「がんばってもうまくいかない」のは、がんばりが足りないからではありません ― 10人全員が全力を出したら、順位はどうなるの? 楽しい福祉&教育

がんばってもうまくいかない。準備に時間をかけて、一生懸命やったのに結果が出ない。そういう時、まわりから「努力が足りないんだ」と言われることがあります。それは本当でしょうか?。
〈がんばること〉と〈うまくいくこと〉は別のものではないか?
どうすればうまくいくのか、その基本的な方法は何か?
 教育でも、仕事でも、子育てでも、そのまま使える方法です。

📌 小学校の教室で、私が抱いた疑問

 小学校の高学年の頃だったと思います、たしか音楽の時間でした。

 先生に鍛えてもらいながら、ねらった結果を出せなかった子がいて。私はその子の近くにいて、先生の言葉を聞いていました。

「うまくいかないのは、あなたが一生懸命やらなかったからだ」

「がんばってもうまくいかない」のは、がんばりが足りないからではありません ― 10人全員が全力を出したら、順位はどうなるの? 楽しい福祉&教育 @音楽コンクール@@楽しい福祉&教育 @楽しい面白い自由研究
 先生の言葉を聞きながら、私はこう考えていました。

「え~、じゃあ10人が10人とも一生懸命がんばったら、どうなるわけ?」

1位はひとりだけです。

2位も3位もいて、10位もいます。

逆に、出場した10人が誰ひとりがんばらなかったとしても、やっぱり誰かが1位に選ばれます。

「がんばってもうまくいかない」のは、がんばりが足りないからではありません ― 10人全員が全力を出したら、順位はどうなるの? 楽しい福祉&教育 @矛盾とは

ということは、順位というのは〈がんばりの量〉ではないんじゃないか…
子どもながらに、そう考えていました。

⚡「みんなよりがんばればいい」の、その先

 たぶん先生にそう言ったら、こう答えただろうと思います。

「出場するみんなよりがんばればいいんです」

それらしく聞こえます。

でも、それを言われたらこう質問したかもしれません。

「先生、一番がんばったら、幼稚園の子が6年生の普通の子よりがんばれば、かけっこで勝てるということですか?」

勝てません。
どれだけ全力で走っても勝てません。

〈がんばりの量〉では、どうやっても埋まらない差というものがあるんです。

 高校生になった頃には〈一生懸命やればいいってものではない〉と、はっきり考えるようになっていました。
 小学校の頃のあの記憶が、ずっと底にあったのだと思います。

💡 人がいちばん疲れてしまう時

 教師時代、たくさんの人たちから相談を受けてきました。
 教師に限らないと思うのですけれど、心から疲れてしまう、心が折れてしまうことのひとつは

「がんばって準備して、一生懸命取り組んだのに、それがうまくいかなかった」
あるいは
「頑張っているのに、子どもたちの心がどんどん離れていく・強く反発してくる」

いまもそういう相談が届きます。

それいうことは先生だけでも、他の職業でも、家庭でも同じでしょう。

私は小学校の頃から疑問を感じてき〈がんばれば報われる〉ということを、私と逆に心からそう思っている人はたくさんいます。
うまくいかなかった時、その人の頭にあるのは
「もっとがんばればうまくいくはずだ」
ということでしょう。

それでもうまくいかくなったら

「もうだめだ」

となるでしょう。
逃げ道が、自分のがんばりを責める方向にしかない。
心が折れる。
自分を責める。
そういうところに追い込まれてしまう。

🔍 うまくいかなかったのは、がんばりではなく〈方法〉

 相談が来た時、直球で言葉にすることはなくても、こういうことを伝えてきました。

「残念ながら、がんばればよい、といったものではないみたいですよ」

冷たく聞こえるかもしれません。
でも突き放す言葉ではなく、重い荷物をおろすための言葉です。

うまくいかなかったのは、あなたの人間性でも、熱意の量でもない。

今回試してみた〈方法〉が、この相手・この場面には合わなかった、それだけのことなのです。

人格と方法を、きっぱり切り離す、それが大切です。

✍️ では、どうすればうまくいくのか

答えは、あっけないくらいシンプルです。

〈こうすればうまくいくだろう〉と予想したことを、試してみる、つまり「実験する」しかありません。

そして、結果をきちんと確かめる。

🟢 これはうまくいった
🟠 これはうまくいかなかった
🟡 これは反発された

それを実験結果としてはっきり認識すること。

そうやって進んでいくしかないんです。

がんばりの量は足し算です、でも実験の積み重ねは掛け算で効果が出ます

 ある先生にはスマホのメモでよいので、1日の終わりに試した方法と結果を書いてもらいました。

   
🟢 うまくいったこと。「何が」効いたのかを一行足す
🟠 うまくいかなかったこと。責めない。事実だけ
🟡 反発された、空気が固まった。いちばん価値のある記録

たとえば教室なら、こうなります。

  • 🟢 「これはどうなると思う?」と予想を聞いたら、全員が選択肢に手をあげてくれた
  • 🟠 算数の計算は手元ばかり見ていて聞いていなかった
  • 🟡 「静かにしなさい」と強く言ったら、その後30分ずっと空気が重かった

