今年3月に他界した板倉聖宣の発想法は、その後も〈たのしい教育メールマガジン〉で積極的に発信しています。毎回、その内容にはいくつもの反響が届きます。最新のメルマガで紹介した内容には、今から40年ほど前、46歳の板倉聖宣が語った〈闘争の勝ち方〉という内容を紹介しましたが、いつもより早く反響が届いています。
その1/4程度を紹介しましょう。
仮説実験授業研究会の大会ナイターでは〈ナイター〉といって夜、いろいろな人たちと語り合うことがたのしみでした。わたしは大抵〈売り場〉を出すので、そのいろいろな人たちと夜遅くというか朝が近くまで語ったものです。ここ10年くらいは大会の会場と宿泊のホテルとかが別会場だったりして下火になり寂しい想いをしています。
今から40年ほど前のナイターの内容をまとめた貴重なガリ本(手作り本)があります。
その中に板倉聖宣が講演などでは語らない迫力ある内容がたくさん出ています。
今回はその中から「闘争・ケンカに勝つ」をテーマに語ったものを紹介しましょう。自分たちの主張を強い相手にどう通すか、という話です。
RIDE(ライド)は「和をもって貴しとなす」ですからどこかと闘いになることはないと思います。しかし板倉聖宣がここで語っている様な戦略や迫力は大切なことだと考えています。
一人の教師としても「全体的にはこうした方がよい」と考えることがあるでしょう。その時に〈どうすればその意見を受け入れてもらえるか〉ということにもつながると思います。
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板倉聖宣 1976-1-18
闘争の勝ち方
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ケンカも闘争もそうですけど、強いやつと弱いやつがいる。
つまりAとBとCがいて、Aが強く、強いやつと弱いやつがいてケンカをすれば、必ず強いやつが勝ち、弱いやつが負けるかのか?子どもの論理では、正義の味方と悪の味方がいて、正義の味方は途中で苦戦しでも最後に勝つ、そういう単純な図式があるでしょう。
最近のマンガはもう少しニヒルで、正義の味方は勝たない。つまり大学生がみるマンガはニヒっちゃって、正義はたいがいね勝てないとなる。
そして権力は強い。それで勝てないけど戦わなきゃならない。そこに生きがいがあるということを強調したりする。〈負けるが勝ち〉という論理があるでしょ。
そういう論理が本当に使えるか。
どう思いますか?
ほとんどすべての大人は使えないんじゃないかと考えていると思います。しかし、ある瞬間には〈負けるが勝ち〉ということを知っていたりします。
たとえば教員組合と教育委員会、日教組と文部省、あるいは校長と教組という場合に、権力がそれぞれ片方にあるでしょ。その両者がケンカをすれば権力側が勝って、弱い方は必ず負けるのか?弱い方が負けることに決っているだけれども、負けることを覚悟でやらなくちゃケンカはできないのか。
たとえば校長と現場教師、あるいは学年主任と学年の先生とね、権力関係は学年主任の方が強いことになっている。
それは本当でしょうか?人数でいったら、学年主任より学年の担任の方が多いですね。となると先生たちは〈学年主任の方が学年の担任より強い〉というように教育されたのではないか。そして、そういうふうに教育することに成功したから学年主任が強いんだということがすごくあるのではないか。
百姓一揆というのがあるでしょう。
全体では幕府側が勝っているいるわけですけど、あれは百姓側がある部分では勝ってるんだと思うんです。「百姓一揆をやると負けるに決っている」とみんなが思うとき、「いや、負けないのである」という論理を組み立てる人がいるかどうかはとても重要です。すなわち、リーダ-の存在です。
それから捨て身の戦法ですね。俺一人がが全部ひっかぶっていくから心配するな、ということです。
俺が全部ひっかぶるという話が物語的に悲壮だから、話として残っていって、悲しい最後だったということで伝わるわけですけど、百姓一揆が勝っている部分がちゃんとあるということを知らなくてはいけません。どうやって勝つのか ?
勝つ論理は〈内部矛盾〉を利用することです。
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