楽しい自由研究:ヘルモントさんはどうして「植物の身体のほとんどは水でできている」と考えた・予想したか?;読者のみなさんの質問から

 〈たの研/たのしい教育研究所 公式サイト〉にはたくさんのお便りが届きます。数年前のように数日でお返事することができなくり、たとえば質問が来たときに、似たようなものが重なっていったら、この記事の中に吸収してお返事を兼ねるようにしています、ご了承ください。

 さて以前書いた「ヘルモントさんが植物の体のほとんどは水でできている」と考えた記事がとても好評でいくつもおたよりをいただいています。

 ヘルモントさんはその研究を自由研究としてすすめました、誰かに命じられたわけではありません。

 私たちが木の幹をみても、枝や花や葉をみても
「そのほとんどは水でできている」とは考えませんね。
 ヘルモントはどうして、それらのほとんどが水でできていると予想したのか?

それは彼が「錬金術師」だったからでしょうか?

と書いた方もいました。

 多くの資料に〈彼は医者であり錬金術師だった〉と紹介されています。
 怪しい実験もたくさん行ったことでしょう。

 重要なことは、彼が先人の教えの通り素直に従う人間ではなく自由研究できる〈実験家〉だったことです。

 だいぶ前に書いたこの記事を読んでみてください。

ヘルモントさんの実験−自由研究〈植物のからだ〉-自分でも考えてみよう②

まず

はじめ〈2.3㎏〉しかなかったやなぎの木が,5年間で〈76.7㎏〉になった。
つまり〈74.4㎏〉増えた。

土を調べてみると

〈土〉の重さは5年前から〈60g〉減っているだけでした。
 ヘルモントさんは土が飛んでいったり、外からホコリが入ったりしないように、植木ばちにカバーをかけてありましたから、この60gが養分としてやなぎの木に入っていったのだと考えられます。

 見た目では幹や枝葉のほとんどが水だとは思えません。
でも「木が吸ったのは水だけなんだから、植物の体のほとんどは水でできているとしか考えられない」というのはおかしな予想ではないでしょう。

 見た目だけでなく、今の科学では「木の枝の水分量は30~60%くらい」だとわかっています。
つまり「植物の体のほとんどは水でできている」というヘルモントさんの予想は間違っています。

水H2Oと空気中のCO2で90~95%くらいできています。
なので「植物の体のほとんどは水と二酸化炭素でできている」と言ってよいでしょう。 ※残りは土の中の金属・ミネラルと窒素などです

 ただし、それがはっきりわかったのはヘルモントさんの実証的な実験と「植物の体のほとんどは水分だ」という間違った予想があったからだといってよいでしょう。

 予想は必ずしも正しくありません、私たちは間違った予想もたくさん立てています。

 私はたくさん方たちへの講演や授業の中で「正しく予想を立てることが大切だと考える人たちが多いと思います。でも違います、間違った予想もとても大切です。重要なことは、まず予想を立てることです」と話しています。
 ヘルモントさんの例もそのことを示してくれていると思うのですけど、どうでしょうか。

 みなさんもどんどん予想を立てて、いろいろな自由研究をすすめてください。

① 毎日1回の〈いいね〉クリックは「たの研」の大きな応援の一票になります!⬅︎応援クリック

② たのしい教育を本格的に学ぶ〈たのしい教育メールマガジン-週刊有料を購読しませんか! たのしい教育の実践方法から発想法、映画の章ほか充実した内容です。講座・教材等の割引もあります(紹介サイトが開きます)

③ 受講費、教材費、スーパーバイズなどの費用は全て、たくさんの方達へのたのしい教育の普及、ひとり親家庭など困窮した方たちへの支援に利用されています

⭐️ 「いいね」と思った方は〈SNSや口コミ〉でぜひこのサイトを広げ、応援してください!

