどうか、表情から読み取ることは、わたしの様な教育のプロでも難しいのです。

 ではどうするか?

 だからこそ子ども達、参加者に評価してもらうのです。

 たのしい教育研究所では

〈たのしさは?〉
5とてもたのしかった
4たのしかった
3何ともいえない
2つまらなかった
1とてもつまらなかった

 

〈内容はわかりましたか?〉
5よくわかった
4わかった
3何ともいえない
2あまりわからなかった
1ほとんどわからなかった

 

自由感想、意見をお願いします

 

という三段式の評価をお願いしています。
回収率は90パーセント以上で、肯定的評価は、ここ1年でいえばほぼ100パーセント、これまでの五年を越す全体の評価でも98パーセント以上です。

〈教育〉は社会の根幹を形作るとても大切な営みです。
 自分の経験やカンなどに頼って、教育をすすめることはおすすめできません。

 表情はとても大切にしたいことの一つです。
 何度も書いて来た様に、学ぶ笑顔を育てることは、たのしい教育研究所の大切なテーマです。
 しかしたのしい教育研究所では、笑顔を評価のベースに置いているのではありません。
 優しい子ども達は、つまらない授業でも付き合いで笑顔を見せてくれることもあるのです。
 自分たちの教育の営みをもっと高みにもっていきたいとしたら〈参加者の表情を授業の評価の拠り所にしてはいけない〉ということも大切なことです。

 私もやってきましたが、教師をしている時、毎日毎日とはいかなくても、要所要所で評価してもらうことは大事なことです。
 理科を担当している時には、担任の様にしっかりその子たちと付き合うことができず、週に3時間だけということが普通でしたから、1時間ごとの評価をとても大切にして、毎回、上に書いた三段階の授業評価をしてもらっていました。

 全員の子どもたちが〈内容がよくわかった〉と書いていても、それでOKではありません。授業内容の評価テストで平均が90パーセントくらいなくては、よくわかったとは言えません。それが確保されてはじめて、子どもたちの自己評価が妥当なのかがわかります。評価には、そういう多重構造的なものも大切ですが、今回は〈表情〉に視点をあてたので、ここまでにしておきましょう。
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表情について考える① 大人も子どもの様なたのしい笑顔に

 たのしい教育研究所は沖縄市からの要請で〈出前児童館〉として月に5日間、地域の5ヶ所の公民館で〈たのしい教育〉を実施しています。そこでは子ども達が研究所のプログラムを通していろいろな内容をいきいきと賢く学んでいる笑顔をたくさん見ることができます。

 家族のみなさんからも「毎月一度のこの時間を、とてもたのしみにしていて、早くその日にならないかな、となんどもいうんですよ」という話を聞かせてもらうことがあり、研究所のメンバーのたのしさ嬉しさが増しています。

 

 わたしが教師をしていた時のことです。
 どういう授業だったのかは記憶にありませんが、あるお母さんが授業参観の日、嬉しそうにわたしのところに来て
「きゆな先生、うちの子、子どもみたいにたのしそうな表情をして授業を受けているんですね」
と話しかけてくれたことがありました。
 1,2年生の頃はそういう表情を見たこともあったけれど、以来、子どもの様にたのしくしている表情は見なくなっていたという話でした。

 

 〈子どもはたのしそうな表情をするのが当たり前だ〉と思う人も多いかもしれません。しかし、勉強が苦痛だと感じたり、大きな悩みを抱えていると、次第に子どもたちからたのしそうな表情は消えていくものなのです。

 たのしい教育研究所は〈賢くたのしくなる〉がテーマです。必然的に子ども達のたのしそい表情をたくさん見ることができます。

 

 ところで皆さんがみなさんが子どもの様な笑顔になる、それはどういう時でしょう?

 気のおけない仲間たちと語らっている時
 家族と食事している時
 旅をしている時
 ペットと戯れる時
 etc.

 たのしい教育研究所の講座の中では、大人たちも〈学ぶたのしさ〉をたくさん味わって、まるで子どもの様な表情を見せてくれます。

〈大人のほうが子どもより子どもらしい表情を見せてくれる〉様にさえ、感じています。


 子どもの様な表情、それは大人子ども関係なく、自分が本当にたのしいと感じている時に現れるものなのです。

 みなさんのたのしい時間が少しずつ増えていくとよいですね。

 ところで、たのしい教育研究所は教育のプロ集団です。授業を受ける皆さんの〈笑顔〉だけで自分の授業を評価するわけにはいきません。中学生になると笑顔を見せてくれる子ども達は少なくなります。はじめて顔を合わせての授業も多いですから、子ども達の中には、どう対応してよいかわからずにとまどってしまうこともあるでしょう。そういう時にも、たのしさと賢さを生み出せているのか、それは大切なテーマです。   つづく
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自殺者の数の推移-統計的にみることは科学の重要な要素-

 最近、ある管理職の方から職員のメンタルヘルスに関しての相談と講座の要請とがありました。問い合わせてくださった方は、以前の記事を読んでくれて、問い合わせして下さったとのことです。

先生が教室に行くのがたのしくなる それが〈たのしい教育〉です/教師の精神疾患による病休と子ども達の不登校

 

 具体的に書くことはできませんが、いくつかの重要な話をすることはできました。

 わたしが2012年、県立教育センターの講演で、学校管理職の方達向けに話した内容とも絡んで、ちょうどメルマガ会員向けに書いた「たのしい教育の見方・考え方」に書いてあるので、そこからかいつまんで紹介しましょう。

 まず問題から。

問題

 2011年までの10年という流れで見ると「自殺者」の数は増加してきているのでしょうか?

