ゲームで気持ちをときほぐす-ゲームの危険性-たのしいゲームの進め方

 たのしい教育研究所の講演や授業ではゲームを取り入れることがよくあります。
 研究所にはゲームが得意な先生たちがたくさんいます。しかし、得意な人がいるから取り入れるというのは主客転倒です。たのしい教育研究所は、受講者の賢さと笑顔を育てるためにどういう活動を進めるか考えている情熱集団ですから、自分たちがやりやすいからという判断基準はありません。

 これは沖縄市の出前児童館でやっている2人対戦型のゲームの様子です。子ども達がとてももりあがっていることは、周りの子ども達の笑顔からわかると思いますが、セキュリティー上、加工させていただきます。

 

 私いっきゅうは、これまでたくさんの先生たちのスーパーバイズを実施してきましたが、授業の組立としてゲームを提案することがあります。すると中には「ゲームは苦手で・・・」という先生もいます。
 過去に、たのしいはずのゲームを苦痛として受けたことがあるのかもしれません。

 ゲームで悔しい思いをした、ということはあるでしょう。しかし「恥をかいた」という思いを与えるゲームはキケンです。特に教師は、そういったゲームの危険性を心にいれておかなくてはいけません。


 もしも〈ゲームで辛い思いをした〉という方がいたら、その悔しい思いを逆手にとって、たくさんの子ども達にゲーム好きになってもらうということで取り組むとよいなと思っています。
〈ゲームで暖かい気持ちになる〉とか〈ゲームで友達になった〉とか〈ゲームでクラスの雰囲気がよくなった〉とか〈ゲームで自分の才能が目覚めた〉とか、そういう様なゲームを意識していくと、どんどんゲームが好きな子ども達が育っていくでしょう。

 それからもう一つ、これまでゲームをやってみたけれど、子ども達が乗ってこなかったということがあって〈ゲームはどうも苦手です〉という様な気持ちになっている方もいるかと思います。

 ゲームは苦手だという人は、まず一つだけ、子ども達にためしてみてはどうでしょうか。
 準備運動としてのおすすめは〈クイズ〉です。
 準備が特にいらずに、空いた時間でパッとできる上に、子どもたちの盛り上がりを肌で感じることができますね。

 web上にはたくさんのクイズが乗せられています。たとえば、このサイトなどもすぐに活用できると思います⇨ クイズ

 準備運動で楽しみ方を味わい始めたら、今度はいろいろなゲームに挑戦してみましょう。
 RIDE( ライド:たのしい教育研究所 )にはたくさんのゲーム本があります。また〈たのしい教育Cafe〉でもゲームがよく登場しますし、メールマガジンの〈たのしい授業の章〉でも時々取り上げています。気軽にお問い合わせください。

 自分で本を購入してためしてみたいという方は、まずこれをおすすめします。


 目次の一部もごらんください。
 学習内容に繋がるものも載っています。

欲しい方⇨準備いらずのクイック教室&外遊び大集合BOOK

 

 たのしい教育研究所ではオリジナルゲームもたくさん開発しています。
 それは、ゲームがいろいろな可能性を開く窓になるからです。

 ゲームをきっかけにして、たのしく賢くなっていく。
 それもRIDE( ライド:たのしい教育研究所 )の得意とするジャンルです。

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日本人の成人の学力-好奇心が低くなっていくのは日本特有の現象か-読者の方からの質問に答えて(後編)

 日本の子ども達の国際学力テストの得点は世界トップクラスであるのに対して、成人の学力テスト〈世界一位〉だという結果に驚いた皆さんも多かったようです。

 では日本人の成人の好奇心は外国と比べてどの様になっているでしょう。

 日本人成人の知的好奇心は高いと思いますか、低いと思いますか?

