〈地球の食卓〉で楽しい社会・楽しい家庭科!/たのしい教育Cafe で 楽しく力を伸ばす教師たち

 今回は〈楽しい社会〉〈楽しい家庭科〉で利用できる教材を紹介します。もちろん家庭でもおすすめです。

 たのしいことが嫌いな人はいません。それが趣味で、遊びで、余暇で、学びで、仕事で行われている場合でも同じです。仕事や学びが〈楽しみ・たのしみ〉として行われているとしたら、どんなにすばらしいことでしょう。
 たのしい教育研究所では月に一度、先生たち・教育関係のみなさん向けに〈たのしい教育Caafe〉を実施しています。これが、趣味としても、遊びとしても、余暇としても、学びとしても、仕事としてもたのしく受け入れられています。

 三月のたのしい教育Cafeの内容の一つをすでに紹介しましたが、もう一つM先生がとりあげてくれた〈地球の食卓〉という本の紹介をしましょう。

 

 「地球の食卓-世界24か国の家族のごはん-」
あの国の人たちは、とんなものを食べているのだろう?
TOTO出版 3,024円

 

 
 M先生がページをめくって紹介するごとに、 見ていた先生たちから驚嘆(きょうたん)やため息が聞こえてきました。

 これはドイツのバルクテハイデ  メランダーさん一家4人の一週間の食卓にのぼる食料品。

 そしてこれはチャド共和国に逃れたスーダンからの難民一家、アブバカルさんたち5人分の一週間分の食料です。

 この違いには衝撃的なインパクトがあります。

 アメリカでは?

 インドでは?

 メキシコでは?

 一週間分の食卓を通して、その国々のいろいろなことが身体に染み混んでくる様な感じがします。

 著者は2人。

メンツェル,ピーター[メンツェル,ピーター][Menzel,Peter]

科学、環境の分野で国際的に活動している報道写真家。『ライフ』、『ナショナル・ジオグラフィック』、『スミソニアン』、『タイム』、『ステルン』、『GEO』、『ニューヨーク・タイムズ』など多数の雑誌に写真を提供しており、ワールド・プレス・フォト賞、ピクチャー・オブ・ザ・イヤー賞を複数回受賞。「地球家族(マテリアルワールド)」シリーズでは企画、監督、主要カメラマンを務めている

ダルージオ,フェイス[ダルージオ,フェイス][D’Aluisio,Faith]
「地球家族(マテリアルワールド)」シリーズの主要ライターを務めるジャーナリスト、編集者。1999年、『Man Eating Bugs:The Art and Science of Eating Insects』の監修執筆により、ジェームズ・バード財団ベストブック賞を受賞。テレビニュースの番組プロデューサー時代に、ラジオ・テレビニュース・ディレクターズ協会賞、テキサス・ヘッドライナー財団賞の受賞歴がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)

 TOTO出版、すばらしい本を届けてくれました。これだけのボリュームの本をこの値段で提供してくれていることにも感動します。

 ちなみに私は同じくTOTO出版の「地球家族」という本を使って授業していました。その家族の家財道具を外に出してもらって、写真を撮っているのです。興味のある方はこの本も手にしてください。

 

 

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文章力と読書/論文の書き方入門/強さと美しさを高める読書

 論文の書き方の記事は毎回強い人気です。新しい年度のいろいろな試験が近づいて、切実に考えている人たちが多いことにもよるのでしょう。たのしい教育研究所の〈論文ワークショップ〉を受講した方はほとんど合格を勝ち取っていますが、たのしい教育研究所は塾ではありません。〈たのしい教育に興味関心の高い方たち〉への支援がメインですので、その場合にはご相談ください。

 さて前回の記事のラストのあたりに書いた「読書によって自分の作文力を高める」という文章に興味を持った方たちから、もっと具体的に聞きたいという反応が届いています。

 もう少し続けましょう。

 読書というのはその名の通り「書を読む」ですから、その内容を読み取るだけで十分充実した活動になるでしょう。かつてのわたしの様な活字中毒の症状を示している方は、本の香りが心を落ち着かせることにもなるでしょう。

 しかし読むことと書くことにはとても大きなギャップがありますから、読むことで自然と文章力が高まるのかどうか、それは大いに疑問です。

 自分の文章力を高めていく読み方が必要なのです。

 わたしの座右の書〈高校国語教科書〉を開いてみましょう。わたしのバッグに入っている〈教育出版 国語総合 改訂版 加藤周一監修 H18〉を開いてみましょう。

  真っ先に出て来るのが〈内山節:うちやま たかし〉の「季節」という随筆です。

 

