日本は明治以来はじめて〈教育〉の〈供給過剰〉に陥った-板倉聖宣2013-このサイトを読んでくださる皆さんがRIDE( たのしい教育研究所 )の大きな支えです

 たのしい教育は〈たのしさというスパイス〉をふりかけることで、子どもたちが少しは勉強してくれるだろう、という様な小手先の手法ではなく、教育を根本的に改革するものとして提唱しています。それは「たのしくてもっと勉強したい」という構造であり、新学習指導要領に謳われた〈自主的・対話的で深い学び〉も「たのしい教育」の元でこそ成立すると考えています。

 現在は、明治期に近代的な教育制度がスタートして以来、新しい時代へ向けて大きな変革が始まっているのです。

 文科省の国立教育研究所でその始動を感じ取っていた板倉聖宣は、仮説実験授業という画期的な教育方法と共に、時代の変化をわたしたち教育者に伝え続けてきました。
 今から五年前、科学技術振興機構(JST)の講演に呼ばれた板倉聖宣は、こういう話をしています。わたしにとっては何度も聞かされてきた内容で、特に新しい話ではありませんが、こういうことを聞いていない方達には刺激ある内容だと思います。紹介させていただきます。


 一番重要な今日的課題は〈日本は明治以来初めて、教育の供給過剰に陥った〉ということでしょう。
 これは余り認識されていないことですが重要な問題です。
 明治以来の歴史の中で、教育だけはなかなか需要が頭打ちにならなかったので、いつまでたっても上級学校がいばっていて、「勉強するまで入学させないよ」という入学試験の差別制度を保ってきました。
 しかし10年近く前、それ以来から、急速に大学院が供給過剰になって、上級学校に行けば行くほど得をするという時代は終わりました。
 そしてみんな勉強しなくなりました。

 明治以来、入学試験を軸にして日本は教育を発展させてきました。入学試験があって初めて日本の教育が成り立っていたのです。
 ところが入学試験が機能しなくなってきた。
 これは見方をかえればチャンスです。

 しかし一部では、いまだに入試で生徒を勉強させようとしている。
 入試がだめならTOEFLというようなことで「受かったら得する試験を課して勉強させる」という構造を維持しようとしています。
 しかしそういう方法は供給過剰のときには機能しないのです。

 日本の教育は〈入試はいけない〉といいながら入試に頼ってやってきました。このことを認めて、かつ、その構造が機能しなくなっていることを認識して新しい方向性を考えないといけないんです。
 しかしそこのところがうまく認識できてないから、今いい加減なことをやっているのではないかと思います。

板倉聖宣2013.7.7
仮説実験授業研究会ニュースより抜粋

 新しい時代は変革の痛みを伴うものですが、〈たのしい教育〉は、ゆっくり着実に〈たのしさ〉という旗幟を掲げて歩いて行きたいと考えています。それは多くの人たちの感動と希望を原動力にして進めていくもので、決して闘いや苦しみの中で進めていくものではありません。
 みなさんの周りの子ども達が〈こういう勉強ならもっとやりたい〉〈もっといろいろなものも学びたい〉と思ってくれる、それは未来の希望以外の何ものでもないでしょう。
 そして、このサイトを毎日読んでくださっているたくさんの皆さんが、その未来の希望を大きく支えていると考えています。
 最近は「こういうものを読みたい」「以前書いたあの話の続きを書いてもらいたい」という様なリクエストもいろいろ届く様になってきました。
 ますます読み応えあるサイトにしていきたいと感がています。
 ご意見、リクエストがありましたら遠慮なくお寄せください!⇨こちら

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新作教材〈ごめんなさいねカード〉-自由研究でもたのしく使えます

 またまた新作教材が出来上がりました。名づけて「ごめんなさいねカード」。

 みなさんは、周りの人たちにすなおにあやまることができますか?

