研究所のたのしい教育で育った子ども達/アシスタント候補のAくん

 私いっきゅうは、講座などではスタッフのサポートが入りますが、海外、県外、県内離島など、離れたところでは、わたし一人で授業しています。
 わたしは長年、学校で教師をしていました。
 教師にはアシスタント(助手)はいませんから、それはある意味、普通のことです。

 教師がアシスタントが欲しい時にどうするか?
 子どもにアシストをたのみます。

 教師をたとえば〈炎を使う実験〉の時

わたし

「YくんUくん、万が一、火が何かにうつった時のためにバケツに水汲んでいつでもかけられる様に、消防士の役、お願い」
YくんUくん

 「ラジャー」

という感じです。
 そのうちに子ども達から「先生、消防隊を作ろうよ」という話が出て係活動になり、いちいち頼むこともなくなりました。

 研究所への依頼授業で遠くに出かけていき、一人で授業しなくてはいけない状況でも同じです。
 必要な時には、参加してくれた方に
「これ持っていてくれませんか」
という様に頼むのが普通です。

 たとえばこの写真。
 左から二番目が私、その向かいにいる参加者の方にヘルプをたのんでいるシーンです。


 アシスタントといえば、最近こういうことがありました。
 たのしい教育研究所には先生や保護者の方に連れられて、子どもたちもやって来ます。
 Aくんはこれまで研究所のたくさんの講座を受けてくれた子です。
 科学的に考えることだけでなくスポーツが大好きで、県の大会で優勝する様な子です。
 Aくんに「これまでたくさんの講座を受けているので、そろそろいっきゅう先生の助手として働くのはどう?」という話をしたら
「やりたい」とのこと。

 さっそく助手用のコスチュームを着てもらったら、けっこう似合っていました。なにやらポーズを決めていますけど、私には何のポーズかわかりません。


 この姿をみたスタッフのYさんが
「いっきゅう先生もAくんも探し物が得意じゃないから、授業の時に二人で〈あれがない、これもない〉と探し回ってばかりで授業にならなかったりして」
 とつぶやくと、みんな大笑いでした。

 まあしかし、いつか研究所の授業でデビューするかもしれません。
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沖縄市の出前児童館でたのしい手作り楽器〈カズー〉を作ります

 たのしい教育研究所でスタッフが集まって〈たのしい教材会議〉を開催。九月の出前児童館(沖縄市)での授業でとりあげる内容です。

 いろいろな案の中で九月の内容として選出された一つが手作り楽器〈カズー〉です。

 アフリカの民族楽器で、こういう説明がwikipediaに載っています。

カズー(Kazoo)は膜鳴楽器の一種。バズーカとも言う。元はアフリカの楽器で、黒人奴隷によってアメリカにもたらされた。

真鍮(あるいはプラスチック)製の管の一部に羊皮紙(現在はポリプロピレンフィルムなどで代用)を張り、口に咥えながら声を発し、共鳴、振動させて演奏する。発声によって音の高低を付ける事ができる。

ラッパ型や潜水艦型(クジラ型と呼ぶものもいる)などの形があり、約500円程度の安価で買えるなど、非常に玩具的要素の強い楽器である。日本の駄菓子屋や野球場などでも、より簡易なものが「ブーテキ」の名前で販売されている。

他の楽器に比べ非常に安価で、練習をほぼ必要としない手軽な楽器であり、軽妙、滑稽な音が出ることから、特にジャグ・バンドやフォークの楽曲で使用される事が多い。またギターの弾き語りの際に、ハーモニカ用のホルダーによって口元に取り付け演奏する場合もある。

 RCサクセッションの名曲「ぼくの好きな先生」でも利用されています。山崎まさよしも使っているとのこと。

 カンタンに作ることができて、しかもハミングで曲を口ずさめば、それが共鳴して音を出すので、演奏も難しくありません。

出来立てのカズーを演奏してみたらア~ルが飛んできて目を丸くしてみつめていました。

 沖縄市の出前児童館9月は
9/10(月)知花公民館
9/11(火)胡屋公民館
9/12(水)登川公民館
9/13(木)比屋根公民館
9/14(金)松本公民館
 時間は16:00~18:00

