デザート・ローズ=さばくのバラ

今回の出張で入手したものはたくさんあります。
まずその中で
「デザート・ローズ」= Desert Rose = 砂漠(さばく)のバラ
を紹介します。
バラのデザート」という食べものではなく、この場合のデザートは砂漠を意味するDesert です。

わたしは大の「石好き」で「石コレクター」です。「パワーストーン」とかいうものの力を一切信じていませんが、ストーンそのものは大好きです。

ずいぶん前に名護市の小さな小学校で勤めていた時に、今でも忘れない「久志(くし)くん」という元気で賢い男の子の担任をしていました。

その子のお父さんは土木の専門家で、以前、サハラ砂漠で建設の仕事をしていたという人物です。私が石好きだということを 久志くんが父親に伝え、そのお父さんからプレゼントしてもらったのが「デザート・ローズ」でした。

砂漠の砂が結晶化してバラの様な形になっているのです。

ところがその大切な石が、転勤作業の中で、失われてしまったのです・・・

わたしの荷物はとてもたくさんあって、学校を引っ越す時に、たくさんの子ども達や先生方が手伝ってくれます。
作業の時には大抵
「これは次の学校に持って行く」
「これはごみ捨て場に捨ててね」
「これは備品室に持って行ってね」
「これはもらってよいです」
という様に、幾つかのグループに分けて、何百もの箱にいろいろなものを詰め込んでおいておくのですけど、そういう作業をいろいろな学校で繰り返しているうちに、大切なデザート・ローズが迷子になってしまったのです。
全てわたしの責任・・・(・ω・

今回の出張で、偶然、デザート・ローズを見つけました。

久志くんのお父さんからもらったものと葉の部分の鋭さが弱いのと、大きさ的にずいぶん小さいのですけど、それでもまた手にすることができました。

これです。
デザート・ローズ全長5cm程度。

ご希望の方は、研究所でご覧ください。

どうして砂漠の砂で、こういうものができるのでしょう?

興味のある方はぜひ自分で調べてみてくださいね。

たのしいものがいっぱいの「たのしい教育研究所」です。

ウェルカム・スペース=たのしい教育研究所

県外出張から戻って夜、研究所に着くと、ウェルカム・スペースでひまわりと、シクラメンだろうか、迎えてくれました。

ホッとする場所です。

来週の講座「たのしく伸びようよ 夏!」もたくさんの申し込みが来て、現在キャンセル待ちの調整中とのことです。

わたしも「たのしいドライアイスの科学」の教材作りに取りかかっています。

ウェルカム・スペース

たのしい日々を元気にすごす
「たのしい教育研究所」です。

自由研究につながる科学のお話(中高生向け)「蝶からガンの薬をつくる」後半

「蝶からガンの薬をつくる」の後半です。
前回のお話を読んでいない方は、1つもどってお読みください。

 青虫からとった液を直接胃がんの細胞にかけてみると、どういうことが起こったか?

杉村さんの言葉をそのまま載せてみます。

驚いたことに、6時間くらいで核が縮んで細胞が死んでしまった。増殖していた胃がん細胞にアポトーシスが起きたんだ。

サナギから取り出した成分を人間のがん細胞に入れてみると、がん細胞が死んでしま
ったのです。

それにしても、幼虫の体から取り出した体液をそのままがん細胞にかけてみたというのですから、大胆な実験です。

そういう、あるいみ乱暴とも言える実験をしたところ、サナギの中での細胞を殺す作用は、人間のがん細胞を殺す効果もあった、ということがわかったわけです。

その後、精密な研究を積み重ねて、「ピエリシン」という薬の発見につながりました。

蝶からガン治療薬b

 

蝶からガン治療薬

杉村さんたちの研究は、まだまだ続いています。

杉村隆

杉村さん本人が書いた内容を読みたい人も多いと思いますのでサイトを載せておきます➡︎ こちら

 

 

自由研究につながる科学のお話(中高生向け)「蝶からガンの薬をつくる」前半

蝶の幼虫からガンの薬を作っている、という話をすると、それはいかにも怪しげな薬だろうと思うかもしれません。

蝶からガンの治療薬

しかしけっこう信頼性のある研究なのですよ。
そして私が好きなエピソードの一つです。

夏休みに入って、このサイトを読む小・中学生が増えてきましたので紹介させていただきます。

「完全変態(かんぜん へんたい)」という言葉を聞いたことがありますか?
英語では「メタモルフォーシス」といいます。

「チョウやセミ、カマキリは完全変態なのか不完全変態なのか」
という様に、学校の先生になるための試験にも出題されることがあります。

チョウやアリ、カブトムシなどは完全変態します。その仕組みは、とても不思議な現象の一つです。

地をゆっくりはって動くアオムシが「サナギ」となり、空中を舞うチョウにかわるのですから、驚きです。いったい、あの青虫の中のどこに、チョウの羽の部分がかくれていたのでしょう?

わたしも子どもの頃、とても不思議に思って観察した一人です。

完全変態の仕組みは多くの昆虫たちがとった生きるための方法ですが、科学者たちは今も、サナギの中で何がどう変化しているのか、とても興味をもって研究しを続けています。

サナギの時は体の中がドロドロのクリーム状になっているという話を聞いたことがある人もいるかもしれません。最近のマイクロCTというスキャン技術で、昆虫たちの体を解剖せずに調べることができる様になり、かなり詳しいことがわかってきました。これがそのマイクロCTによるスキャン画像です。

蝶からガンの薬

蝶からガンの薬b サナギの時、完全変態の段階で、成虫になるために必要のない部分を殺してしまいます。そしてチョウという新しい体に必要なものを作り出しているのです。

細胞が自らを殺していまう働きをアポトーシスといいますが、サナギの中でそれがどんどん起こっているのです。

これを〈ガン治療〉に使えないかと考えた科学者が、ガンの研究者であり、同時にチョウが大好きだった杉村隆さんでした。

杉村さんはこう考えました。

「チョウは、完全変態、つまり幼虫とサナギと成虫の間でまったく形が変わる。これだけの変化をするには細胞が入れかわるわけで、そのためには細胞が死ななければならないはずだ。そこで、アオムシの中に、この細胞は殺し、この細胞は殺さないという調節機構があるに違いない」

杉村さんはこういう実験をしてみました。

幼虫の尻尾を切ると0.1ccほどの青い液体が出てきた。この中に調節のための物質があるだろうと思い、数匹分を遠心分離器にかけたら透明になった。この液体を培養していた胃がんの細胞にちょっと落としてみたのです。

さて、どうなったと思いますか?

予想
ア.がん細胞が死んだ
イ.特に変化はなかった
ウ.がん細胞が増えてしまった

どうしてそう思いましたか?

後半につづく