楽しい教育&福祉「ガリレオはピサの斜塔から二つの物体を落下させたのか?」

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 今週紹介した内容の一つを読んで、ある先生から「これまで間違って教えていた」という反省を含めて少し長いたよりをいただきました。

 教師に限らずわたしたちはたくさんの間違いを犯します。
 それから逃げずに責任をとる道はたくさんあります。

 一つは、間違って教えた何十倍何百倍の子どもたちに、正しい知識を教えてあげることです。巡り巡って、かつての教え子たちに、正しい知識がとどく確立があがるでしょう。

 さて、その先生がたよりをくれたのは四番目の「発想法の章」についてでした、少し切り取って紹介しましょう。

 仮説実験授業研究会代表、文科省教育研究所の室長『板倉聖宣』先生がNHKの『日曜喫茶室』という番組で絵本作家の『安野光雅』さんと語った時の話です。安野さんは大好きな作家で、板倉先生は〈たの研〉初期からのとても大きな応援者です。

板倉:

科学というのは、実験が決め手です。

だからその実験が一つだけだったら何が何だかわかんなくなりますけどね。系統的に繰り返していけばちゃんとした理論がわかるようになるでしょ。
安野:

板倉さんね、話がこの先どうなるかわからないし、聞きそびれちゃいけないから、どうしてもひとつ聞いておきたいことがあるので今いいですか?


 実はこの間。あのガリレオのピサの斜塔へ行ったんですよ。ピサの斜塔の落体実験というのはあまりにも有名ですよね。「重いものと軽いものを一緒に落としても同時に落ちる」という実験をしたと。私は「ピサの斜塔は傾いているから、上から落とせば簡単だからいんだろうな」と思って、やってみようとしたんですね。そしたらね、そこにいる担当官が「ガリレオは外側に落としたんじゃない」と言うんですね。ピサの斜塔というのは、円筒なんですね。中ががらんどうでドカンみたいなんです。それで、その担当官が「中で火を燃やして、真空にして、それで上から中に落とした」と言うんです(笑)。


 私が「そんなこと何に書いてあるのか」と言うと、「ちゃんとガリレオの本に書いてありますよ」と言うわけ。じゃあ何に書いてあるのかと思って「天文対話」にでも書いてあるのかなと思って調べてみても書いてないわけですよ。それで、その真のほどを、ぜひ専門家の板倉さんにと思って。
板倉:

私は元々の専門がガリレオです(笑)。

ピサの斜塔の話はすごく有名でいろんな尾鰭がついているんですね。ピサの斜塔にたくさんの反対派のエライ学者を集めて、いまだったらテレビで放映するような段取りをしてね。それでみごとに実験してガリレオが勝利言を出したというふうに言い古されていたりしているんですね。
 しかし、こういうことはふつうの人だけでなく科学史家もヒマがないから調べていないんです。ところが、確かクーパーという人が、この人はアメリカ人で英文学の歴史が専門なんですが、何かの関係でそのことが気になったんですね。
 それで、あらゆる文書を調べてみて、文書的にはそういう記録はどこにもないということを確かめたんです。つまり科学史の話とかエライ人の話というのは、みんな後から尾値がついて、大変もっともそうな話になって、単純なわかりやすい教訓話として残ってしまうんですね。

安野:

そうですね。
はかま:

「火をたいた」なんていかにももっともらしいことを言うけれど、ウソなんだな(笑)。
板倉:それは、知恵者が後からつけるんですね。ガリレオは真空が作れなかったんですよ。だって真空はガリレオさんが死んだ次の年に、ガリレオの弟子のトリチェリイーさんによって作られたんですから。

 いろいろなところで例に出るエピソードなので、みなさんの中にも、ガリレオがそういう実験をしたのだと間違っていた方がいると思います。

 教師になって、板倉先生の講演記録を読み、それが間違いだったことを知るまでは私もその一人でした。

 それにしても、ピサの斜塔の中が筒状になっているとか、その内側で実験したという説は知らなかったな。間違いは独自に尾鰭がついて広がっていくわけです、SNSのデマ拡散のようなものですね。

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〈たの研〉の福祉活動が高く評価されました@楽しい福祉&教育

 メルマガにタイトルの内容を書いたところ「おめでとうございます」「嬉しいです」というたよりがいくつも届いています。
 まだ公的に発表することは控えておきたいのですけど、このサイトに綴ってきたような、〈たの研〉の福祉活動が高く評価されました。
 これで福祉活動がどんどんすすむことは間違いありません。

 さっそく「こどもマルシェ」の要望も届き、来月は大きな形で『うるま市』で実施することがきまりました。
 主催者側の発表のあと、ここでも広報させていただきます。

「どういう状況の子どもたちの可能性も伸ばす、たのしさと笑顔で」それが〈たの研〉のテーマです。

 それも〈たの研〉を支えてくれるたくさんの方たちがいてくれるからこそです。いつもこのサイトを読んでくださっている皆さんに、心より感謝の気持ちをつたえさせてください。

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こどもの居場所でたのしむゲーム「漢字さがし」@楽しい福祉&教育

 〈たの研〉には「こどもの居場所」の方たちからの相談もやってきます。

 今回は「あまり準備せずに簡単に子どもたちとたのしめる学習ゲームがありませんか」という相談でした。

 ありますよ、すぐに10~20、リストアップできます。

 SV/スーパーバイズを申し込んでいただければ、楽しみ方を交えて資料もたくさん差し上げられるのですけど、今回は簡単な質問だったので「漢字さがしゲーム」を紹介しました。

 紙やホワイトボードにこういう形を書き込みます。

 この形をなぞって「漢字」をつくるわけです。

「一」、できますね。

「ニ」も「三」もできます。

もうありませんか?