オールドメディアとニューメディア/出版社の書籍はオールドメディアです、それが何か?/高畑勲の話

 高畑勲さんをご存知でしょうか、『アルプスの少女ハイジ』から『ジャリン子ちえ』まで名作を数々世に送り出し、『平成ぽんぽこ』ほかアニメ映画の監督としても有名で、『かぐや姫のものがたり』を遺作にこの世を去りました。

 世界に知られるアニメーター 宮崎駿が最後まで憧れ、乗り越えたいともがいていた人物でもあります。

 久しぶりに高畑勲著『映画を作りながら 考えたこと』文春文庫 を読みました。

 一稿目が〈映画音楽と早坂文雄の死〉です。

 その稿は、こう始まります。私が心をとめた部分をブランクにしてみました。

 早坂文雄が四十一の若さで突然死んだということを新聞で知った時、なんだか「         」という気がした。

 
どういう言葉が入ると思いますか?

「なんだか不意をつかれたという気がした。」です。

 人の死に対して「不意をつかれた」という表現に、驚いてしまいます。その言葉は、A.I.には思いもよらないことで、おそらく高畑勲以外、つむぐことができないものでしょう。

 最近「オールドメディアはダメだ」という論調をよく目に耳にします。TV局の番組などはダメで、真実はYouTube、SNSなどにしかないという主張です。

 オールドメディアがダメだというならこれまで出版されている書籍も、まさにオールドメディアです。ブログなどがよくて、書籍はダメだということになります。
 そんなことは全くありません。
 本・書籍の価値はとても高いものがあります、本・書籍を読まずにSNSなどの文書だけを読んで育っていくとしたら、とても心配です。

 本・書籍の中には長い歴史のふるいに耐えて生き残ってきた、すばらしい価値あるものもたくさんあります。ここ10年20年で出てきたwebのデータと比較すると、はるかに高い価値があるといってよいでしょう。もちろん、そのweb上の文章などにも、こから長い歴史を生き残って後世に伝わるものもあると思います。けれど、今の大半は、歴史の中で消えていくものたちです。

 平均すれば、本・書籍に高い価値があるといって間違いありません。

 私の本当の向かい方は独自で「この本は、私ひとりのために書き残してくれたものだ」と勝手に思い込んで手に取ります。
 独善的ですけど、全く誰にも迷惑がかかりませんし、そんなことはないことは私自身が十分知っていますから、方便・フィクションとしてそう考えるだけです。

 けれど、そう思い込んで読むと、身体に染み込んでくるから不思議です、みなさんも試してみてください。 

 オールドメディアの一冊、高畑勲著『映画をつくりながら考えたこと』をじっくり味わってみようと思います。

追記—
 webで調べてみると、購入した時750円だった本が、2000円以上になっていてびっくりしました⇨ https://amzn.to/3QiPRyb

 このサイトで、中身をいくつか読むことができます⇩
https://www.google.co.jp/books/edition/%E6%98%A0%E7%94%BB%E3%82%92%E4%BD%9C%E3%82%8A%E3%81%AA%E3%81%8C%E3%82%89%E8%80%83%E3%81%88%E3%81%9F%E3%81%93%E3%81%A8/SxLNDwAAQBAJ?hl=ja&gbpv=1&printsec=frontcover

 こういうことはニューメディアのすばらしいところです。お互いのよいところが融合して進んでいくことを期待しています。

① 毎日1回の〈いいね〉クリックは「たの研」の大きな応援の一票になります!⬅︎応援クリック

② たのしい教育を本格的に学ぶ〈たのしい教育メールマガジン-週刊有料を購読しませんか! たのしい教育の実践方法から発想法、映画の章ほか充実した内容です。講座・教材等の割引もあります(紹介サイトが開きます)

③ 受講費、教材費、スーパーバイズなどの費用は全て、たくさんの方達へのたのしい教育の普及、ひとり親家庭など困窮した方たちへの支援に利用されています

⭐️ 「いいね」と思った方は〈SNSや口コミ〉でぜひこのサイトを広げ、応援してください!

