たのしさを元にするともっと深く知りたくなる(理科教育・自由研究)一円玉はなぜ浮くのか?

 今回も理科教育と自由研究に関わる内容を書かせて頂きます。二回ほど前に週一回のメールマガジンの話を紹介しましたが、その後、さっそく反響がありました。その中に「息子にメルマガの内容を紹介すると、とても興味を持ってくれ〈自由研究で予想チャレンジしたい〉と言っています。ところで息子は一円玉が進んでいくことに興味を持ってくれているのですけど、実は私自身が〈そもそも一円玉はなぜ浮いているのか〉がよく分かりません。いっきゅう先生からお話を伺えたらとメールいたしました」という便りがありました。
 親子でたのしんでくれている様子が伝わってきて、ますます嬉しい気持ちです。

 さて「どうして一円玉が水に浮くのか」については、幾つかの学校で授業させて頂いた時にも質問が来て、話をさせてもらったことがあります。シンプルにイメージしていただくと〈水の表面がお互い同士がんばって引き合い、それがビニールの膜(まく)の様な感じとなって一円玉を上にはじいている〉ということです。この水の表面がお互いに手に手をとって引き合う力を〈表面張力〉という言い方で説明することもあります。

 たのしい教育研究所の兄貴的組織〈 ku-ma(子ども・宇宙・未来の会)〉の教材「宇宙の学校/水上のスケーター アメンボの秘密」の中では、こういう様にふれられています。

 〈予想チャレンジ〉はいろいろなたのしさが広がり深まります。いよいよ夏休み、自分のたのしさを広げるとてもよいチャンスです。みなさんの賢さとたのしさを応援します。1日1度のこの「いいね」で〈たのしい教育〉を一緒に広げましょう➡︎ いいね=人気ブログ!=ジャンプ先でもサイトをワンクリックすると尚うれし!

たのしい理科教育と自由研究と雲の魅力/ながめるだけでたのしい自由研究

 理科教育は、たとえば〈進学のために理数系が必要だから〉ということで学ぶというより、〈それを学んだことで自分の人生がより豊かになる〉から学ぶ、というのが本来の姿です。すべからく教育というのはそうです。それが人生を豊かにしないというのなら、教育の本来の姿に立ち戻って新しく構築していく必要があると思います。
 もちろん自由研究も自らのたのしさ感・価値観ですすめるものです。なになに作品展で表彰してもらおう、という様な進め方もあります。しかしそうではなく、子どもも、そしてわたしを含めて大人も、自分の〈楽しさ感〉つまりは〈価値観〉で周りのいろいろなものごとを見つめていくのがおすすめです。またそういう、自分の価値観を元に研究をすすめていった人の中から、よりたくさんの人たちが認めてくれるような研究が生まれるのです。

 今回は私が大好きな〈雲ウォッチング〉に関連して書いてみましょう。
 雲を学んだところで人生の豊かさとは関係がないのではないか、というようにも思えるかもしれませんけど、少しお付き合いください。

 雲は〈太陽の熱〉で暖められた海や大地の〈水・H2O〉が上空に登っていて集まった状態です。〈水滴〉であったり〈氷のつぶ〉の状態になって浮かんでいます。
 上空でそれがどんどん集まって、自分の重さにたえられなくなったら、地球の引力に負けて〈雨〉〈雪〉などとなって地球上に降りて来ます。
 つまり水・H2Oが地表・海面と上空とをぐるぐるめぐっているわけです。

 雲の種類はいくつかに分かれています。
 雲の種類を〈ニックネーム〉で分けるととんでもない数になります。「雲の本」という様なタイトルでいくつも本が出ています。そこには、聞いたことのない様な雲の名前がたくさん出ています。
 それらは科学的な分類ではなく、いろいろな人たちが自分の感性で名づけたものも多く、同じ雲の形でも、いくつかの呼び方があったりします。それはニックネーム的、文学的な雲の名前です。

