どんぐりゴマ 小学校低学年の授業(ドングリごま)

 たのしい教育研究所に学びに来ているN先生から「1年生でどんぐゴマを作ってたのしみました」という写真・動画入りのメールが届きました。子どもたちがとても喜んでいる様子が分かります。

 どんぐり(マテバシイ)とツマヨウジで作ったドングリごまが気持ちよく回っています。

 授業の準備や流れを確認してみました。
 作り方の写真を加えてまとめてみましょう。

0)準備 ドングリ(今回はマテバシイ)/キリ/ツマヨウジ/木工用ボンド

1)家にあるドングリを一個ずつ持ってきてもらう。無い子ども達の分は教師が準備する

2)教師の作業
 授業前日に教師がドングリにキリで穴をあけておく。穴の深さは半分を越す程度。
 学年によっては自分たちで開けるという選択肢もあるでしょう。家族でたのしむなら、親子一緒に協力して開けるとよいでしょう ※キリの太さはツマヨウジと同じくらいの大きさ

2)子ども達の作業
 ツマヨウジを半分に折って使います。
 〈木工用ボンド〉をつけてから、ドングリの穴に差し込みます。
 1の作業の穴の太さにもよりますが、キツキツの状態ならすぐに回して遊ぶことができます。
 ※穴がツマヨウジより太い場合には木工用ボンドが乾いてしっかり接着するまで半日くらい置く必要があります

3)友だちとドングリごま回し競争!
 二人で競争したり、三人四人と人数を増やしてたのしみましょう。
 先生が審判をして、チャンピオンを決めるのも盛り上がります

ということで、みなさんもたのしんでみませんか。たくさんの人たちの〈学ぶ笑顔〉を育てる活動に賛同してくださる方は、このリンクをクリックすることで活動を後押しできます

 

ディベートの本から(英語)Discover Debate.から

 最近メルマガに〈モラルジレンマ〉の授業について紹介したところ、若い先生たちからいくつも反応が返ってきました。今までの道徳の授業の様に「これが正しい」という〈価値観を伝える時間〉としての道徳ではなく、オープンエンド(終わりが開かれた状態)の授業としての道徳に興味が湧いているようです。
 たのしい教育の中では必然的に討論が起こりやすくなります。
 モラルジレンマの授業でもたのしく実施していくことができれば討論が起こります。

 ところで欧米諸国では〈ディベート/討論〉の授業が重視されていて、それを日本の教育にも導入しようという流れができたのが私が大学に入ったころでした。
 友人の一人がディベートの教材化をテーマに研究していたので、なぜか私もその研究に付き合うことになりました。
 その後も気になっていたので、いろいろ資料を集めていたのですけど、その一冊に Discover Debate.というA4サイズのペーパーバックがあります。
 英語の本です。
 Discover.は〈発見〉と訳されるのが普通かもしれませんけど、語源的なイメージからいうと〈覆われているカバーを外して中を明らかにする〉という単語です。ですから〈ディベート について見ていこう〉という様な本です。

 

 中にはディベートの授業に使えるテーマがいろいろ出てきます。

 ニューヨークは田舎よりいいんだって言われているんだけど、キミはどう考えるだろう。
 賛成かな、反対かな?  

 ニューヨークという固有名詞は子どもたちになじみがないと思いますから、〈田舎と都会〉というテーマで意見を出し合っていくとよいでしょう。

 こういうテーマもあります。

ネコはペットとして犬よりよいよね。
 さぁ、キミはその意見に賛成?
 賛成だとしたらどうして?

 

 子ども達がこういうテーマで議論・討論していくうちに、ディベートの力が高まっていくことになるそうです。

 ディベートに関しては疑問がいろいろあるのでそれ自体を教材化したことはありませんが、皆の前で意見を出すことが苦手な子ども達に〈たのしく語ろう〉というテーマで授業したことがあります。とても盛り上がって、その後の授業にもかなりプラスの影響が出ました。次回のメルマガで紹介したいと思います。たくさんの人たちの〈学ぶ笑顔〉を育てる活動に賛同してくださる方は、このリンクをクリックすることで活動を後押しできます

教訓茶碗というすぐれものの教材/たのしい教育メールマガジン最新号から

 たのしい教育をもっと深く学びたくなったらまずこれから〈たのしい教育メールマガジン〉の最新号は「モラルジレンマ」「映画 ドリーム」「板倉聖宣 宗教と科学の対立をなくす組織がフリーメイソン」がメイン記事です。今回は〈たのしい教育の日々〉で紹介した〈教訓茶碗〉を紹介しましょう。沖縄みやげとして買っていく人もいますから、ご存知の方もいると思います。

 

 これが教訓茶碗です。普通の器と違って器の真ん中に龍柱が立っています。

 飲み物を入れて8割程なら普通の茶碗として利用できます。ゆすっても斜めにしても特に変化はありません。しかしそれを超えて多く注ぐと、茶碗の下に空いている穴から流れ出ていってしまいます。
 8割を超えた分が流れ出ていくわけではありません。
 中身がほとんど流れ出ていってしまいます。
〈ほどほどが良い〉という教訓を教える茶碗ということで教訓茶碗と呼ばれているわけです。
 

 

 

 ところで、たのしい教育研究所の兄貴分の組織があります。
 私の師、日本の宇宙教育最大の功労者 的川泰宣が創設した「非営利活動法人 ku-ma(クーマ:子ども未来宇宙の会)」です。的川先生は〈たのしい教育研究所〉の筆頭の応援団です。