 

俺は俺、君は君、彼は彼、彼女は彼女と、ただ単純に認めあえて、さて、お楽しみはこれからだ、なんていう具合になればいいのにね@五味太郎『勉強しなければ大丈夫』ラスト/楽しい教育の発想法=たのしい教育メールマガジン

 週一回発行している〈たのしい教育メールマガジン〉は、たのしい教育を学ぶ本格的な内容で、全国に読者が広がっています。丁寧に読んでくれるみなさんがたくさんいて、読者の一人の方から「毎週届く内容の四つの章を1日一章ずつ読んでいます。今まで発想法とか哲学的な本は読んでこなかったので、発想法の章は休日に読むようにしていて、2回、3回と読み返すことも多いです」というたよりがとどきました。
 

 発想法の章は、私がすでに読んで感動したもの、かつ、板倉先生の許可をもらった内容を中心にして構成しています。

 次週号は久しぶりに絵本作家の〈五味太郎〉の発想法を紹介しようと綴っています。五味太郎『勉強しなければ大丈夫』朝日出版からです。

 ここで紹介するのは、メルマガに載せているものとは別な内容です。
 

五味
 幼児教育においても、知識はさることながら、情緒豊かな、イメージ豊かな子どもに、なんて方向で絵本をとらえたりする。情緒、イメージなんてものの本質をなにも見極めないうちにね。

 情操豊かな子は豊かな人間である、なんてさ。

 その末路として、つまりネガティヴな形として、疑問とか不安とかあるいは混乱とか、そういうものも同時に噴出する。人間のハードディスクはそういったネガティヴなものまでどんどん取り込んでいく性質があるんだろうね。

 人の脳っていうものが他の動物よりは性能いいね、っていつまでも言ってる場合じゃないんだよ。素数の謎を解くだけで狂った人もいるそうだし。3千年後に地球滅亡だと言ったりさ。

 その不安、恐れもインプットされるハードディスクなんだよね。だから容量が大きければ大きいほど混乱してしまって、もう単純な生物機能さえも把握できない状態なんだろうなっていう気がするよ。

 その混乱をさらに推し進める初等教育なんだよな。
 だからさ、今ちょっと落ち着いて、この生物の扱いにくい大容量の脳を、もう一度ゆったりと把握しなおして、その機能のうまい使い方を考えなくちゃいけないんじゃ
ないかなあ。そうそう、核以前に脳の平和利用ってところね。

――また脳を使っちゃいますね。

 仕方ないね。なにしろ脳ある生物なんだからさ。
 たださ、せっかくこの世に生まれ出たんだから、せめて互いを侵しあわない社会であってほしいなあと思うだけなんだ。

 俺は俺、君は君、彼は彼、彼女は彼女と、ただ単純に認めあえて、さて、お楽しみはこれからだ、なんていう具合になればいいのにね。

 欲しい方はぜひ手にしてみてください。

サンプルが読めます⇨ https://amzn.to/42WWYUh

① 毎日1回の〈いいね〉クリックは「たの研」の大きな応援の一票になります!⬅︎応援クリック

② たのしい教育を本格的に学ぶ〈たのしい教育メールマガジン-週刊有料を購読しませんか! たのしい教育の実践方法から発想法、映画の章ほか充実した内容です。講座・教材等の割引もあります(紹介サイトが開きます)

③ 受講費、教材費、スーパーバイズなどの費用は全て、たくさんの方達へのたのしい教育の普及、ひとり親家庭など困窮した方たちへの支援に利用されています

⭐️ 「いいね」と思った方は〈SNSや口コミ〉でぜひこのサイトを広げ、応援してください!

計算だったら電卓がある、漢字だったらスマホでキレイに打てるよね、何で勉強してるの、今の人?/学ぶ意味があるのか、勉強する意味があるのか?