この緑の方法を増やしていく、それだけです。

📖〈予想して確かめること〉はたのしい教育の方法です

この〈予想を立てて、実験して確かめる〉という考え方は、私が思いついたものではありません。

《板倉聖宣》が提唱した仮説実験授業の中心にある考え方です。子どもたちに問題を出し、まず予想させ、討論させ、それから実験で確かめる。結果がどうであれ、予想を立てて確かめた子は、必ず何かを手に入れています。

うまくいかない時も、ダメだったではなく、これはうまくいかないという実験をひとつ手に入れたということです。

🌱 では、がんばりは無駄なのか

がんばりは大事です。

ただし〈みんながんばっている〉ということです。

  • 予想を立てるために、がんばる
  • 違うやり方を1つ試してみるために、がんばる
  • うまくいかなかった方法は、その事実から目をそらさず、繰り返さない工夫をする

そういうがんばりをしていきましょう。

きっと変わります。
PEALカウンセリングで、それは何度も確かめてきたことです。

具体的な方法を知りたいという方は、このサイトを隅々までお読みください。もっと知りたいという方は、カウンセリングやスーパーバイズをお申し込みください(有料)

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絵本 おすすめ ヨシタケシンスケ「このあと どうしちゃおう」― 死んでしまう話なのに、なぜこんなに笑えるのか【絵本のおすすめ】

久しぶりに「やられた」と感じた絵本に出会いました。ヨシタケシンスケ『このあと どうしちゃおう』です。1行目からしてただごとではありません。おじいちゃんが亡くなり、部屋を片づけていたら一冊のノートが見つかる。そこに書かれていたのは、死んだあとの予定でした。──読む前に、少しだけ考えてみてください。あなたは、そのノートに何を書きますか?
※ この記事は2016年5月に公開した後、とてもたくさんのお便りをいただきました。それに答える意味も含めて、記事に大幅な加筆をして2026年9月に公開し直したものです

久しぶりに「やられた」と感じた作品に出会いました。沖縄に呼びたい絵本作家の筆頭「ヨシタケシンスケ」の最新作「このあと どうしちゃおう」です。
※実は、あるプロジェクトの企画で一度お願いしたことがあります。作品展でとても忙しい日々だということで、その時は都合が合いませんでした。いつかタイミングがあえばと期待しているところです

やはりヨシタケさんは天才だと思います。

絵本 おすすめ ヨシタケシンスケ「このあと どうしちゃおう」

作品は、絵本にあるまじき始まり方をします。

【問題】この絵本の1行目は、次のどれかです、さて?

ア.「ぼくには ないしょの ノートがある」

イ.「このあいだ おじいちゃんが しんじゃった」

ウ.「にんげんは、いつか しぬんだって」

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「このあいだ おじいちゃんが しんじゃった」

です。

いきなりです。

心の準備をさせてくれません。

 

読み進めていくと、

この始まり方でなければならなかったことが

だんだんわかってきます。

⭐️

🟢 もう一つ、予想を

おじいちゃんの部屋を掃除している時に、

一冊のノートが見つかります。

【問題】そのノートには、何が書いてあったでしょう?

ア.家族への手紙

イ.おじいちゃんの日記

ウ.死んだあとの予定

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死んであとの、予定です。

 

天国はどんなところがいいか?

どんな神様がいてほしいか?

生まれ変わったら何になりたいか?

お墓はどんなデザインにしたいか?

ぜんぶ、絵入りで、それはもう、たのしそうに。

 

画期的展開です。

 

完全なる無神論者の私がノータッチの世界を、

天才ヨシタケシンスケは、笑いをもって駆け抜けてくれました。

すばらしい。

⭐️

ヨシタケシンスケさんは、死をごまかさない。

「おじいちゃんはお星さまになった」

とは書いていません。

しんじゃった、と書いています。

ごまかさずに、そのまま置いた。

その上で、死んでから先を考えることはたのしいことだと示した。

だから笑えるのだと思います。

逃げた笑いではなく、

真正面から見たうえでの笑いです。

⭐️

物語の後半は思いがけない方向へ向かいます。

そこは書かないでおきましょう。

ぜひ、ご自分で確かめてください。

🟢ところで、死んであとのことを、みなさんはどう考えるでしょう。

お墓は、どんな形がいいですか。

残された人に、どうしていてほしいですか。

わたしはすでに答えを書いてあります。

死んであとのことを考える、ということは「いまどう生きていたいか」「周りの人たちとどういう関係でいたいか」を考えることだと思います。

🟢 「子どもに読ませていいのか」と思った方へ

大人はここで身構えます。

死ぬ話ですから、当然です。

でも実際読んであげると、大人が思うほど動揺しないと思います。

子どもが怖がるのは、たいてい「死」そのものではなく

「大人が怖いという感覚で伝えるから」だというのが私の予想です。

恐ろしいことだ、聞いてはいけないことなんだ。

そう学んでしまう方が、ずっとこわい。

この絵本は、

その話題を声に出してよいものにしてくれます。

しかも、笑いながら。

読み聞かせにも向いていると思います。

読み終わったあとに

雑談ができたら、とてもよいと思います。

 