 手作り楽器〈カズー〉以外にも、アクションゲームや読み語りなど、たのしく賢くなるものがいっぱいです。

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自由研究について子ども達へ贈った言葉+α (大人の皆さんへ)/大人も子どもも自由研究をたのしもう(後半)

自由研究について書いている前回からの続きの内容です。まだの方は一つ前に戻ってお読みください。

 はじめに書いた様に、研究は科学者になる人たちに必要だ、ということではなく、誰にとっても大切なことです。
 ごく普通の暮らしの中でも、音楽がすきな人はスピーカーのおき方などを工夫して「もっとよく聞こえる音の研究」ができるでしょう。
 石の上に置いたり、ヒモでつるして空中にぶらさげたり・・・

 先生になりたいという人は今のうちから「子ども達がもっとたのしく授業してくれるものを探す研究」ができるでしょう。
 実際、たのしい教育研究所には、そうやって、いろいろな研究をしている人たちがたくさんいます。

 夏休みはおわりますけど、みなさんが、これから好きなことを見つけて、自分で予想を立てて確かめていくことができる様になることを、たのしみにしています。
 何か、たのしい実験がみつかったら、たのしい教育研究所にもメールなどで教えてくださいね。

 大人のみなさんは、仕事の中では自由に研究することが難しいと感じるかもしれません。そういう難しさをいろいろもらっていますから、最後にそのことについて書きましょう。

 たいていの仕事は長い歴史をもっていますから〈こういう場合にはこうする〉というルーティンが決まっていることも多いでしょう。
 しかし実は、そういう中にもたのしい研究の可能性がいくつもみつかります。
 会社で受付担当の方なら、来てくれた方が微笑んでくれる対応、声のトーンなどを予想を立てて確かめていくこともできるでしょう。
 車の整備のお仕事をしている場合、修理する時に勝手にやってもうまくいきません。合う部品はすでに決まっていますから、自分に作ることもできないでしょう。
 しかし、修理して後、車の持ち主に〈こうすれば長持ちしますよ〉というアドバイスはできます。専門家の目でその車の状態を見れば〈中古の部品で安く済ませてしまったら結果的にはやく買い換えることになる〉ということがわかるかもしれませんから「確率的に70パーセントくらいで考えていただきたいのですけど、部品代が高くなっても、新品に変えた方が結果的に長持ちして、全体として安くすむと思います」というように伝えていくことで、あの修理店は腕がいい、信頼できるという様な評判が出てくるかもしれません。それも〈研究〉です。
 
 学校の先生で、研修を担当している人もいるでしょう。
 生徒指導の先生なら、たのしい生徒指導という研究もできると思います。
 研修する教科や内容は前年度で決まっているかもしれません。算数で〈文章題〉をとりあげるような場合でも「子ども達の笑顔が広がって、もっと学びたいといってくれる様な研究をしませんか」という流れをつくっていくことは可能です。

 指導要領にも〈主体的・対話的で深い学び〉とあるくらいですから〈主体的になる=もっと学びたいと感じてくれる⇨たのしんでくれる〉という流れも自然です。
 研究というのは必ずしも予想どうりにいくものではありません。
 時にはこども達が「こういう勉強より他の進め方で教えてほしい」という評価をするかもしれません。
 しかし予想が外れたとしてもそれは重要な研究結果です。
 それをどう工夫改善していけるのか、新しい内容をどう提供していけるのか、そういう進め方をしていくことで、子ども達が主体的に学ぶ内容を発見することができる様になるでしょう。

 どういう仕事にしても、昨日と同じ今日、一週間前と同じ今日、去年と同じ今日という様な動き方をしていると苦しさも大きくなっていくのではないかと思います。

 進化の流れをみていても、人間はもともとDNAの中にチャレンジしたい気持ちが刻まれているとしか思えません。
 わたし達の祖先、猿人ルーシーは木々の上で木ノ実を食べていた暮らしをすててサバンナへ向かって歩きはじめました。
 そのDNAを引き継いでいる私たちは、今、火星にも行こうとしています。