 この文章は100回以上読んでいると思います。
 web上で内山節という人物の情報を仕入れ、彼の講演なども見ています。
 日本土着の宗教に感化されている人物だということもそこで知りました。わたしは原子論者(本来の科学を拠り所とする者)ですから、そこの部分は切り離すとしても、内山節はかなり魅力的な話をしてくれる人物です。

 

 さて、彼の〈季節〉という随筆:エッセイを読んでみましょう。
 前の部分を書き取ってみます。

 

   季節

内山節

 

 桜の花が咲くと花見にくりだしたくなるのは、どうやら日本人独特の習慣であるらしい。もちろんソメイヨシノは日本の木であるけれど、どこの国にいっても春にはその国を代表する樹々が美しい花をつける。といっても、私がいったことのある国では、花の下で車座になって酒を飲んでいる人々などみたことはない。もっとも古代には日本でも、桜より梅のほうが宴の対象になっていたようだが、梅の季節ではまだ寒くて、昨今のようにひと騒ぎする気にはならなかったに違いない。

 

 全体が心地よく流れる文章ですから、それをまず最後まで味わってみてください。
 一度味わった後、こういう読み方をしてみましょう。
 一つの文章の後ろの部分を指で隠して〈自分ならこう書いたな〉という様に読んでいくのです。

 まず
「桜の花が咲くと花見にくりだしたくなるのは、どうやら日本人独特の-」
で止めてみる。
 みなさんなら、その続きをどう書きますか?

 私ならきっと
「桜の花が咲くと花見にくりだしたくなるのは、どうやら日本人独特の-たのしみ方のようだ」と書き出したと思います。

 あるいは
「桜の花が咲くと花見にくりだしたくなるのは、どうやら日本人独特の-習慣のようだ
 と書いたかもしれません。

 内山節は
「桜の花が策と花見にくりだしたくなるのは、どうやら日本人独特の-習慣であるらしい」
と書きました。

 次のフレーズ
「もちろんソメイヨシノは日本の木であるけれど、どこの国にいっても春にはその国を代表する樹々が-」
で切る。

 さてみなさんならどう続けますか?

「もちろんソメイヨシノは日本の木であるけれど、どこの国にいっても春にはその国を代表する樹々が-あるだろう
でしょうか?

 あるいは
「もちろんソメイヨシノは日本の木であるけれど、どこの国にいっても春にはその国を代表する樹々が-花を咲かせるだろう
 かもしれません。

 内山節は
「もちろんソメイヨシノは日本の木であるけれど、どこの国にいっても春にはその国を代表する樹々が-美しい花をつける
 と書いています。

 「・・・だろう」ではなく「つける」と言い切っているわけです。
 キレがよくて気持ちもよい。

 こんな具合いに、魅力的な文章を書く人の文章を、自分の予想と重ねて味わっていくのです。

 こういう方法はわたし独特の読み方かもしれません。
 この読み方をすると、自分がそれを真似ることはなくても、引き出しが広くなっていきます。

 時々、惚れるくらいのフレーズに出会って、真似したくなることも出て来ます。

 逆に〈自分の言葉がよいな〉という場合も出て来るでしょう。

 

 こうやって読んでいくと、作者の細かい文章の妙に唸ることもあります。

 たとえば内山節は、この文章の前半で〈木〉と書き、後半では〈樹〉と表記しています。
「もちろんソメイヨシノは日本のであるけれど、どこの国にいっても春にはその国を代表する樹々が美しい花をつける」

 これは単なる表記の間違いではないでしょう。
 ソメイヨシノは木で、国を代表するものは樹と書きたかったのか?
 ソメイヨシノも国を代表する木なのですから、その予想も成り立たないでしょう。

 簡単に解決はつかないにしても、この妙は、こうやってじっくり味わっていくことでいろいろなところで目につきます。つまりそれは勉強になるということです。

 時々、自分の予想した言葉と、作者の言葉が同じ様に重なることもあります。もちろん一度読んでいるわけですから、そのせいもあるかもしれません。しかし、嬉しいことです。

 この読み方は、文章の後ろ側だけでなく、その中ごろで切って、どう続けるかという様にもたのしめます。

 読むことによって自分の文章力を高めることができる。
 それは偽りではなく本当のことです。

 お役に立てれば幸いです。

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論文と空手の共通点〈強さ〉そして〈美しさ〉 論文の書き方入門

 今日も研究所に届いた〈論文ワークショップ〉の課題に今朝も手をいれていました。最近は管理職試験を受ける方からの受講申し込みもあり、論文指導の需要が高まっています。

 論文の添削にはかなり集中力が必要になりますが、「どういうところを見ているのですか」という質問がありましたので、そのことについていくつか書いてみようと思います。
 単に目の前の試験、ということではなく一生使う文章の力を高めるという意味で読んでいただけたらと思います。