 あやまること、謝罪は子どもだけでなく大人にとっても難しいですよね。

 そんな時に、このカードと一緒に使うと、相手が笑ってくれるかもしれません。ただし、真剣に謝罪しなければいけないときは、やめておきましょう。また使う相手を間違えると、よけい怒らせたりすることもありますから注意してくださいね。

 これが〈ごめんなさいねカード〉、手にすっぽり入るサイズで、一緒に頭を下げてくれます。

 

 手に乗っけると・・・

ほら、すぐにこうなります。

 トレーシング・ペーパーが曲がる性質を利用して作りました。
 これ以外にも〈かかってきなさいカード〉など、たのしいカードがいろいろ出来上がっています。

 最新号のメールマガジンに簡単に作成する方法などをまとめました。
 メルマガには毎週毎週、この様にたのしく子ども達(大人でも)たのしめる教材が載っています。現在310号になり、人気もどんどん高まってきています。このサイトで〈たのしい教育〉に興味をもって、さらにもっと学びたいという方達はご購読ください(有料⇨こちら)。

 たのしいものづくり系として夏休みの自由研究などでもいろいろ利用できると思います。

 講座などをおたのしみに!

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好奇心を失わない、潰されないためには?-好奇心が失われていくのは日本の現象なのか? 読者からの質問に答えて①

 ネコのア~ルを紹介しながら〈好奇心の大切さ〉を説いた先日の内容の反響がいくつも届いています。熱心に読んでくださる方たちがゆっくり増えてきていることを感じて嬉しくなります。
  ア~ルが可愛いというメールもありました。
 現在ア~ルは〈癒し担当・スマイル担当〉の仕事が無いので休憩中ですけど、ソファーの上で眠りながら、回転競技の選手のような格好をしていて、癒し笑わせてくれています。


 さてその中に質問が入っている便りがいくつかありました。
「現在の教育の状況で子どもの好奇心が失われない、潰されないためにはどうしたらよいでしょうか」
「好奇心が失われていくのは世界共通のことなのでしょうか、日本人特有のことなのでしょうか」
という質問です。

 はじめの〈好奇心が潰されないためには〉という問いに答えるのは実は簡単です。
「たのしい教育を学ぶこと」であったり、「危ないからやめなさい」ということを少しずつ減らしていくことであったり、「子どもに尋ねる」ということだったり・・・

たとえば
⭐ このサイトを毎日読む、隅々まで読む
⭐ たのしい教育メールマガジンを購読する 
⭐ たのしい教育研究所の講座に積極的に参加する
などの〈たのしい教育を学ぶ〉シリーズ

子どもに対してなら
⭐ 病院にいくなどの大きな危険がなければ、そばで安全を確認してあげながら子どもの自由にさせてあげる 
⭐ 予想チャレンジの機会を積極的に作ってあげる 
 これをこうしたらさぁ~、どうなったと思う 的なものなど色々
⭐ いろいろな提案をして、子どものリクエストに応じてあげる
 ・釣りをする ・木登りをする ・山登りをする ・野菜を育てる etc.

 大人が自分の好奇心を膨らませるには
⭐ 同じジャンルに興味をもっているグループと活動する 
⭐ わたし、いっきゅうのLEAPカウンセリングを受ける
⭐ 〈~なのでやめよう〉という自己制限を1日1つはずしてみる
 ・お金がもったいないから高いお弁当を買うのはやめよう など

実はたっぷりと考えられるのです。

 ア~ルの様な好奇心を超えて、わたし達人間はもっとたのしいことをたくさん味わうことができます。
 衣食足りていれば、ア~ルよりたのしくゆたかな暮らしができるはずなのです。

 そして好奇心たっぷりの人たちが増え、才能を開花していくことで、未来がよりたのしく素敵で豊かなものになるに違いありません。

 続きの「好奇心が失われていくのは日本特有のことなのか」については、また機会をみて書かせていただきます。

 元気にたのしく行きましょう!