 仕事だから決まり切ったものだと思えても、そこにはいろいろな研究の可能性があるに違いありません。
 ぜひ、自分で何か見つけて研究をすすめてみてください。

 仕事やふだんの暮らしの中で、少しずつでも明るくたのしく賢い方向に向かって工夫していくことで、わたし達の生活も豊かになっていくのです。

 たのしい教育研究所では、そういう皆さんを心から応援しています。

 では、またみなさんに会えることをたのしみにしています。

 もしかすると、また10月に親子参加できるたのしい講座を開くことができるかもしれません。
 その時には連絡しますね。

 たのしい教育研究所 の講師スタッフみんなより
2018年8月26日
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〈自由研究について〉子ども達へ贈った言葉+α 大人の皆さんへ(前半)

   自由研究の講座に参加してくれた子ども達へメッセージを贈ったところ、いろいろな反響が届いています。中には「もっといろいろな人たちに読んでほしいと思いました」という声もありました、ここに掲載することにします。
 加えて〈すでに大人になった皆さんへ〉という内容も書き足しました。
 参加者に届けた手紙は読み仮名をつけてありますが、このサイトではついていません。子ども達に読んであげる時にはゆっくり丁寧に読んであげていただければ幸いです。

RIDE(たのしい教育研究所)の「たのしい自由研究」の講座を受けてくれた皆さんへ 

 先日は「たのしい自由研究」の講座に来てくれてありがとうございます。
 みなさんから「とてもたのしかったです」「もっとこういう勉強をしたいです」「次も必ず参加したです」という様なうれしい感想を読んで、講師・スタッフ全員でとても喜んでいます。
 その感謝をこめて、自由研究についてもう少しお話しさせてください。

 今回みなさんが参加してくれた講座のテーマである〈自由研究〉の「研究」とはなんでしょう?

〈いろいろ調べることが研究だ〉とかん違いしている人がたくさんいます。しかし、そうではありません。

 講座の中でも皆さんにたくさん予想してもらいましけど、〈研究〉というのは〈予想を立てて確かめていくこと〉です。

 そういう研究は、将来、科学者になる様な人にしか役立たないのでしょうか?

 いいえ、そうではありません。

 研究は、ごく普通のわたし達の暮らしの中で、とても役立つものなのです。
 そして、研究はわたし達の生活をたのしく豊かにしてくれます。

 たとえば、たのしい教育研究所には、ウェルカム(いらっしゃいませ)担当のア~ルという子ネコがいます。大きな道でバスにひかれそうになっているところを保護されて、一ヶ月くらい前に研究所にやってきました。〈アルキメデス〉という立派な名前があるのですけど、普段はみんなア~ルと呼んでいます。


 研究所にくる人たちが仲良くしてくれて、ア~ルといろいろあそんでくれるのですけど、あるとき仲間たちと、こういう研究をしてみました。

 ネコは〈犬ほどではないけれど鼻がとてもよい〉という話があります。
 本当でしょうか?
 研究所のメンバーで予想を立てて実験をしてみました。

 研究所のメンバーが講座などで外に仕事に出た時、たべものを、いつもの場所とあわせて4ヶ所においてみたのです。
 ア~ルは育ちざかりで、たくさん食べますから、一回でペロリと食べてしまうくらいの量を分けて4ヶ所においてみたのです。
 メンバーがもどるまで2時間くらいあります。
 ア~ルは分けておいた食べ物をみつけて食べてしまうのでしょう?

 それぞれ別な部屋に分けておくことにしましたが、どの部屋も自由に出入りできますし、中身はア~ルの大好きなカンヅメのお肉を使いましたから、普通のタイプのたべ物よりずっとにおいがするはずです。部屋は違っているとはいっても、ほんの3~4mもくらいしか離れていませんから、鼻が良いならカンタンに見つけることができるはずです。

 研究所のメンバーの予想は
  ☆全部みつけて食べている
  ☆三ヶ所みつけて食べ、一ヶ所はみつけきれずに残している
の二つに分かれました。

 みなさんはどう思いますか?