⭐️

 

ただし、一つだけ。

いま、身近な方を亡くされたばかりの方には、

無理におすすめしません。

この本が力を持つのは、

たいてい、少し時間が経ってからです。

本棚に置いておいて、

読みたくなったときに手に取る。

それでいいのだと思います。

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PEALカウンセリング入門@「SNS中毒」

家族のことで相談にくる方がいます。

以前『ひきこもり気味でSNSに没頭している子どものことがとても気になる』ということでPEALカウンセリングを申し込んで来た方がいました。

PEALカウンセリングは、本人以外の対象をどうにかしようという相談をすすめることはありません。
アドラーカウンセリングを一つのベースにしているからです。

とはいえ初めから、そういう冷たいことを伝えるわけではありません。

どういう悩みや課題であっても、それに対して自分がどう動くか、あるいは動かないかということに集約されますから、カウンセリングの中で整理させていくことになります。
(ノープロブレム)

 さてカウンセリングで個人情報的なことをだすわけにはいきませんから、SNSをめぐる〈心の動き〉〈対人関係〉についてお話ししたいと思います。

⭐️

 私が好きな小説家、元パンクロッカーの〈町田康(こう)〉さんが、ある対談で「自分がどうしてSNS発信をするのか」という話していました。

なんで発信するかって言ったらもうたった1つですよね。
僕だって告知以外のことも言ったりするんですよ時々。
Instagramとか、なんかストーリーズとかに写真載せてアホなこと書いたりしてるんですよ。
で別に、何の告知もしてないんですよ。
なんでそんなこ意味ないことすんのかってもう1つです。

寂しいから。

相手なってほしいから、誰かに。

書くっていうのもまそうでやっぱりなんか相手なってほしいんですよ誰かに。

だからそ、相手なってほしくって寂しくなかったら別に発信する必要ないけど、やっぱり寂しい。
だから、その隠者になるっていうのはその孤独に耐えるってことですね。
昔は(SNSとか)そんなないから、寂しいやつはずっと寂しかった。

『あ、寂しい、寂しい、寂しい』て『寂しい』って書いてした、なんか日暮らし硯に向かいてなんか書いたんでしょ…

とても考えさせられる考察です。

もう一人、大好きな作家〈燃え殻〉さんがSNSについて語った言葉が『明けないで夜』というエッセイ集に収録されています。

友人が起業して成功を納め、ポルシェを買ったと聞いた。買ったポルシェの写真をスマートフォンの待ち受けにして、SNSのアイコンにして、年賀状にもしていた。

そして隙あらば「ポルシェ、乗る?」と聞いてくる。最近、都内のタワーマンション最上階に住み始めたらしい。

その友人のSNSは、最上階からの景色かポルシェ、予約が取れない鮨屋の写真しかほぼあがっていない。

友人の幸せは、他人からの「いいね!」があって、初めて成立する幸せに見えた。

さて、たのラボもSNS発信することがあります。

講座の広報などです。

「寂しいからかなぁ?」

いやいや、そうではないでしょう!

以上、おわり。
でしょうか?

⭐️

少し深いところをみつめてみると
「誰も来てくれなかったら寂しい」
ということは確かにあると思います。

寂しいか寂しくないかで、ものごとを二つに分けることは乱暴なことだとはいえ、確かにそういえないことはないと思います。

『ひきこもり気味で、SNSに没頭している子どものことが気になる』

というその子は、誰かに相手になってほしいということでもあるでしょう。

寂しいから、発信している。

それはとてもまっとうな要求でしょう。

それに対して〈いいね〉を押すという行為は、
「あなたのその発信に心動かされました」という、いちばん短い返事なのです。

寂しいことは、悪いことでも、弱いことでもありません。

そもそも人間は一人で生きていくことはできませんから、ほかの人との結びつきを求めるのはDNAに刻まれたものだといってよいでしょう。

母親が、あるいは父親が、あるいはきょうだいが、もしかするとイトコのおにいちゃんが、気持ちをつなぐ相手になってくれたら、SNS中心の暮らしが少し幅をひろげていくことでしょう。

《たのラボ》が15年続けて証明したことの一つは、

人は誰かと一緒に〈たのしい〉ことをやると、一人より楽しい

ということです。

スマホを取り上げることでもなく、それでいいのかと説得することでもなく。
一緒に、たのしいことをやってみる

うまくいくとは限りません。
すぐに変わるものでもありません。
時間がかかるでしょう。

それでもSNS中心のその子が少しずつ身近な人に心を開いていくとしたら、こんなに嬉しいことはありません。

たとえばおいしいものを作ってみる。
たのしい実験をして、二人で驚いてみる。

〈たのラボ〉の公式サイトにはいろいろなアイディアが刻まれています。

ぜひ何か試してみることをおすすめします。

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