ヨシタケシンスケ 最近作「思わず考えちゃう」新潮社

 友人がヨシタケシンスケ 最新作「思わず考えちゃう」を持ってきてくれました。RIDE(ライド)を立ち上げてから、かつて活字中毒だった私に、読書する時間はほぼ無くなったのですけど、こればかりは一気に読みました。

 ヨシタケさんの作品は、心の内側にためていたものを、少しだけ表現した時の面白さでできています。「あるかしら書店」「なつみは何にでもなれる」など一連の流れで構成されているものも基本的に一コママンガの構造でできています。
 「見えるとか見えないとか」があるではないか、という方がいるかもしれませんけど、それは伊藤亜紗さんのお話を構成したものです。
 つまりヨシタケさんは〈起承転結〉や〈序破急〉などといったストーリー展開で作品を紡いでいくタイプの作家ではないのです。

 ちなみに私いっきゅうのライフステージである〈科学教育〉でいえば、科学をショー的一発芸的に扱う人たちは〈一コマ漫画〉的なタイプです。わたしは一つの映画の様に〈ストーリー構成〉をとても大切にして科学の素晴らしさを体感してもらうタイプです。どちらにもよいところはあります。

 科学教育の中では構成のしっかりしたストーリーでたのしませてくれる人はとても少ないので、いろいろな人たちが目をつけはじめたのだと思います。
 絵本系のステージは〈一連のストーリー展開〉でみせる人たちが多く、ヨシタケさんの様な一枚の絵でたのしませてくれる人は少数です。

 そういうスタイルから予想して、ヨシタケさんは講演会などが苦手だろうと思っていたのですけど、この本のはじめに、予想していた通りのことが描かれていました。

  雑誌などのインタヴューでは、おもしろいことをいろいろ語ってくれているので、ヨシタケさんのおもしろさを引き出してくれる人がいれば、ずいぶん違ったものになるのだと思います。

 実は読んでいて驚きました。
 絵だけ、あるはそこにボソッと添えられたつぶやきだけで味わう方が、わたしにはずっとたのしめるんです。

 たとえばこの絵、わたしは見ているだけでいろいろな想像をしてしまいます。
・この子、まだ歩けないのに強引に引っ張られているのかなぁ・・・
・それとも立つのもままならない状態を、さらに強引なことしているのかなぁ・・・
・歯医者に行くっていうので抵抗してるのかなぁ・・・
・公園とかで歩く練習をしている時なのに大人二人がついつい会話に夢中になっちゃってグイグイ歩いているのかなぁ。いるよね、そういうたのしいお気軽な大人

 どうイメージしてもほほがゆるんでくるたのしい絵です。

 ところが、ヨシタケさんがその絵を書いた時のことを解説してあって、それを読むと笑えなかった  ̄ェ ̄ ;
 

 わたしにとってのヨシタケさんの魅力は一コマ漫画的な魅力です。この本の中には、今まで私が見たことのない絵がたくさん出ています。そのたのしさを探すだけでも手にする価値は十分にありました。

 また、この本でヨシタケさんの新しい魅力を発見する人もいるでしょう。定価1000円は決して高いとは思えません。
 興味ある方はぜひご購入ください。
 小学校高学年ならクラスに置いておくのもよいと思います。

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春のアウトドアノマドワークはクローバーに囲まれて

 四月中旬今日この頃、那覇市でミーティングがあり、少し時間のゆとりがあって遠回りして海沿いの道を走らせていると、河と海とがつながるあたりに、クローバーが広がる公園をみつけました。

 ミーティングが終わってから来た道を戻って、その公園に寄って一仕事することにしました。
 わたしの場合アウトドアワーク・アウトドアノマドは、おおよそイスとバッグの二つがあればOKです。

 アウトドアワークをしたことの無い人にはイメージしずらいかもしれませんけど、「アウトドアでも仕事ができる」というより「アウトドアの方が仕事がはかどる」ということもあるのです。以前書いたので、興味のある方は記事をさかのぼってみてくださいね。

 バッグとイスを持って公園を少し歩きシロツメクサのじゅうたんの方に荷物をおろしました。イスをひろげてしばらくは風と花とをあじわいます。

 

 シロツメクサの間からタンポポの花も顔を出しています。

 よくみると〈ムラサキカタバミ〉も花を見せてくれています。

 実に気持ちがよい。
 気持ちがよいから仕事がはかどる、ということも十分あります。それだけでなく、閉ざされていない空間だから広がるイメージというものもあるのです。

 気持ちがよい中で、小一時間ほど、講座の構想を立てたり論文ドクターの仕事で、届いた文章に手をいれていました。
 いつかつくりたいと思っていた授業プラン「人とサル」についても手がけ始めることができました。DNAの本質についてイメージしてもらえるプランになると思います、ご期待ください。

 とても気持ちのよい春の季節、みなさんも外に出てノマドワークしてみませんか。

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予想が実物教授・実物教育の効果を高める②/ペスタロッチ・コメニウスを超えて

前回からの続きです。
さて「たまご」の話!