 日本版のニューズウィークにこういう統計が掲げられています。同じPIACCの学力テストと調査項目を絡めた統計です。

  PIACCでは〈知的好奇心〉を測る指標として〈新しいことを学ぶのが好きか〉という調査も行っています。

 国立政策研究所の紀要からその結果を拾うことができます⇨こちら
 ご覧ください。

 なんと日本の知的好奇心は参加国中で下から二番目の低さです。

 逆に、学力得点ではふるわなかったアメリカは世界第2位の知的好奇心の高さです。

 この項目のみで結論づけることは乱暴かもしれませんから〈PIACCの尺度によると〉と限定づけて、日本人はいろいろな国々と比較して知的好奇心はとても低いといってよいでしょう。

 読者の方からの質問は「知的好奇心が低下していくのは日本の特性か」というものでした。それを外国と比較する指標は残念ながら入手できません。しかし子どもと大人の行動を比較すれば、大人は知的好奇心が低下していくことは間違いないと言えるでしょう。
 知的好奇心が低下することは避けられないとしても、この日本の知的好奇心の低さは衝撃です。

 日本人の大人たちの知的好奇心はかなり低い、とすると日本人はより一層、知的好奇心を落とさない努力をしていく必要があるでしょう。

 もちろん、知的好奇心を落とさない、逆に高めていくことは〈たのしい教育〉の専門分野です。〈知的好奇心を高める=たのしい教育を進めること〉であると言ってもよいでしょう。その一端は、この公式サイトを隅々まで読むことでも感じていただけると思います。

 実験事実として「研究所に集う先生たちに〈知的好奇心が子どもに勝るとも劣らない人たち〉がたくさんいる」ということも《たのしい教育が知的好奇心を高めることである》という証の一つでしょう。

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日本人の成人の学力-好奇心が低いのは日本特有の現象か-読者の方からの質問に答えて(前編)

 先に〈成長するに従って好奇心が失われていくことを防ぐには〉という話を書きましたが、その続きとして「読者の方からの〈好奇心が失われていくのは日本特有の現象なのか〉という質問についての答えを早く読みたい」というメールも届いています。少し長くなりそうなので前後編に分ける可能性が出て来るかもしれませんが、書き始めましょう、お付き合いください。

 学校に勤めていた頃の話題は子ども達の学力が中心になりますが、RIDE(たのしい教育研究所)を設立して子ども大人関係なく〈たのしい教育〉を広げる活動をはじめると、大人の学力得点データも見ていく様になりました。

 OECDは国際的な学力テストを子どもだけでなく大人にも実施しています。〈国際成人力調査(PIAAC:ピアック)〉といって、16-65歳の成人を対象に、読解力、数的思考力、ITを活用した問題解決能力を調査しています。

日本の子ども達の学力

 子ども達の学力テストの得点については詳しい方も多いと思います。
 低くなったと騒いでいる向きもありますが72の国・地域が参加した中でこういう順位になっています。

2015年の日本の順位
「科学的リテラシー」2位
「数学的リテラシー」5位
「読解力」8位

 読解力が2012年で4位だったところ8位に落ちたことについては、テストの方式が変わったので、単純に前回の順位と比較できないと言われています。

 いずれにしても、日本の子ども達の学力は世界トップクラスです。


 では私たち成人の学力テストの得点の結果はしはどうでしょう?
 以下の国々が参加しているテストです。
 アイルランド、アメリカ、イギリス、イタリア、エストニア、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、韓国、キプロス* 、スウェーデン、スペイン、スロバギア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ロシア*、日本   24か国・地域 ※は国全体ではなく一部

 子ども達の様に世界トップクラスを維持しているでしょうか?
 それとも、子ども達よりも低い得点だったでしょうか。
 予想してみてください。

 

 予想
 ア.子ども達とほぼ同じ
 イ.子ども達より明らかに高い得点
 ウ.子ども達より明らかに低い得点
 エ.その他

 
  どうしてそう予想しましたか?

