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論文と空手の共通点〈強さ〉そして〈美しさ〉 論文の書き方入門

 今日も研究所に届いた〈論文ワークショップ〉の課題に今朝も手をいれていました。最近は管理職試験を受ける方からの受講申し込みもあり、論文指導の需要が高まっています。

 論文の添削にはかなり集中力が必要になりますが、「どういうところを見ているのですか」という質問がありましたので、そのことについていくつか書いてみようと思います。
 単に目の前の試験、ということではなく一生使う文章の力を高めるという意味で読んでいただけたらと思います。

 わたし いっきゅうは、子どもの頃から空手を学んできました。そのことは身体の隅々に染み込んでいるので、ごく自然に武術家としての発想が出てきます。おもしろいことに、そうやって滲み出てくる言葉は、レクチャーを受ける側にも伝わり易くなっている様です。
 今回は〈空手と論文〉との共通性ということでいくつか書いてみたいと思います。

 論文というのは研究や考えを論じた文章です。
 そこには〈自分のオリジナリティ〉が出て来るのが普通です。

 試験などでは、その問いかけに応じて書き進めなくてはいけません。しかし〈誰でも書きそうな一般論〉を書いていては、選考の際に高い評価は望めませんし、広く受けての側から〈おもしろい〉という評価を得ることは難しいでしょう。
 たとえば研究所に学びに来る教師に伝えていることは〈評論家でなく実践家であれ〉ということです。教師は教育の最前線に立っているのです。そこでは評論力より実践力が重要となります。
 具体的に何をどうしたいのか、それが生き生きと綴られる様になってこそ、問いかけた側も深く読みたくなるのです。
 より実践的であること、それはつまり実践家としての〈強さ〉といってもよいでしょう。

 もう一つ。

 空手は琉球の時代からあったものです。ですから琉球空手という呼び方が普通です。琉球空手は大きく三つに分かれます。現在ある数々の名称の空手流派も源をたどれば〈上地流〉〈剛柔流〉〈小林流〉のいずれかにいき着くでしょう。
 それぞれの流派にそれぞれの〈型・形〉があります。
 審判をするときにはそれぞれの〈型〉の〈美しさ〉を重視します。ちなみに〈組手〉と呼ばれる試合でも〈美しさ〉は重要な判定要素です。

 論文で美しさを強調する人はいませんが、たのしい教育研究所では常に〈美しさ〉を意識した指導をしています。
 〈論の流れ〉が乱れると美しさが損なわれます。
 〈常体・敬体〉の崩れも美しさが損なわれます。
 〈文字〉そのもの、〈漢字・語句〉の間違いもそうです。

 全体を読み、その論文が美しいのかどうか。美しいとしたら、合格論文にもっていくのはあまり時間はかかりません。
 美しさに欠けるとしたら、それは美しさを意識したポイントを指導してもらう必要があると思います。

 語ることでは魅力的なことを発信できる人でも、書くとなるとそうもいかないことが多々あります。
 語ることは日常でどんどんトレーニングしていますが、書くことはさほどトレーニングしていませんから、時間をどれくらいかけるかによる差なのです。

 しかしやみくもに時間をかれればよいというわけではありません。
〈強さ〉と〈美しさ〉それを意識して書いていくことをおすすめします。

 そういうことをコーチしてもらう相手がいない場合には、まず手始めに高校の国語の教科書を手に入れて、それを読むことをお勧めします。
 読んで来たけれど特に自分の文章に影響したという経験はない、という人もいるかもしれませんが、それは「自分が書くとしたら」という意識で読むことがほとんどないからでしょう。
 何度かここでも書いて来ましたが、特に高校の国語の教科書はとてもよくできています。わたしは活字中毒なのですけど、忙しさが重なり、趣味で本をよむゆとりはなくなってきました。それでもわずかに時間が見つかったら、手にするのはもっぱら高校の国語の教科書です。そこには唸るほどの作品がたくさんあります。
 まずその中の随筆や主張系の文章を読んでみることをお勧めします。
 この項がお役に立てたら幸いです。

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