ニワトリの卵はみんな見たことさわったことがあると思います。
大抵の人は料理するために割ったこともあるでしょう。

ところでこれはダチョウの卵、本物です。

 もちろん、中身はありません。
 中を丁寧に取り出し、先生たちに卵焼きをふるまってあとの殻です。

 さてダチョウの卵って、カラはどれくらい厚さなのでしょう? 

 にわとりの卵の殻と同じくらいの厚さ、硬さなのでしょうか。
 もっと薄いのでしょうか、もっと厚いのでしょうか。
  それはどの程度の違いなのでしょう。

 それぞれ一人ひとりに〈これくらいの硬さかな〉とイメージしてもらってから一人ずつさわってもらいました。
 つまり実物教授、実物教育です。

 

 先生たちの口から
「いっきゅう先生、これ落としてみていいですか? 割れない気がします」
という声がでたくらい、硬いんですよ。

 殻の厚さは2~3mmはあると思います。

 「ダチョウの卵の殻は厚く、人が乗っても割れません」と書いてあるサイトもありました。この一個しかないので、乗っても割れないかどうか実験することはできませんけど、厚く硬いことは間違いありません。

 どの先生も子どものような表情で見て触って、その厚さを確かめていました。

 実物教育、実物を見せて味わう教授法にも「予想」は必需だと考えています。

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たのしさあっての実物教授① /コメニウス・ペスタロッチを超えて/予想がたのしさを導く

 若い先生たちへのワークショップの日は、わたしのたのしい1日です。今回はその中の一コマを紹介させていただきましょう。

 教育の常識の一つに「可能なら実物を使った方がより効果的である」という考え方があります。コメニウスやペスタロッチが提唱した教授法で、150年ほど前に遡ることができます。
 辞書的には

書物により言葉や文字を媒介として観念的に物事を教授し学習させるのに対し,具体的な事物,実際の事物を直接観察させたり触れさせたりして教授し学習させる教育方法

 です。

 ところでそれは本当でしょうか?

 そう言われているから正しいとか、正しいに違いないと考えるのではなく、それが正しいのかどうかは実験によって明らかにされなくてはいけません。

 もしも周期律表を提示して、その周期律表にある原子の実物を見せたら効果的な授業になるのでしょうか?

 虫の勉強をする時にたくさんの虫を見せると効果的な授業になるのでしょうか。

 石の勉強ではいろいろな種類の石を、図形の勉強ではいろいろな図形の実物を見せるとよいのでしょうか?

 もしも実物をたくさん見せることが教育的にすばらしい効果をうむというなら、いろいろなものがたくさんある家庭の子どもは知的水準がより高く、ものが少ない家で育った子は知的水準が低いことにならないでしょうか。
 本当にそういうことが言えるのでしょうか。

 そこには決定的にかけているものがあります。

 その授業を受ける対象の興味関心です。

 さてこれは若い先生たちにイガグリを見せているところです。

 

 沖縄にクリは自生いませんが、イガグリを見たことがある人はたくさんいます。

「触ったことある人?」と質問すると多数の人たちが手をあげました。

「では質問、クリってこうやって手のひらに落とすと痛いの? 痛くないの?」

 やにわにざわめきが起こりました。

 どうなんだろ~、という表情です。

 予想を立ててもらってから手渡しているのがこの写真です。

 つまらなさそうにしている先生は一人もいません。
 たのしそうにしていたり、おどおどしたり・・・
 どっちにしてもムービング、心がしっかり動かされている様子が伝わってきます。

 痛いか痛くないか、興味のある方は、ぜひ自分でためしてみてくださいね。

 今すぐに試すことは無理でも、いずれ「あ、あの時のいっきゅう先生の質問、ためしてみよう」というチャンスがくるばすです。

 予想してから確かめることで人はたのしく賢くなっていくことができます。

 それがなくして実物をどんどん見せても教育効果はあまりのぞめない、というのが、長い教育実践の中で私自身が確かめてきたことです。

 あわせて「たまご」についても書きましょう・・・・
                           つづく

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