 理科教育的に整理するには、まず理科年表で整理してくれている〈雲の種類〉を基本にするといいでしょう。国際基準にのっとって10種類に整理されています⇨こちら

まずすべての雲を、そのおよその雲底高度により上層雲中層雲下層雲の 3 つに分類します。さらに上層雲を巻雲 Cirrus )、巻積雲Cirrocumulus )、巻層雲Cirrostratus の 3 種類に、中層雲を高積雲 ( Altocumulus )、高層雲 ( Altostratus )、乱層雲 ( Nimbostratus の 3 種類に、下層雲を層積雲 Stratocumulus )、層雲 Stratus )、積雲 ( Cumulus )、積乱雲 ( Cumulonimbus の 4 種類に分類します。

 

 国際的な基準を一読していただいたところで、下の写真のこの真ん中あたりに写っている雲をみてください。〈積乱雲〉です。

 ある会議に行く時に空にこの雲が見えたので、道端に停めて撮った写真です。

 

  しばらく見つめて、ほれぼれしていました。

  わたしの目には、その積乱雲は、ゴジラのような怪獣が、空に向かって両手を開いて「なんて素晴らしい空だ」とでも叫んでいる様に見えたのです。無理してその様にみているのではなく、そうにしか見えないのです。

 少し体勢は違いますけど、こんな感じのポーズです。

この方が近いかな。

 この雲の写真はわたしの宝物の一枚です。
 そういった宝物になるような写真を自由研究としてまとめることができたら、たとえば
「小学校◯年生の時に、ゴジラの様な雲を見つけてまとめたんだよなぁ〜」という様に、とてもよい思い出にもなると思います。

 こういう雲の写真は、作品展などの表彰からは遠いかもしれませ。けれど、わたしの様に、晴れた空があれば、どこにいても感動できる様になるかもしれません。するとそれは一枚の賞状よりもっともっと大きな一生ものの宝物になると思うのですけど、どうでしょうか。

 また、わたしの様に〈雲が好きで好きでたまらない〉という人の中から、例えば富士山の山頂で雲の研究を熱く続ける、ということにもなると思うのです。そしてそういう人が、これまで解き明かされていない〈雲の秘密〉を解明してくれるようにもなると思うのですけど、どうでしょうか。1日1度のここの「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか➡︎ いいねクリック=人気ブログ!=ジャンプ先でもワンクリックお願いします!

たのしい教育をさらに深く学ぶには/メールマガジン最新号の紹介

 たのしい教育をさらに深く学びたい。沖縄に住んでないので、たのしい教育研究所の講座などを受けることができない。たのしい教育を応援したい、そういうみなさんが毎週手に取ってくれているのがメールマガジン〈教師は辞めても たのしい教育と映画はやめられない〉です。

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 おかげさまで最新の号数で261を数えます。
 第一号から購読している皆さんは、たとえば、Let’s Enjoy the たのしい授業では、家族でたのしんだり、教育関係の方が子ども達に授業したりできる内容を紹介しているので、それだけで261の教材が手に入るわけです。どれも無理せず真似できるものですから、いろいろな皆さんに喜んで頂いています。

 今週の内容を少し切り取ってみましょう。全体のボリュームは、各章ともこの20〜30倍です。

 〈Let’s Enjoy the たのしい教育〉では学期末のちょっとした時間に、子ども達とたのしめる簡単実験をとりあげてあります。

 映画の賞は〈ライフ〉 わたしの好きな俳優二人が初共演ということで注目していた作品です。

 〈たのしい教育の発想法・思想・哲学〉の章では、たのしい教育研究所に、行政に関わる方たちから問合せが届いている「貧困問題」について考えるきっかけとなる内容を書いています。

 年間購読は9600円です。興味のある方はどうぞ! 1日1度のこの「いいね」で〈たのしい教育〉を一緒に広げましょう➡︎ いいね=人気ブログ!=ジャンプ先でもサイトをワンクリックすると尚うれしい!