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好奇心をつぶすのは大きな財宝を捨てることに等しい-好奇心を高め賢さに繋げたい

 数日前からRIDE(たのしい教育研究所)に子ネコのア〜ルがいます。研究所の一員になって〈スマイル担当チーフ〉〈癒し担当チーフ〉として大活躍してくれています。ちなみに役職を二つ持つのは研究所始まって以来の快挙です。

 ア〜ルを見ていると〈興味関心=好奇心〉に忠実な姿にほれぼれします。それは微笑ましく羨ましく、けっしてイヤな感覚は伴いません。

 わたしがキーボードをたたくと、すぐにこういう状態になります。

 教員採用試験の出題分析で問題にしるしを入れていると、そのプリントの上で戯れはじめます。

 ある方から〈沖縄市の出前児童館用に作った教材が欲しい〉という要請があって、印刷していると、それをジーっと眺めながらペーパーの流れに合わせて首を動かします。

 わたしのスリッパも大好きで、ア〜ルのとてもたのしい遊び相手になります etc.


 この好奇心は天才的だなと思います。

 よく考えてみると、人間にも天才的なほどの好奇心が備わっています。しかもネコ属よりはるかに高い好奇心を持ち合わせているに違いありません。それが今の社会的な進化を生んだのです。
 これまで何度も例示してきた様に、この社会を大きく変えた発明や発見は、誰かに〈これをやりなさい〉と命じられて成しとげられたものではなく、「それが好きで好きでたまらない・それがやりたくてやりたくてたまらない」という人たちが成しとげてきたのです。
 つまり〈好奇心〉なしに成り立つ事はないのです。

 ところが残念なことに、年月とともにその好奇心が失われていくのが人間の普通のパターンです。
 たとえば今の学校で、ア〜ルの様な好奇心を次々示してしまうと〈普通の子ではない〉と認識されてしまうでしょう。

 しかし〈好奇心〉そのものを否定してはいけません、それは人間の豊かさを否定することにもつながる大いなる愚行だからです。

 教育の場では礼儀やルールが優先して、その子の持っている好奇心をないがしろにすることがあります。多くの子ども達を安全や達成目標を優先すると仕方のない面も考えられます。
 けれど教師そして子を持つ親は、その子の好奇心をつぶしてしまうことは財宝を捨て去ることに等しいことを知っていなくてはいけません。

 学校がもし〈子ども達の知的好奇心を満足させる教育内容〉に満ちていたらどうでしょう。
 降った雨をじ〜っと見たり、ゴミ箱の後ろで動く何かを見にと席を立つより、先生の授業の方がたのしいと思える様なものがあったとしたらどうでしょう。
 授業で1時間座っておくより運動場で虫探ししたいと考えるのではなく、逆に虫探しは休み時間や放課後にやって、この時間は先生とたのしむという子どもたちが増えていくのではないでしょうか。

 それが〈たのしい教育〉の目指している姿です。

 残念ながらア〜ルにはたのしい教育ができません。言葉が通じないからです。もしもア~ルに言葉が伝われば、プリンターの用紙を見つめるたのしさを超えて、中の動きを説明してあげたり、スリッパを一緒に作ったり、パソコンで絵を描くたのしさを伝えたり、もっと広く深いたのしさを伝えてあげられるのに。

 人間同士は言葉が伝わります。
 子ども達に、もっと深くたのしい世界を伝えて挙げられるはずです。

 授業の全てをこのようにというは無理です。
 しかし、少しずつゆっくりと子ども達を振り向かせていくことは可能です。そうやって半年経つうちに、教室を飛び出行ったあの子も、じっくり授業をたのしんでくれるようにもなるのです。

 たのしい教育は子ども達の好奇心を高める教育です。その好奇心をどんどん発揮してさらに深い学びへと誘う教育です。その思想と技法とを学んでいく教師が増えていくことは、間違いなく、子どもたちにとっても社会全体にとってもよいことだと思うのですが、どうでしょう。

 わたし〈いっきゅう〉は大人になってもなお好奇心を高めたまま暮らしています。毎日たのしく新しいものに予想チャレンジしていることが、その証です。そしてRIDE(たのしい教育研究所)には、外見は大人でも中身は子どもの感性を持った先生たちがたくさん集ってくれています。
 たのしい教育に興味を持ってくださる保護者のみなさん、地域で活動しているみなさんが、いろいろな先生方にこのサイトを介して〈たのしい教育〉を紹介していただければと考えています。それは好奇心を賢さに繋げていく〈たのしい教育〉を広げていく大切な活動になるに違いありません。

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