「口」もあります、「川」もあります。

実はいっぱいあるんですよ。

 みなさんも子どもと一緒にたのしんでみませんか。

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たのしいブックレビュー@面白くてたまらない『ぼくには鳥の言葉がわかる』

 先週の「こどもマルシェ」の時、マッキー先生が「とにかく面白い本があるんだ、今度持ってきてあげる」と熱くすすめていた作品がこれ、『僕には鳥の言葉がわかる』鈴木俊貴著。

 どんな本かなと、kindleでサンプルを読んでみたら止まらず、一気に全部読んでしまいました。

 本当に面白い。

 はじめのあたりを少しだけ紹介します。

 たくさんの人に読んで欲しくて、メルマガでも取り上げようと思っています。

 大学の頃、ひとり研究で長野の山に入った鈴木さんが、鳥に言葉があるのだと気づくところです。

三十メートルほど前方から、「ディーディーディー……」と甘えたような声が聞こえてきた。 コガラである。激しく、繰り返し鳴いている。「なんだろう?」と疑問に思っていると、シジュウカラやヤマガラたちがコガラの方へと急いで飛んでいくのが目に入った。
僕も「ディーディー」の方へと急いだ。
驚いた。そこにはなんとヒマワリの種がまかれていたのだ。 おそら
くどこかのバードウォッチャーが鳥たちにやったのだろう。コガラは
それを見つけて鳴いていた。

その声に誘われるように、数分のうちに、コガラ三~四羽、シジュ
ウカラ五~六羽、ヤマガラニ~三羽、ゴジュウカラ二羽が集まって、
みんなで一緒にヒマワリの種をついばみ始めた。
「混群の仲間を呼ぶために鳴いていたんだ!」と僕は思った。
しかし、よくよく考えると、これはたいへん奇妙な事態だ。餌の少
ないこの季節、ヒマワリの種なんて、鳥たちにとっては特別なご馳走
だろう。バードウォッチャーもそんなに頻繁には来ないだろうし、 次
いつヒマワリにありつけるかもわからない。それにもかかわらず、自
分の取り分を減らしてまで他の鳥に教えるなんてこと、本当にするだ
ろうか?
僕は不思議に思い、散らばったヒマワリの種を一粒残らず回収した。
別の場所にまき直して、今度は一部始終をしっかり観察しようと考え
たのだ。
数分歩くと、ちょうどいい切り株があった。そこにヒマワリの種を
まき、鳥たちが来るのをじっと待った。
 歩いている時とは違って、足の裏から体温が奪われる。
 足踏みしながら一時間くらい待っただろうか。
 ようやく群れが近くまでやってきて、その中の一羽の鳥がヒマワリの種を発見した。
 そして「ヂヂヂヂ……」と鳴き出した。
  シジュウカラである。
 すると、今度はコガラやヤマガラが集まってきて、ヒマワリを発見した。
 他の鳥たちが餌場に来ると、シジュウカラは鳴くのをやめ、ヒマワリの種を一粒取って、枝の上でつつき始めた。
 シジュウカラの「ヂヂヂヂ……….」も、仲間を呼ぶために鳴いているように見える。
 夢中になって観察を続けていると、今度は「ヒヒヒヒ」と鋭い声が響いた!
その直後、なんと、ヒマワリの種を食べていた鳥たちが一斉に茂みの中へと飛び去ったのだ!
「?」と思ったその瞬間、今度は何かがすごいスピードで餌場をかすめていった。
 ハイタカだ。
 鋭い嘴と爪を持ち、小鳥たちを食べる猛禽である。
 小鳥たちはすでに茂みに逃げていたので、命を落とすことはなかった。
「ヒヒヒ」と鳴いたのはシジュウカラ。
 この声がきっかけとなって、コガラもヤマガラもハイタカの攻撃を避けることができたのだ!
「鳥たちは、餌の場所も天敵の来襲も、鳴き声で伝え合っているのかもしれない!」
 僕はものすごい世界に気づいてしまったようである。

 鈴木さんはまだ若いのですけど、「予想⇨実験」の繰り返しで、世界で認められる学者になりました。

 とてもたのしそうなその研究がひしひしと伝わってくる名作です。

 きっと子どもたちにも読めるんじゃないかな、イラストもシンプルでかわいいし。

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