「一年の半ばちかくが雪に埋もれているので、年賀状が五月になってからやっと届く場所があるんだって」という話を何人かの友人たちにしたことがあって、ほぼ「それはないない、南極でももっと早く届くんだから」という反応なのだけど、開高健(かいこう たけし)の『白いページ I』の始まりの章にこう記されています。
昭和四十五年の六月、七月、八月、私は仕事をしようと思って新潟県の山奥の銀山湖畔で暮した。ここは水道も、ガスも、電気もなく、一年の半ば近くが雪に埋もれるので、年賀状が五月に配達されるというような聖域である。
昭和45年の話です、今は道路状況も交通手段も格段に改善されているので、もう、そういうことはないのでしょう。
最近気になって新潟の〈銀山湖畔〉の様子を調べてみると、4月後半から5月の景色が載っていました、さすがにこれはすごい・・・
いくら道路状況がよくなっても正月に年賀状が届くというのは厳しいような気がします。
いつまでも残しておきたい景色です。
開高健は「ここで私は超一流品と呼べるような水を飲んだ」と、見事な文章で表現しています。
ピリピリひきしまり、鋭く輝き、磨きに磨かれ、一滴の暗い芯に澄明さがたたえられている。のどから腹へ急転直下、はらわたのすみずみまでしみこむ。脂肪のよどみや、蛋白の濁りが一瞬に全身から霧消し、一滴の光に化したような気がしてくる。
飲んだ水について、これ以上の表現をわたしは知りません。
いつかチャンスをつくって私も雪の銀山湖畔に行こうと思っています。
※
本を読むたびに、行ってみたい場所が増えていきます。
みなさんが本に登場する場所で、行ってみたいところはどこでしょう。
開高健の『白いページ』はおすすめのエッセイ集です、おすすめします。
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