 予想がどうなっているかワクワクしながら研究所にもどると・・・
 なんといつもの一ヶ所だけ食べて、残り3つは食べていませんでした。

 鼻がきくだろうからカンタンに見つけて食べているだろうという予想はみんな外れてしまいました。

 もちろんこの実験一回だけで、ネコの鼻の良し悪しをきめることはできません。
 ・食べ物のにおいがしなかった
 ・ア~ルの鼻がわるかった
 ・ア~ルは頭がよくて、いつも決められたところのほかにはないと思い込んでいた
そのほか、いろいろな理由が考えられますからね。

 ア~ルの鼻がわるいというのは、まちがっているうと思います。
 ア〜ルとさんぽしていると、草や土のにおいをかいで、そのにおいの強い方へとどんどん進んでいきますから。

 こういうものは研究にはならないとおもうかもしれません。しかし、一回の研究ではわからなくても、いろいろな実験をしていくことで、ネコの行動のしかたや、鼻のよさなどがはっきりとわかってきたりするものです。そしてそれはア~ルにとっても、ア~ルとつきあっている私たちにとっても、たのしく豊かな生活の一歩です。

 実はそういう研究は、身近なものだけではなく、これまで治せなかった病気を治したり、これまでできなかった道具を作ったりすることができる様になるのです。

 みなさんが身近なことで、いろいろ予想を立てて実験し、研究をすすめていくことは、みなさんの身近な暮らしも豊かにしていきますし、研究をすることが普通にできる様になると、将来大きな発見・発明をする様にもなるでしょう。

 ところで今回の自由研究の講座でとりあげたものは、どれも科学のとても大切なものをとりあげています。

☆ 太陽系の正しいイメージモデル
☆ 空気が粒であることを〈空気てっぽう〉でたしかめる
☆ 遠くはなれたささやき声でも、その音を集めることによってハッキリ聞こえる
☆ 研究にやく立つ本の話
☆ 化学の基礎:身近なものをくみ合わせることによって個体と液体の中間の物をつくることができる
☆ まわりの人たちと仲良くなることは研究にとってもたいせつなこと 

 ほか

 みなさんがそれをたのしんで、さらに自分でも研究を深めていって欲しいと思っています。
 実は、話したいのはここからです。
 みなさんとたのしんだ内容は「自由研究」です。

 「研究」は〈自由〉ではなく「やらされる研究」というものがあるのです。
 〈キミはこれを研究しなさい〉〈あなたはあれを研究しなさい〉という様に命令されてやる研究です。
 そういう研究は、まだ練習の段階かならしかたありませんけど、ずっとそういう研究ばかりやっていると、あまり大きな成果は期待できません。
 何しろ、自分がやりたいと思っているわけではなく、仕事の一つとしてやらされていたり、成功したら給料が上がるという様なほうびをあたられてやっていることが多いからです。

 人間の歴史を見ても、とても大きな成果をあげた人は「これをやりなさい」と命令されてやったのではありません。
 自分自身が「こういう研究をしたい」と考えて、どんどんその研究をすすめていった人たちが、大きな発見や発明をしているのです。
 そういう人たちは、何しろ熱意がちがいます。
 周りの人に「やめろよ」と止められても、自分のやりたい研究を進めて行きました。
 時には、困ることもおこって、研究を中断することがあったかもしれません。しかし状況がよくなったら、また研究をはじめていきました。

 科学のもっとも基本である「原子」も、そうやって研究していった科学者が発見したのです。
 太陽が地球を回っているのではなく、地球が太陽を回っていることも、そういう人たちが発見しました。
 大きいものと小さなものを落としてもほとんど同時に落ちることも、自由に研究していった人が発見したのです。
 つまり自由研究こそが、本物の研究なのです。

 今回の研究所の授業をうけたみなさんが、いつか自分で「これを研究したい」というものが見つけることができたら、それはすばらしいことです。
 自由に研究するたのしさは、みなさんの生活をたのしく豊かにしてくれることでしょう。

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