 

大人・成人の学力得点

これがPIAACの結果です。
数字は得点で( )は順位を表しています。

 表なので少し確認しづらいかもしれませんが、日本人成人の国際学力テストの得点はダントツ1位です。
 これは文科省がまとめた資料です。

⇨こちら

 これだけ圧倒的な得点を示しているということを知っていた人は少ないと思うのですけど、どうでしょうか。

 それにしても、たとえばITで世界トップを走っているアメリカが、読解力16位、数的思考力21位、ITを活用した問題解決能力17位という結果や、他の先進国、たとえばイギリス・フランス・ドイツなどもそれほど振るわない成績であることなどを見ると、〈テストの得点〉が高いことが、その国の力を示すわけでもないことがわかる様な気がします。

 では、いよいよ好奇心についてみて行きましょう。後半に続く。

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日本は明治以来はじめて〈教育〉の〈供給過剰〉に陥った-板倉聖宣2013-このサイトを読んでくださる皆さんがRIDE( たのしい教育研究所 )の大きな支えです

 たのしい教育は〈たのしさというスパイス〉をふりかけることで、子どもたちが少しは勉強してくれるだろう、という様な小手先の手法ではなく、教育を根本的に改革するものとして提唱しています。それは「たのしくてもっと勉強したい」という構造であり、新学習指導要領に謳われた〈自主的・対話的で深い学び〉も「たのしい教育」の元でこそ成立すると考えています。

 現在は、明治期に近代的な教育制度がスタートして以来、新しい時代へ向けて大きな変革が始まっているのです。

 文科省の国立教育研究所でその始動を感じ取っていた板倉聖宣は、仮説実験授業という画期的な教育方法と共に、時代の変化をわたしたち教育者に伝え続けてきました。
 今から五年前、科学技術振興機構(JST)の講演に呼ばれた板倉聖宣は、こういう話をしています。わたしにとっては何度も聞かされてきた内容で、特に新しい話ではありませんが、こういうことを聞いていない方達には刺激ある内容だと思います。紹介させていただきます。


 一番重要な今日的課題は〈日本は明治以来初めて、教育の供給過剰に陥った〉ということでしょう。
 これは余り認識されていないことですが重要な問題です。
 明治以来の歴史の中で、教育だけはなかなか需要が頭打ちにならなかったので、いつまでたっても上級学校がいばっていて、「勉強するまで入学させないよ」という入学試験の差別制度を保ってきました。
 しかし10年近く前、それ以来から、急速に大学院が供給過剰になって、上級学校に行けば行くほど得をするという時代は終わりました。
 そしてみんな勉強しなくなりました。

 明治以来、入学試験を軸にして日本は教育を発展させてきました。入学試験があって初めて日本の教育が成り立っていたのです。
 ところが入学試験が機能しなくなってきた。
 これは見方をかえればチャンスです。

 しかし一部では、いまだに入試で生徒を勉強させようとしている。
 入試がだめならTOEFLというようなことで「受かったら得する試験を課して勉強させる」という構造を維持しようとしています。
 しかしそういう方法は供給過剰のときには機能しないのです。

 日本の教育は〈入試はいけない〉といいながら入試に頼ってやってきました。このことを認めて、かつ、その構造が機能しなくなっていることを認識して新しい方向性を考えないといけないんです。
 しかしそこのところがうまく認識できてないから、今いい加減なことをやっているのではないかと思います。

板倉聖宣2013.7.7
仮説実験授業研究会ニュースより抜粋

 新しい時代は変革の痛みを伴うものですが、〈たのしい教育〉は、ゆっくり着実に〈たのしさ〉という旗幟を掲げて歩いて行きたいと考えています。それは多くの人たちの感動と希望を原動力にして進めていくもので、決して闘いや苦しみの中で進めていくものではありません。
 みなさんの周りの子ども達が〈こういう勉強ならもっとやりたい〉〈もっといろいろなものも学びたい〉と思ってくれる、それは未来の希望以外の何ものでもないでしょう。
 そして、このサイトを毎日読んでくださっているたくさんの皆さんが、その未来の希望を大きく支えていると考えています。
 最近は「こういうものを読みたい」「以前書いたあの話の続きを書いてもらいたい」という様なリクエストもいろいろ届く様になってきました。
 ますます読み応えあるサイトにしていきたいと感がています。
 ご意見、リクエストがありましたら遠慮なくお寄せください!⇨こちら

 毎日たのしく全力投球、RIDE( たのしい教育研究所 )です! この〈いいねライン〉をクリックすることで〈たのしい教育研究所〉への「応援票」が入ります☆いいね☆