 珈琲を手に座った時、たまたま近くのテレビで不登校の子どもたちと、それに取り組む学校の様子が流れてきました。オールドメディアと揶揄されるTVだけれど、こういう重厚なものはYouTuberでは作ることができないでしょう。
 「今からはデジタルの時代だ、紙の本はなくなっていく」といわれて30年くらい経ちました。少なくなったとはいえ、紙の本がなくなることはありませんでした。
 オールドメディアだと貶されるものは、見る側を「この程度の連中だ」と考えてつくる番組などであって、人間や自然、文化に敬意を表して、これを伝えたいと真剣に考えている人たちが創ったものは、いつまでも新鮮な感動をよぶでしょう、負けないでください。

 閑話休題

 番組の中、ある女の子が不登校のきっかけを「先生が疲れている感じがわかって、教え方がイライラしていて、ときどき怖い顔をする、それで気分が悪くなったりして学校にいきたくないな、と感じ始めた」と話ていました。

 教員を長年続けていると、そういうことはあるでしょうから、全ての教師にとって気になる話です。とはいっても子どもたちは優しいので、一度二度でそういうことになることはほとんどありません。そういう日々が続くと、学校から遠ざかる子どもたちが出てくるわけです。

 その子は鋭くて「計算だったら電卓がある、漢字だったらスマホでキレイに打てるよね、何で勉強してるの、今の人? って感じだった」と話していました。
 小学生でこれだけシャープなことを考える、語ることができるというのは、やはり感覚的に他の子どもたちより進んだところが多かったのだと思います。それだけに先生のイライラが何倍も痛く感じたのでしよう。

 さてみなさんは、この子の問いに何と答えるでしょうか?

計算だったら電卓がある、漢字だったらスマホでキレイに打てるよね、何で勉強してるの、今の人?

「いやいや、たとえば漢字にも〈帰す〉と〈返す〉とかいろいろあるから、その意味に合った漢字にするには、やっぱり自分で勉強していないと困るんだよ」

                ですか?

 だとしたらA.I.が発達してほぼ99.9999%の確立で正しい漢字を出してくれるとしたら、もう漢字の勉強は要らなくなるということでしょうか。
 読む時には、今の時点ですでにかなり正しい読みをしてくれるサービスが出ていますから、読み方すら学ばなくてよくなってしまうのでしょうか?

 感動と結びつく学びが人間の可能性を高めていくのです。

 漢字の学習やかけ算九九が苦しくてもがんばれ、テストに出るぞ型の学習でなく、たのしさ・感動に結びつくものとして伝えることができれば、やはり学ぶ意義があります、学ぶたのしさがあります、そうやって育っていけば、人間の可能性はどんどん高まっていくでしょう。
 それは私たちのDNAに深く刻まれた〈たのしさ〉です。

 A.I.がやってくれるから要らない、程度の学習が横行していくとしたら、人間は新しいものを生み出す力がなくなっていって、困難な状況ならずっと困難なまま、治療法の見つからない病気は、そのままずっと見つからない、そういう停滞の社会になっていきます。

 これまで人間は困難な状況をどんどん突破してきました。

 そういう力を身につけるのはたのしさしかありません。

 〈たの研〉には楽しい学びのプログラム、楽しい食育のメニュー、楽しいエクササイズなど、たくさんの選択肢があります。興味のある方はお問い合わせください。

① 毎日1回の〈いいね〉クリックは「たの研」の大きな応援の一票になります!⬅︎応援クリック

② たのしい教育を本格的に学ぶ〈たのしい教育メールマガジン-週刊有料を購読しませんか! たのしい教育の実践方法から発想法、映画の章ほか充実した内容です。講座・教材等の割引もあります(紹介サイトが開きます)

③ 受講費、教材費、スーパーバイズなどの費用は全て、たくさんの方達へのたのしい教育の普及、ひとり親家庭など困窮した方たちへの支援に利用されています

⭐️ 「いいね」と思った方は〈SNSや口コミ〉でぜひこのサイトを広げ、応援してください!