2018年も実り多い年になりました、みなさんの応援に心から感謝いたします

 RIDE( ライド:たのしい教育研究所 )は今年もたのしい教育でたくさんの笑顔と賢さ広げることができました。サイトに掲載してきたのはRIDEの活動の一部ですけど、その写真を見ても何年分もの活動をしている感じがします。
 わずか一ヶ月ほど前の活動が何ヶ月も前のことの様にも感じるのは、RIDEの活動の密度がかなり高いからに違いありません。

 今年も何千人ものみなさんにたのしい教育を実施することができました。年を経るごとにそれが濃くなっているのを実感しています。

 サイトのいくつかから写真をひろって今年の活動を少しだけ振り返ってみたいと思います。

 

      

          

     

 たのしい教育を味わう子ども達だけでなく、それを学ぶ教育関係者、保護者も増えました。このサイトの読者の皆さんの応援も重なって、全国レベルのサイト評価ランキングもグンと上昇しました。

 社会には問題が山積していますし、未来を悲観する人たちはたくさんいます。そういう方たちにも「〈たのしい教育〉が未来を明るく照らす」ことを感じてもらえる様に、これからも仲間と笑顔で活動していきたいと考えています。

 これからも愛読と応援をよろしくお願いいたします。

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実体としての読書のたのしみ方〈書籍:インタヴュー 第一巻〉アル・カポネのインタヴューから

 デジタルデータ化して読む文章も実体ある本を手にして読む文章も〈情報〉という意味では同じです。ところが書物という物体を手にページをめくりながら読む文章は独特の快感があります。

 ずいぶん久しぶりに趣味としての読書をしています。
 手にしているのは文芸春秋社1998年刊「インタヴューズ Ⅰ マルクスからヒトラーまで」、歴史の教科書などで目にする様な有名な人物たちへの実際のインタヴューを集めた本です。

 2巻セットで合わせると1000ページ近く、積むと目薬の二倍くらいの厚みになります。こういう分厚いものを初めから読んでいくのもよいのでしょうけど、パッと開いたところの人物から読むというのもありです。

 そういう読み方、それから特に記しておきたいページなどを考えて、大抵は初めの折り込み部にこうやって付箋紙を数枚束ねて挟み込んでおくことがほとんどです。よければ真似てください。

 ということで開いたところが〈アル・カポネ〉のインタヴュー。

 アル・カポネ、ご存知でしょうか?
 禁酒法時代に暗躍したギャングのボスです。
 映画バカの私が何度も観ている作品「アンタッチャブル」の主要人物です。
 さらに私のライフワークの一つ仮説実験授業の「禁酒法と民主主義」という授業書にも登場します。

 その中で知っているつもりだったアル・カポネの人となりが、このインタヴュー記事で生き生きと染み込んできました。
 まさに快感です。

 このインタヴュー記事はカポネが脱税で裁判にかけられ刑務所に入れられる少し前(同年1931年)に語ったものです。
 初めて知ったことの強いインパクトに思わず読むのをとめてしまったくらいです。
 

 カポネは「FBI長官エドガー・フーバーが酒類のアルコール含有量をあげる法律を提案するだろう」と語っています。
 ということは〈禁酒法〉といいつつも、低濃度のアルコール飲料は禁止されていなかったということです。
 禁酒法については前出の仮説実験授業「禁酒法と民主主義」を何度も授業にかけてきたるので、普通の人たちより詳しいはずの私ですけど、そのことは知らなかったな。

さらに驚いたのは
「フーバーは禁酒法を〈高貴な実験〉と呼んでいること、そのうちに皆、その実験すら我慢できなくなる」と語っている部分です。
「社会的な取り組みを実験とみる」という指定は私の師 板倉聖宣のオリジナルだと思っていたからです。
 すでに80年前からフーバーやカポネが「社会的な取り組みを実験とする見方」を持っていたわけです。つまりは、もっと前に、そういう見方・考え方があった可能性が高いと言えます。

 推理小説よりもっとずっとワクワクどきどきしながら読み進めていくと、となりには〈アドルフ・ヒトラー〉のインタヴューがありました。まだまだ快感は続きます。

 確かにそうです。
 現実の人間に恋するのではなくマンガの中の登場人物に恋をするという人たちもいますから、私が実体としての本に感じた快感は仮想データの中でも感じられないことは無いでしょう。

 書物という実体自体、情報を書きつけたものですから、本人が生の声で語ってくれたものと比較するとリアル感は格段に落ちます。書物は仮想データより何歩か現実に近いものであるくらいだとも言えるでしょう。

 しかし刻まれた情報は、本人が肉声で語るよりもっと深く伝えてくれるものがあります。いつでも何処でも味わうことができ、自分の理解のスピードで味わい、何度でもリピートできます。

 本人の語りとバーチャルとの間にあるもの、それが実体としての書物なのでしょう。

 そして、その書物の重みを手で味わい、線を引き、時に文字の上に自分の思いを書きつける中で、より深くたのしく読み進めていくことができるというのも事実です。

 少し長くなりました。

 また機会があれば〈実体としての読書のたのしみ〉について書きたいと思います。

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実体としての〈書物〉と仮想としての〈デジタルデータ〉

 年の瀬が近づいて、ずいぶん久しぶりに書物を開く時間ができました。手にしているのはインタヴューズというどっしりした二巻本です。以前買ってあったのですけど、学校を転勤していくうちにどこかに紛れてしまい、最近古本屋さんで手に入れました。
 以前買った時は定価で買ったので一冊〈3333円+税〉だったのですけど、今回は古本屋さんで入手した時には、ほぼ新本なのに一冊〈180円+税〉でした。複雑な想いを抱きながらも、どっちに転んでもシメタの一つです。

