最新号の〈たのしい教育メールマガジン〉に書いている記事を少しUPさせていただきます。仮説実験授業研究会代表・日本科学史学会会長 板倉聖宣が語った内容です。数学教育協議会(数教協)で語った内容ですが、相変わらず迫力満点です。
たとえば、クラスの平均身長をわり算でだしなさいという問題が出されたときに、なぜ平均身長をださなければならないかわからなければ、平均値の計算をしない方がよいのです。
もしクラスの平均の身長を出して、そのあと座高を出してイスの大きさを決めるというなら、これはクラスの平均を出す意味がありません。全員が同じイスに座るわけではありませんから。クラスの平均値を出して、その平均値に合ったイスを揃えるなどという発想がおかしいわけです。イスを揃えるなら〈どういう区間に何人の子どもがいるか〉という統計をとらなければいけないのです。
そのことを知らないですぐに〈わり算〉をしたり〈かけ算〉をしたりして答を出してしまう人がいる。これは困ったものです。
そういったことをはっきりさせてやれば、こういう場合にはこういうことをしなければならないということがわかってきます。そういう様に、子どもたち自身が「ああ、学んでよかった」ということが授業の途中でわかってくるような、そういう内容をとりあげて教える必要があるのです。
ところがその点、数学教育というのは、昔から教えることがだいたいきまっているような感じがするのですからいけません。なんとなく教えていて「昔からオレも教わって知っているんだから、これからの子どもも知っている必要がある、どうせ入学試験にも出るんだからなあー」ということになってしまう。子どもたちがわかるに値すると思ってこれることを教える。そのことをはっきりさせなければなりません。
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