 わたし いっきゅうは、子どもの頃から空手を学んできました。そのことは身体の隅々に染み込んでいるので、ごく自然に武術家としての発想が出てきます。おもしろいことに、そうやって滲み出てくる言葉は、レクチャーを受ける側にも伝わり易くなっている様です。
 今回は〈空手と論文〉との共通性ということでいくつか書いてみたいと思います。

 論文というのは研究や考えを論じた文章です。
 そこには〈自分のオリジナリティ〉が出て来るのが普通です。

 試験などでは、その問いかけに応じて書き進めなくてはいけません。しかし〈誰でも書きそうな一般論〉を書いていては、選考の際に高い評価は望めませんし、広く受けての側から〈おもしろい〉という評価を得ることは難しいでしょう。
 たとえば研究所に学びに来る教師に伝えていることは〈評論家でなく実践家であれ〉ということです。教師は教育の最前線に立っているのです。そこでは評論力より実践力が重要となります。
 具体的に何をどうしたいのか、それが生き生きと綴られる様になってこそ、問いかけた側も深く読みたくなるのです。
 より実践的であること、それはつまり実践家としての〈強さ〉といってもよいでしょう。

 もう一つ。

 空手は琉球の時代からあったものです。ですから琉球空手という呼び方が普通です。琉球空手は大きく三つに分かれます。現在ある数々の名称の空手流派も源をたどれば〈上地流〉〈剛柔流〉〈小林流〉のいずれかにいき着くでしょう。
 それぞれの流派にそれぞれの〈型・形〉があります。
 審判をするときにはそれぞれの〈型〉の〈美しさ〉を重視します。ちなみに〈組手〉と呼ばれる試合でも〈美しさ〉は重要な判定要素です。

 論文で美しさを強調する人はいませんが、たのしい教育研究所では常に〈美しさ〉を意識した指導をしています。
 〈論の流れ〉が乱れると美しさが損なわれます。
 〈常体・敬体〉の崩れも美しさが損なわれます。
 〈文字〉そのもの、〈漢字・語句〉の間違いもそうです。

 全体を読み、その論文が美しいのかどうか。美しいとしたら、合格論文にもっていくのはあまり時間はかかりません。
 美しさに欠けるとしたら、それは美しさを意識したポイントを指導してもらう必要があると思います。

 語ることでは魅力的なことを発信できる人でも、書くとなるとそうもいかないことが多々あります。
 語ることは日常でどんどんトレーニングしていますが、書くことはさほどトレーニングしていませんから、時間をどれくらいかけるかによる差なのです。

 しかしやみくもに時間をかれればよいというわけではありません。
〈強さ〉と〈美しさ〉それを意識して書いていくことをおすすめします。

 そういうことをコーチしてもらう相手がいない場合には、まず手始めに高校の国語の教科書を手に入れて、それを読むことをお勧めします。
 読んで来たけれど特に自分の文章に影響したという経験はない、という人もいるかもしれませんが、それは「自分が書くとしたら」という意識で読むことがほとんどないからでしょう。
 何度かここでも書いて来ましたが、特に高校の国語の教科書はとてもよくできています。わたしは活字中毒なのですけど、忙しさが重なり、趣味で本をよむゆとりはなくなってきました。それでもわずかに時間が見つかったら、手にするのはもっぱら高校の国語の教科書です。そこには唸るほどの作品がたくさんあります。
 まずその中の随筆や主張系の文章を読んでみることをお勧めします。
 この項がお役に立てたら幸いです。

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〈スイスイくん〉 たのしい教育Cafe3月も盛り上がる

 3月の〈たのしい教育Cafe〉も大いに盛り上がりました。
 これは〈月刊 たのしい授業〉の最新号(2018.3)で紹介された〈不思議物体〉です。
 たのしい教育研究所ではニックネーム的に〈スイスイくん〉と呼んでいます。
 

 

 とても簡単な仕組みなのですけど、みるで氷上をスイスイと滑っていく様にすすんでいって、不思議でたのしいですよ。

 どういうしくみだと思いますか?
 研究所でも教材づくりによく使うものを利用しているので、私は動きをみてすぐにわかりました。
 みなさんも予想してみるといいですよ。

 「これも、次の講座でやりたいね」という声も出てきて、たのしい教育研究所は、伝えたい教材にあふれています。

 他にも新作授業プラン「空気の力」、「ドーナッツNewバージョン」「ワクワク読み語り」「地球の食卓」「ビュンビュンごまの音の研究」などなど、盛り上がってたばかりでした。
 チャンスがあれば一つずつ紹介したいと思います。この〈いいねライン〉をクリックすることで〈たのしい教育研究所〉を応援することができます !