 ところで「書物」という言葉は、デジタル社会への変動の今、重みのある名前をつけていたものだと思います。
 「書という〈物体〉」だという意味だからです。

 それに対してデジタルデータは〈物体〉ではありません。
 実態ではなく情報空間の中だけに存在するという意味で仮想のデータです。

 例えばたのしい教育研究所(RIDE)が蓄積してきた膨大な評価・感想シートは基本的に全てデジタル化し、紙媒体は処分することにしているので、それらは仮想空間の中にしか存在しません。

 もちろんデジタルでも文章を読む事ができますし、それられを電子データ上で分析する事も可能ですから、情報としては劣ることはありません。
 それどころかOCR処理(文書認識処理)すれば電子検索することができる様になりますから、実体の本の文字を検索する時間と比較すれば、新幹線と徒歩ほどの違いになるでしょう。

 ところがやはり実体としての本を手に読むことは快感が高まります。理解度も高くなっています。
 生まれた頃からデジタルデータでの文章しか知らない子ども達が出てくると、逆に実体としての文章を読むことが難しくなるでしょうから、これは歴史の流れの宿命でしょう。


 いずれ〈紙媒体=実体としての書〉は消える時が来ると言われています。
 わたしは〈植物由来ではないメディア〉たとえば食品用ラップ樹脂の様な物体に文字情報を印字していく様にして〈実体書類〉は続いていくと予想しているのですけど、現時点で実体としての書類・本は激減しています。

 すでに一年前にこういう記事が出ています。

日本経済新聞 2017/12/25 11:48

 出版科学研究所(東京)の調査で、書籍と雑誌を合わせた今年の紙の出版物推定販売金額は約1兆3700億円となり、市場規模はピークだった1996年の約52%まで縮小する見通しであることが25日分かった。

 そういう中にあって、実体としての本を手に読む価値をさらに感じています。
 また、実体としての本を読むたのしさを味わう人を増やしていけたらと思っています。

 みなさんの好きな本は何でしょう。
 このサイトには、オススメの本の紹介もありますから、ぜひ記事をたどってみてください。そして可能なら実体としての本を手に入れて読んでみることをおすすめします。

 今回わたしが読んだ「インタヴュー」は歴史上の人物たちに直接質問したものを集めた貴重な本です。
 次回、わたしがわくわくしながら読んだ内容を紹介させていただきます。

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日常の研究/ア~ルの〈予想チャレンジ〉による動きの進化の研究

 研究所のウェルカム担当ア~ルは、毎日たのしく過ごしています。そしてア~ルのおかげでいろいろなたのしみも生まれています。ア~ルと遊んでいるうちに、ある予想が出てきて実験を続けているとハッキリとした行動の進化をみることができました。日々の暮らしをたのしむにも〈予想チャレンジ〉です。
 今回はその話をさせてください。
 たのしい教育研究所(RIDE)はどんどん広がって、現在第3研究所まであります。
 第一研究所でのア~ルは2Fにあがる階段の上から手を出して、階段を歩く人と遊ぶのが好きです。

 こんな感じで、手をポンポンと伸ばしてきます。

 手だけでなく甘噛みして遊ぼうとするので、私とパンチゲームで遊ぶことになります。

 柵にこうやって手を置いていると、じっとみつめてから・・・

ポンととびついてきます。

 しばらくその遊びを続けて後、フェイントぎみの動きに移ります。
 飛びついて来た途端、パッと手を柵の下に回してア~ルのお腹をつまむのです。ア~ルのお腹はポニョポニョして触るとおもしろいのですけど、本人は驚いて飛び退きます。

 格技をしてきた私の手の動きは普通の人より速いので、ア~ルは対応できません。
 この写真は飛びのいた時の困惑のア~ルです。

 こういう遊びを数日繰り返しているうちに、ア~ルの動きに変化が出て来た様に感じ始めました。
 ア~ルも予想を立てて動きに変化を加え初めている様に思えたのです。

 それを確かめようと写真に撮るのですけど、お互いの動きが速くてなかなか画面におさまりません。
 そこでスロー動画で撮影してみました。

 ア~ルは私の手の動きを予測して明らかに〈フェイント返し〉を狙っていることがわかります。

 さっきの飛びのいて「そうか、上と見せかけて下にくるわけね」という表情の次の動きです。

 上に飛びかかると見せて、実はすでにもう一方の手を下に回しています。
 目も、明らかに私の手の移動を予測している様です。

 

 飛びついた瞬間に私の手は柵の下に回っていきます。
 ア~ルはそれに合わせて、上に行くと見せかけて伸ばした上の手と顔を下に回っています。
 

素速い動きで私の手を掴みます。

 その後わたしに「どうだい」という様な余裕の表情を見せてくれました。

 間違いなくア~ル自身が〈予想チャレンジ〉して私の動きをたのしんでくれていたのです。

 予想チャレンジは人間だけの動きではなく、動物たちもそうやって思考や動きを進化させているのです。
 そういう視点で見ると、周りの動物たちともっとたのしくつき合っていけると思いますよ。
 みなさんも身近にいるワンちゃんネコさんたちの予想チャレンジを発見したら、ぜひお知らせください。

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