〈たのしい教育メールマガジン/カウンセリングの章〉に書いた内容に、いろいろな反響が届いています。はじめての方にも読みやすいようにある程度手をいれて、半分程度、紹介させていただきます。
こういう相談です。※個人の特定ができないように脚色
50代、女性。※周りからたよりにされているタイプで有能な感じがする先生
先生も子どもたちもやる気になっていた時期が過ぎ、次第に落ち着きがなくなり、最近は立ち歩きする子どもたちが増えてきた。
ある事故的なものがきっかけで、さらに教師の言葉を聞いてもらえなくなった(詳しくはカット)。教室の隅で複数の子どもが勝手におしゃべりすることも出てきて、校長先生は廊下から様子を見ているが、そのまま通り過ぎていき、その後も声掛けてくれない。
このままどんどんエスカレートしていく気がしてとても不安です。
この文面をA.I.に画像生成してもらったら、こうなってしまいました、イメージ図として添えておきます。
ここでは「立ち歩き」の子どもたちがどういう目標によるものかを整理してみましょう。
PEALカウンセリングの基礎の一つとなった〈アドラー心理学〉では不適切な行動の流れが
〈賞賛〉⇨〈注目・関心〉⇨〈権力争い〉⇨〈復讐〉⇨〈無気力〉
というようにすすんでいくと考えます。
長年教師をしてきた中でいろいろな違和感を覚えていた一つが 「〈復讐〉の次の段階が〈無気力〉だ」 という流れについてです。
親や教師の期待に応えようと頑張って、無力感・無気力になってしまう例はいくつもあります。アドラー流の段階でいえば〈賞賛〉⇨〈無気力〉も〈注目・関心〉⇨〈無気力〉もあるのです。「いやいや不登校になるくらいの無気力だよ」という反論もあるかもしれません、でもあるんです、その流れで不登校に至ることが。そもそも「例外」がいくつも出る時点で「それは法則的なものではない」と言ってよいと思うのですけどどうでしょうか。
野田先生にも尋ねたことがあるのですけど、私の理解を超えた話になって途切れてしまいました。
それはそれとして、〈復讐〉〈無気力〉それぞれに対する対応のいくつかは似たところがあります。
アドラー心理学では先生のいうことを聞かない、立ち歩きをする子どもたちの目標がどの段階なのかを想定していきます。第四段階の「復讐」、第五段階の「無気力」に入っている場合は、手立てを立てることがとても難しくなると説明しています。
それに対する野田先生の話を紹介しましょう。
このメルマガで何度かとりあげてきた野田俊作『続・アドラー心理学トーキングセミナー』からです。
野田
第四段階の〈復讐〉を目的に動いている子どもに対しては、残念ながら、相手役(親・教師など)その人には、それに対して対応することがもはやできません。
ですから「静観をする」「反応しない」、その子とのコミュニケーションを最小にするということをもってしか対応することができません。
よく「子どもの気持ちをわかろう、子どもとの対話をふやそう」といいますけれども、この復讐という時期にあたる子どもに対しては、その相手役からのどのような対話も有害です。
というのは、相手役から来るすべてのメッセージを彼らは、ひがんでと言いますか、悪意に受け取ります。
素直にその言葉を聞くことができなくなってしまっていますので、もはや相手役には、コミュニケーションの量を減らし、その状態で共存して行くという方法をとることしかできません。
ですからこの段階にある子どもに対しては、相手役以外の第三者からの援助がどうしても必要だということになります。
ある人に対しては復讐であっても、他の人に対してはそうでないということがしばしば見受けられます。この子たちとよい関係を持てている他の大人の援助が必要である、よい関係が持てている人々からの援助なしではこの子たちを立ち直らせることはできないということです。
第五段階、私にもう期待しないで放っておいてくれという、断念を取りつけようとしている子どもたちに対しては、時期を待つしかありません。
いかなる働きかけも、その子たちの勇気をくじいていくだけだと言わざるを得ないのです。
この時期には、善意の第三者であっても介入することは非常に難しくなります。
専門的なトレーニングを受けた、心理の専門家だけがこの子たちと適切な関係を持つことができます。
それは少し専門的な話になりますので、ここでは触れませんが、特殊な対人関係を持つことでもって、この子たちを援助することは不可能ではありません。
しかし、それは特殊なトレーニングを受けた人にしかできないことであろうと思います。
このように、賞賛、注目、権力争いという段階までは、相手役である教師、あるいは親がその行動を変えることによって、子どもの行動を変えることができますが、復讐という段階になった時には、相手役だけの変化でもってしては子どもを援助することはもはやできないのです。
だから、決して復讐まで子どもを追いつめるとお願いをしたいんです。
権力闘争の時期に、その喧嘩から降りてください。そして冷静に話しあえる地盤を作ってください。そうすれば専門家の援助なしに、子どもを立ち直らせることもできるのです。
問題が起こってしまってからあわてるのではいつも遅いのです。
治療よりも予防の方がはるかに大切だと思います。
予防が可能であるという最後の線は、子どもが権力闘争に入っている時期です。
無気力という時期まで行きますと、われわれ専門家が介入しても、一年二年というような長期間をみないと、そこから立ち直ってもらうことが難しくなります。野田先生の話はここまで
いっきゅう
ここからはPEALカウンセリング・OPTIONSの見方・考え方・方法を加えていきましょう。
子どもたちの立ち歩きが「この先生を懲らしめてやろう、恥をかかせてやろう」という段階なら、子どもたちにこちらから闘いを挑むほど加熱していく可能性が高くなります。
大人側が巨大な力を行使して、教師集団・親集団で立ち向かえば一定期間は静かにさせることができるでしょう。
ところがそれはたいてい長く続きません。
大人に力で反発できる体力・知力を身につけてきた段階で反撃にでてくることもあれば、学年が終わってからの復讐という技も子どもたちは持っています。
大きなな力で一部の子どもたちを威圧する行為は、直接威圧されているわけではない子どもたちが傷つき、クラスから遠ざかっていくこともあります。
さらに〈心優しい子どもたち〉への反作用が強くでることも心配です。
他の子どもが叱られている状況に傷ついて、恐怖して不登校に至る子どもたちは稀な例ではありません。
野田先生はカウンセリングの専門家でした。
カウンセリングの専門家は、当然、そのカウンセリングの枠内で問題解決に取り組みます。
それと違ってPEALカウンセリングには強力な選択肢があります。
〈復讐〉段階〈無気力〉段階に入った子どもたちでも、多様多彩な『たのしい教育』をどんどん取り入れることで落ち着いてきたという実例はいくつもあります。そもそも私が担当したクラスで何度も体感してきたことです。
〈復讐〉から〈無気力〉に至る子どもたちばかりではありません。
親や教師の期待に応えて、優等生・良い子の状態を維持しようとがんばっている子どもたちにも『たのしい教育』は素晴らしい効果をあげます。
何しろ親・教師がたのしくなるので、やめられません。
カウンセリングもたのしい教育もスポーツと同じで、頭と身体で体感していかないとうまくなりません。
たのしい教育に興味ある方は、8/2の夏の講座(自由研究まつり)にご参加ください。PEALカウンセリングに興味のある方はスーパーバイズをお申し込みください。複数いれば連続コースも開催可能です。
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