経済格差とたのしい教育/たのしさで貧困問題を解決する構造について

 「貧困家庭の問題について何かアイディアがありませんか」という相談が来ることがあります。たのしい教育研究所としてのアイディアはいくつもあって、その具体的なお話をさせて頂いているのですけど、それなりに予算がかかることなので、実現に向けては行政内部の本気の取り組みが必要になると思います。今回はその貧困問題について、少しだけですけど、書いてみようと思います。

 私が教師をしている頃から、貧困問題は肌身で感じていました。具体的な話は避けますが、保護者の方からの相談で感じるだけでなく、その数よりはるかに多く〈今月の給食費をどう捻出したらよいだろう〉と困っている方たちがいるのです。個人的に知り合いの行政や議会にいる方たちに〈まず給食費を無料にしましょうよ〉という話をずいぶん以前から繰り返して来ました。やっと最近は、そういうながれをみせて来ている市町村もあって喜んでいます。

 貧困問題というとユニセフのコマーシャルなどにも出ている様にアフリカなどの地域をイメージする人も多いことでしょう。
 日本はどんどん豊かになって来ている感じがあって、「子どもの今月の給食費をどうしたらよいだろうか」と悩んでいる人たちがたくさんいることが不思議に思えるかもしれません。

 貧困家庭と言われていても携帯電話があったり、車があったりと、昔と比較すれば遥かに豊かです。わたしが子どもだった時代には、こんなに車は走っていませんでしたし、冷蔵庫も必要最小限の小さなものでした。子ども達が電話を個人用として持つなんて考えられませんでした。
 この写真は1960年代の庶民の家の写真です。


 その頃の暮らしと比較すると、今、貧困問題がとりざたされていることを不思議に思う人もいると思います。

 何をもって貧困というのか、その定義はいろいろなものがあります。
 その中で、OECDの「世帯人数を考慮した可処分所得(等価可処分所得)が貧困線に満たない世帯に属する人」を〈相対的貧困〉として定義していることが多いようです。つまり、
その社会の中で、その家庭の所得がどのくらいの位置なのか、という相対的な見方なのです。

 計算的には〈全世帯の可処分所得を1人当たりに換算して、その所得額を低い順から並べ、中央値の半分に満たない人がどれいくらいいるのか〉で数値化します。
 数年前のデータで説明する資料しか手元にないのですけど、厚生労働者の国民生活基礎調査(2012年)を元にすると、122万円を下回る水準が〈相対的貧困〉です。

 計算すると、わたし達の日本では、〈相対的貧困〉の割合は16.1%
 6人に1人が相対的貧困にあえいでいる状況だということになります。

 先進国クラブとされるOECD加盟国35ケ国で、最も相対的貧困率が低い国はアイスランドです。〈相対的貧困〉の割合は4.6%に過ぎません。
 韓国は14.6%、日本より相対的貧困率は低いのです。
 ギリシャの15.1%よりも日本の貧困率が上回っています。

 日本の貧困率は
 イスラエル18.6%
 アメリカ17.2%
 トルコ17.2%などと並んで高水準です。⇒ 参考

 つまり日本では〈6人に一人が年間所得122万円以下の家庭に所属する〉ということが貧困問題の数量的データです。

 では、その貧困問題にどのように取り組んでいけばよいのでしょう。

 〈ベーシック・インカム〉つまり〈年齢・性別等に関係なく一律に現金を給付する仕組み〉を検討することなど、政治の力で取り組むことはたくさんあるでしょう。
 しかし、たのしい教育研究所は〈教育〉のエキスパート集団です。政治システムよりも根本的に解決するのが〈教育〉であると考えています。