 予想 ア 増加してきている

    イ あまり変化はみられない

    ウ 減少しつつある

 

−−−−−−

警察庁&厚労省の統計によると

 この記事は2012年に書いています。現在入手できる最新の統計は2011年のものです。

 このグラフは警察庁の統計と厚生労働省の統計の両方をグラフ化したものです、ご覧ください。 

 流れを見ると、バブル崩壊の頃、急増した自殺者の数は1998年頃から約15年間、特に増加していないのです。
 もしかすると減少し始めている可能性もあります。

ここまではメルマガから

 今回、公式サイトに書いている現在は〈2018年5月〉です。
  ここで手に入る最新のデータを見ましょう。

 バブルの崩壊後、グッと伸びた自殺者の数は、その後どう推移したでしょうか?

 実は、このまま減少しているのではないかという予想もあって、メルマガには「もしかすると減少し始めている可能性もあります」と書きましたが、みなさんはどう思いますか?

 

問題

1998年から2011年まで自殺者の数は横ばいでした。
その後、どの様に推移しているでしょうか。

予想

 ア.そのまま横ばい

 イ.増え始めた

 ウ.減り始めた

 エ.その他

 

どうしてそう予想しましたか。
あなたの考えを聞かせてください。

 

⬇︎

︎考え中

⬇︎

考え中

⬇︎

 

毎日新聞が今年の一月にこういうグラフを載せています。
web上で見ることができます。

先ほど私が載せたグラフと仕様的な違いはありますから、グラフそのものではなく数字を中心に比較してみてください。

毎日新聞

厚生労働省は19日、2017年の自殺者数(速報値)が8年連続減の2万1140人(前年比757人減)だったと発表した。人口10万人当たりの自殺者数を示す自殺死亡率も16.7で、統計を始めた1978年以降最小。

 

 3万4000人くらい居た自殺者が、現在は2万1000人くらいに減っているのです。

 割合でみれば40パーセント近い減少しています。

 これはとても大きな減少で、どうして日本中の話題にならないのか不思議なくらいです。

〈たのしい教育〉は「生きがいを育てる教育」でもあります。

 生き生きと人生を突き進む、そういう人たちをたくさん育てていきたいと思っています。

 〈科学的にものごとを見ていく〉ことのできる人たちを育てることは、生き生きと人生を突き進むこととは別なことだと考える人もいるかもしれません。しかし、そういう見方や考え方ができる様になることも、明るく元気に生きていくための大切な要素の一つです。この〈いいねライン〉をクリックすることで〈たのしい教育研究所〉への「応援票」が入ります! 

 

論文ワークショップの力-管理職になってからさらに花ひらく

 学校管理職試験も二ヶ月後に迫り〈論文ワークショップ〉も熱をおびて来ています。論文ワークは、本番で狙われるテーマに特化して、関連する法規や基礎知識に関することをおさえていきます。

 たとえば「インクルーシブ教育」の本質は何か?
 実のところはっきり掴んでいない教育関係者はとてもたくさんいます。

 すでにインクルーシブ教育がスタートしているかの様に考えている人たちもいますが、文科省が提示している表題は〈共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進〉です。 

 つまり『インクルーシブ教育システムの構築に向けて特別支援教育の取組をすすめましょう』というわけですから、インクルーシブ教育は道半ばどころか、やっとそこに向かって少しずつ態勢づくりをすすめていきましょうという段階であることがわかると思います。

 インクルーシブ教育はまだまだ〈未来の姿かたち〉なのです。

 そういう教育の骨格を学ぶ中で、管理職として〈先生方の笑顔を育てるため〉にどういうことができるか、という視点もベースにしなくてはいけません。

 論文ワークショップも管理職試験二ヶ月前に迫り、ますます熱を帯びてきています。

 この画像には〈時間が勝負を決める〉と書いたわたしのメモが写っていますが、教員採用試験に向けて学びにくる人たちにも伝えているのですけど〈力はスピードの形〉です。


 どれだけ要点を抑え、実力の伝わる文章を綴ることができても、それに何時間もかけていては、合格することができません。

 構想をまとめ、それをスピードをもって書きまとめる。
   その力は、かなり特訓を重ねていかなくては難しいのです。

 たのしい教育研究所は〈子ども達の学ぶ笑顔、賢さ、たのしさ〉を育てたいという熱意のある方達を支援しています。関心のある皆さんは、お問い合わせください。この〈いいねライン〉をクリックすることで〈たのしい教育研究所〉への「応援票」が入ります!