「子どもたちのいじめのほとんどは解消している」・・・どう考えますか?

 前回からの続きです。増加の一途をたどる、子どもたちの「いじめ」は解消してきているのか、そのまま継続しているのか?

 どう予想しましたか?
 
予想 子どもたちのいじめは

 ア.ほとんど(3/4程度)解消している

 イ.ほとんど(3/4程度)がそのまま

 ウ.半分程度が解消している

 エ.その他

 文科省のデータをたどりましょう。
 webでたどる最新の集計が2023/R5に文科省が公表したものです⇨https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/5aa667da-fe7f-4ea9-9ee2-7510121e6751/2d6548bb/20231016_councils_ijime-kaigi_dai2_01.pdf

 その中に「いじめの解消状況の推移」が出ていて、こうまとめられています。

▍ いじめの認知件数の推移 ▍

いじめの解消状況の推移(各年度末時点)
● 小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの
認知件数は681,948件(前年度615,351件)であり、
前年度に比べ66,597件(10.8%)増加している。
● 児童生徒1,000人当たりの認知件数は53.3件
(前年度47.7件)である。
● 年度末時点でのいじめの状況について、
解消しているものは525,773件(77.1%)であった。

 

 そうです、文科省の統計によると、子どもたちのいじめのほとんど(77.1%)は解消しています(2022/R4最新)。
 件数にするといじめ全体が681,948件で、そのうち 525,773件が解消しているということです。のこりのほとんどは解消に向けて取組み中ですから、その数はさらに上向くでしょう。

 するとまた次の年の統計で現れるいじめは、新しいものが出現したということになるのでしょうか。

 実は解消したと考えていたいじめが水面下で継続し、次の新しい担任の先生たちのもとで再開されたということも考えられるかもしれません。

「いじめ解消の見方がゆるいのではないか」と考える人もいるかもしれません、そうでもありませんよ。特にこの②が強いしばりです。

● いじめの防止等のための基本的な方針(文科省)
「解消している」状態とは、少なくとも次の2つの要件が満たされている必要がある。ただし、これらの要件が満たされる場合であっても、必要に応じ、他の事情も勘案して判断するものとする。
① いじめに係る行為が止んでいること
被害者に対する心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)が止んでいる状態が相当の期間継続していること。この相当の期
間とは、少なくとも3か月を目安とする。ただし、いじめの被害の重大性等からさらに長期の期間が必要であると判断される場合は、この目安にかかわらず、学校の設置者又は学校いじめ対策組織の判断により、より長期の期間を設定するものとする。
② 被害児童生徒が心身の苦痛を感じていないこと
いじめに係る行為が止んでいるかどうかを判断する時点において、被害児童生徒がいじめの行為により心身の苦痛を感じていないと認められること。被害児童生徒本人及びその保護者に対し、心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により確認する。

「いじめ」の話になると「自分たちの頃にもいじめはあった」とか「いじめはなくならない」という話をする大人がいます。
 私は学校現場で「いじめに立ち向かう勇気が大事だ」とか「いじめを乗り越えて成長する」という言葉を聞かされたことがあります。

 その理屈が通るなら「DV」を受けていても立ち向かう勇気が大事で、それを乗り越えて成長していくということになります。自分が子どもの頃、DVを受けていたとして、それを乗り越えて成長するんだと考えることができたでしょうか?

 いじめには、簡単に解決がつかないものがたくさんあります。

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