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学級崩壊をどう立て直すか/カウンセリング・スーパーバイズの現場から/見方・考え方①

 学級崩壊はおそらく、一般のみなさんの予想を超えて広がっているものの一つです。

 何をもって学級崩壊というか、不思議なことに、その定義ははっきりと示されていません。
 かつて教育研究所(教育政策研究所の前身)が〈学級がうまく機能していない状態〉の定義として

子どもたちが教室内で勝手な行動をして教師の指導に従わず、授業が成立しないなど、集団教育という学校の機能が成立しない学級の状態が一定期間継続し、学級担任による通常の手法では問題解決ができない状態に立至っている場合

とまとめています。→ウィキペディア

 この定義は〈学級がうまく機能していない状態〉というタイトルと対応してないと思うのは私だけではないでしょう。
〈うまく機能していない〉というのは〈とりあえずは機能している〉ことでもあるからです。
 ここにあるように〈指導に従わない・授業が成立しない〉のなら、それはうまく機能していないのではなく「本来的に機能していない」のです。

 英語では「Classroom Disruptions」と訳されることが多いので、それでいくつか英文のサイトをチェックしてみました。
 たとえばこう書かれています。

Classroom Disruptions

Disruptive behavior in the classroom is defined as behavior that is repeated and continuous and/or prevents an instructor from teaching and students from learning. 

学級崩壊はこう定義される。
〈繰り返される連続的な行動、加えて・あるいは、教師が教えること、生徒が学ぶことを妨げる行動〉

  こちら

 そこにはかなりはっきりと〈教えることや学ぶことを妨げる行動〉と書いています。
 崩壊が行動と定義される違和感はありつつ、シンプルな説明に納得する人たちも多いかもしれません。

 この他にもいろいろなサイトを読んでみましたが、日本でもアメリカでも、一つの大きな視点がかけているというのが私の見方です。

 それは「教師側がそのクラスの子ども達が喜んでくれる、学びたいという意欲を削ぐ内容を提供していることがある」という視点です。

 子ども達が学びたいと思ってくれる様な内容を提供しているのにもかかわらず、ある特定の子ども達がその授業を妨害する様なことがある場合もありますから、全てに当てはまるわけではありませんが、そうではない場合も多いことは教育者として頭に入れて置きたいことです。

 かつての日本には「この計算を30回」というような機械的な指示にも従う子ども達がたくさんいました。しかし今では、そういう単純な訓練が続けば、子どもたちはやる気を失っていくのです。
 時代を遡るほど、強制に従順な子ども達が多かったのは、それを乗り越えていくことで得られる進学・出世などのメリットもあったからです。
 しかし社会が豊かになっていくうちに、将来的なメリットを大きく捉える人たちは少なくなり、今現在の自分の生き方・価値観を大切にする子ども達がどんどん増えてきました。それはすばらしいことです。
 そしてその子たちにとって魅力ある内容を提供することは、教師の本来的な使命であり醍醐味でもあるでしょう。

 私いっきゅうにカウンセリングやスーパーバイズを依頼してくる先生たち管理職の方たちがいます。私がそのまま続けるかかどうかの判断の基準があります。

 教師自身に責任はなく子ども達に原因があるという視点しか持たない方たちのカウンセリングやスーパーバイズはほぼ一回で終わるようにしています。
 自分には責任の無い、起点の無いものを解決することはほぼ無理です。たとえば自分の行動などの責任を感じることのできない、遠く離れた国に住む見ず知らずのAさんをどうこうしたいと思ってもほぼ無理なことだというのと同じです。

 自分には責任はなく、子ども達の責任だという場合の対応は結局、その子ども達を特別支援のクラスに入れるとか、病院で診断してもらって落ち着く様な薬を処方してもらうとか、偶然の解決や強権発動的なものに限られるでしょう。
 カウンセリングやスーパーバイズで変えられるのは自分自身の行動であり、不合理な考え方や上手くいかない方法です。

 もしも自分の行動や方法、基本的な見方・考え方が、今目の前の子ども達にそぐわなかった、やる気を削いでしまっていたと気づくことができれば、RIDE(ライド)には、その具体的な立て直しの方法を数々提供することができます。※たとえば今月の〈たのしい教育Cafe〉では、その有力ないくつかを紹介することができます。興味関心のある方はお申込みください。

 自分は正しいことをしているのに子ども達がそれに従ってくれないからいけないのだと本気で思っている人たちは、考えてみてほしいのです。
 もしも「自分たちはいい製品を作っているのに、それを買わない人々がいるからいけないのだ」と考えている会社があったら?
 客が入らない映画を作った監督が「それに気づかない客のレベルが低いんだ」と言ったら?
 その会社その監督にどういう未来が待っているかを。

 たのしい教育で崩壊したクラスを立て直していった先生たちが何人もいます。
 立て直しは簡単ではありませんが、それを成し遂げた時の喜びと、そこで培われた力は、教師自身の幸せに繋がることは間違いありません。

 クラスが崩壊の方向に向かっていると気づいていたらできるだけ早くRIDE(ライド)に学びに来ていただけたらと思っています。

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