 Ku-maは今年、会長が並木道義さんにかわりました。並木さんは的川先生と同じく、たのしい教育研究所を強く応援してくれています。
 その並木さんから「きゆなさん、今度〈宇宙の学校〉で沖縄に行くんだけど会えない?」と連絡が入りました。
 今週、並木さんたちのメンバーと一緒にたのしいひと時を過ごし、〈たのしい教育研究所〉から
会長就任の祝いとして、冒頭に紹介した《教訓茶碗》をプレゼントしました。
 並木さんはとても喜んでくれて、さっそくプレゼントの箱を開けて、泡盛を注いで呑んでくれました。
 この写真に写っているのがそれです。

 

 この茶碗はたのしい教材としてもおすすめです。

 webを見ると〈サイフォンの原理〉を扱う教材として紹介されています。しかしサイフォンの原理という特別な言い方ではなく「流れる道を作ってあげれば、液体は自然に高いところから低いところへ流れていく」という現象を、たのしく味わえるのが〈教訓茶碗〉です。

 言葉の問題というのはとても重要です。
 〈ピタゴラスの定理〉というよりも《三平方の定理》がずっと名が体を表しています。それと同じ様に、〈サイフォンの原理〉より《流れる道に液体が満ちれば、その液体は高きから低きに流れる》というごく自然の現象としてとらえなおすとよいと思っています。
 教訓茶碗をそういう親しみやすい科学の原理として教材化していきたいと思っています。ものづくり教材もありますから、興味のある方は研究所の授業スーパーバイズを申し込んでください。たくさんの人たちの〈学ぶ笑顔〉を育てる活動に賛同してくださる方は、このリンクをクリックすることで活動を後押しできます

ダーウィンの生涯を描いた絵本〈生命の樹〉

 チャールズ・ダーウィンの名前を聞いたことがないという人は少ないと思います。今回はダーウィンの生涯を描いた絵本を紹介させていただきます。
 本の紹介や書評はインターネット上にたくさんあるのにも関わらず、たのしい教育研究所には〈もっといろいろな本を紹介して欲しいです〉という要望が届きます。ある時、要望を届けてくれた方に、その疑問を投げてみると
「たのしい教育という視点で選ばれた本だからです」
という趣旨の言葉が戻ってきました。
 たのしい教育の専門家が選ぶということが興味深い様です。そしてうれしいことに、たくさんの方たちが紹介した本を図書館で借りたり、書店で購入したりしてくれています。
 確かに今回紹介する〈生命の樹〉も、個人的に好きだからというより、いろいろな人たちにダーウィンの一生を見てもらいたいと感じたからです。そしてこの本を読むと、私の様に、ここに描かれていない部分も気になってくるかもしれません。それは後半にまとめることになると思います。

 チャールズ・ダーウィンは〈進化論〉を提唱した人物です。

チャールズ・ダーウィン wikipedia

 人間も他の生き物も全て神様が作ったと教えられていたキリスト教の世界観に対して「生き物は〈自然選択〉によって進化して来たのだ」という科学的な理論を提唱しました。

 その〈進化論〉は、その後の人々の〈ものの見方・考え方〉を大きくかえることとなった重要な発見でした。今では〈原子論〉や〈地動説〉の様に、科学の根幹を支える1つとして重要な位置をしめています。

徳間書店 生命の樹 1700円+税

 これが絵本〈生命の樹〉です。
 

 ダーウィンの生まれた国、幼い頃の様子、家族や周りの人たちの様子など、いろいろなことが描きこまれています。
 作者の言葉だけでなくダーウィンが著書や手紙などに書いて来た文章も添えてくれているので説得力もあります。翻訳した方が、あまりうまくないので、そこのところは残念ですが…

 ダーウィンは研究の成果だけでなく、自らの研究にとても誠実に取り組んで来た人物なのだなと思います。ダーウィンのこういう文章が載っています。

 私は事実を観察し、あつめることに、せいいっぱい勤勉にとりくんできた。さらに重要なことは、自然科学への愛情がつねに変わらず、熱烈なものであったことだろう…
 わたしは、若い頃から、観察したものはなんでも理解し、説明したい、つまり、すべての事実を何らかの法則によってまとめたいという、非常に強い願望があった。

チャールズ・ダーウィン

 〈生命の樹〉という本書のタイトルは、この本のために作られた言葉ではありません。ダーウィンが進化論を構想するにあたって、I think と始まるこういうメモがあって、そこに樹形図の様な図が描かれています。それが〈生命の樹/Tree of life.〉と呼ばれています。

Tree of life./生命の樹 チャールズ・ダーウィンのメモ wikipedia

 

 ところで、この絵本でダーウィンの生涯を眺めたところで、わたしには湧き上がってくる疑問があります

 ダーウィンはキリスト教信者ではなかったのか?
 という疑問です。

 みなさんはどう思いますか?

 イギリスで生まれ育ったダーウィンはクリスチャンの家庭で育ち、自らもキリスト教を信仰していました。そして彼が結婚相手に選んだエマはとても信仰熱い人物でした。
 そのダーウィンが聖書に書かれている事を否定することになる発見を広めていくことに疑問を持たなかったのか?
 あるいは進化論を唱える頃のダーウィンはキリスト教の信者であることを辞めたのか?

 みなさんはどう思いますか?

 わたしが常々疑問に感じている部分です。

 いろいろなメールを頂けたら、その皆さんの興味関心を糧にして、少し調べてこの続きとして書いてみようと思っています。皆さんの予想などを送っていただけたら幸いです。たくさんの人たちの〈学ぶ笑顔〉を育てる活動に賛同してくださる方は、このリンクをクリックすることで活動を後押しできます