 話を簡略化してみましょう。

 〈教育〉という重要な視点で〈貧困問題〉に対する取り組みを整理すると

A.子ども達がもっと学びたいと感じてくれる様な教育を提供するシステム
B.もっと学びたいという子ども達が〈進学〉で差別されることのないシステム
C.賢く学んだ人たちがその才能を活かす仕事につくことができるシステム
D.人生のいろいろな場面で〈学び直したい〉と感じた時に〈たのしい教育〉を提供できるシステム

の4つを構築することが重要であると考えています。

 Aが何よりも根幹となり、BそしてCDの順に展開し、それらが循環していく社会ができた時、〈貧困問題〉を含めて他のいろいろな問題を解決できる様になっていくでしょう。

 A.子ども達がもっと学びたいと感じていくれる様な教育を提供するシステム
を抜きにしては、BCDは本質的には機能しません。
 本人は特に学びたいという意思がないのに、世間体や周りが進学するから自分も進学するということでは、社会の問題を解決できる様な学びには繋がりません。そういう学びは高く見積もっても〈現状を理解する〉くらいの学びとなり、新しい社会を切り開くようなものとはならないでしょう。
 その意味で〈学ぶことがたのしい・もっとこういう授業を受けたい・この世界の謎を知りたい・解いてみたい〉という様な子ども達を育てることは、とても重要なことだと思っています。

 先日の〈グッジョブフェアー〉でも、そういう感想をたくさんもらうことができました。
 この写真は最近作成した「たのしい建築学入門」の問題の一つにグループでチャレンジしているところです。
 単におあそびをしている様に見えるかもしれませんが、〈基礎部分〉と〈主要構造部分〉という建築の重要なベースとなるものを学んでもらっています。

 はじめは行儀よく座っていたり、この子は友達と遊ぶ予定があったのに〈保護者の方に「行こう」と言われて参加したのかも〉 という様な座り方をしている子たちもいたのですけど、どんどん前のめりになって行きました。 
 姿勢自体がみるみる前のめりになっていき、そろそろ次のプログラムにすすみましょう、と言ってもなかなか耳に届いていないほどでした。
 この写真の手前の子ども達だけでなく、その後ろ側にいる子ども達の姿勢も御覧ください。

 そうやって〈学ぶ事が好き〉になって来た子ども達が、さらに上級の学校に行きたいとなって来た、それがBです。
 その時「本当にその子が学ぶ熱意を持っているのか否か」それは、担任の先生が書く調書を工夫することと、たのしい教育研究所のわたし達に面談をさせていただければ、かなりの確率で見分けることができます。
 今は特に進学する気がないという子ども達でも人生のある時に〈また学びたい〉と感じることもあるでしょう。それは仕事上の場合もあれば、子どもの頃学んだあのたのしさをもう一度味わいたいという場合もあるでしょう。
 それがDです。
 ABで学んだ子ども達は、その力を発揮できる職場で思う存分活躍してもらいたい、それがCです。

 たのしい教育研究所は、BCDつまり
B.もっと学びたいという子ども達が〈進学〉で差別されることのないシステム
C.賢く学んだ人たちがその才能を活かす仕事につくことができるシステム
D.人生のいろいろな場面で〈学び直したい〉と感じた時に〈たのしい教育〉を提供できるシステム
の根幹となる重要な「A」そして「D」の専門チームです。
 ADがあってこそBCがいきるのです。

 それらを構築する具体的アイディアは、本気で取組みたいという有志と感じた時にお話できると思います。

 行政にいる皆さん、議会で活躍している皆さんが、その重要性を感じてくれるためにも、読者の皆さんがいろいろな処で「たのしい教育をもっと受けたい」と声を上げてくださればよいのにと思っています。
 社会が進歩していくには時間がかかります。
 しかし〈たのしい教育研究所〉はその進歩を確かに感じながら、元気に活躍しています。
 みなさんの応援をたのしみにしています。1日1度のこの「いいね」で〈たのしい教育〉を一緒に広げましょう➡︎ いいね=人気ブログ!=ジャンプ先でもサイトをワンクリックすると尚うれし!</a</p