西村寿雄先生と東京の街を歩く/たのしい教育メールマガジンから

 仮説実験授業研究会で古くから中心にいた西村寿雄先生がいます、板倉先生と一緒に授業書〈ふしぎな石 じしゃく〉の作成者としても名前を連ねています。

 西村先生が校長をしている時〈月刊たのしい授業〉に書いた「管理職もたのしく」はRIDEの〈管理職ワークショップ〉の必読テキストの一つです。

 今回はその西村先生と東京の街を歩いた話、メルマガの中の〈RIDEの今日この頃〉の章で紹介しようと綴っている記事の半分くらいを掲載します。

 西村先生のそのそれぞれがとても注目に値するのですけど、もう一つ私が注目していたのが、西村先生が石好きであるということ。
 これまでも地学系の本を何冊も書いていて、岩崎書店から最近出した「石はなにからできている?」は、石の名前をあえて出さない画期的な石の本です。
 まず大雑把に石を分類してみようという絵本で、教師なら買っていて損はないと思います(1728円)。

ちしきのぽけっと (23) 石はなにからできている? (ちしきのぽけっと23)

 と、西村先生のことをよく知っているかの様に書いているのですけど、私はこれまで西村先生とお話したことも、近くを顔をみかけたこともありません、仮説実験授業関係の情報交換サイトでわずかに繋がっているだけです。

 ところが数日前の東京出張で、とても嬉しい出会いの機会がありました。

 先週土曜日のワークショップを終えて東京出張に出かけた時、私が何気なくUPした〈雨降りの道玄坂〉の写真を見てくれた西村先生から「私も大阪から東京に来ていますよ」という連絡が入ったのです。科学博物館と丸善で開催された〈石の話〉で呼ばれたそうです。
 光栄にも私の名前を以前から知って下さっていてRIDEの幅広い活動にも感心していたとのこと。
 これはチャンスと「お会いしたいこと」を伝えるとトントンと話が進み、さっそく東京駅で待ち合わせることになりました。

 初めてお会いするにも関わらず、西村先生は、以前からの知り合いの様に親しく接してくださり、梅雨入りした東京の霧雨の中を、たっぷり仲良く東京駅から日本橋界隈を石探索をたのしむことができました。

 西村先生が語る石の話はとても魅力的で、私は子ども役、質問役です。
 下の写真は高島屋の外壁を見ながら石の様子を語ってくれているところです。
 「中の商品よりずっと壁の方が価値があるんだよ」「確かに」と二人笑いながらたくさんのお話を聞かせてもらいました。


 これは高島屋の近く〈東京日本橋タワー〉の外壁です。
 まるで芸術家が筆をふるったうなデザインです。
「こんなところで見るのは初めてだなぁ」と、マグマが冷え固まる前にまた大きな力が加わって模様ができた様子をまるでその時そこに居たかの様に生き生きと語ってくれました。

ここまで

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野依良治(化学者/ノーベル賞受賞)の発想から② 子ども達につけたい力

 前回に続いて〈野依良治さんの発想から〉です。出典等に関しては前の項にもどってお確かめください!

 野依さんのタイトルにもある様に〈怒り〉がベースに横たわっているので強い言葉で糾弾している様にも思えますし、文の繋がりのぎこちなさをみると、編集者によって縮められたであろうことがわかります。その中で、文意のみを素直に読み込んでいってくださいね。

 今の大きな問題は、好奇心を持って自ら問う力、考える力、答える力。これらが落ちているということ。

なぜそうなるのかというと、社会全体を覆う効率主義、成果主義のせい。

しかも実は本当の成果を求めていない、形だけの評価制度は許せない。

評価は本来、人や物の価値を高めるためにあるのですが、そうなっていない。

問題の全体像をつかみ、自ら考えて、答えを得るというプロセスがなければ、知力を培うことは絶対にできません。

 

考える力、答える力が落ちていると言いますが、最も心配なのは「問う力」がほとんどないこと。誰かに作ってもらった問題に答える習慣が染み付いている。

幼い子供たちは好奇心を持つが、学校教育が疑いを持つことを許さないのではないか。

発展につながるいい問題を作るのは、与えられた問題にいい答えを出すよりも、ずっと難しいのです。

平凡な既成の問題に答えてもまったく意味を成さないはずで、なぜこんなことが分からないのか。

 こういう発想を持った人物が教育再生会議の中枢にいたということは、かなり自由な議論が交わされたことが予想されます。
 現在の教育が本当に知的好奇心を高める様な構造に変化したか、問う力を高める内容になってきたかと考えると、まだまだという感じがしますが、文科省や中央教育審議会の答申などを読めば〈子ども達が主体的に学習する様な構造〉への変化を志向していることは間違いないでしょう。

 たのしい教育は、その最先端をいく教育思想であり、教育内容です。

 大切な変革が着実に進む様に、上からではなく草の根としての活動を元気に推進していきたいと考える今日この頃です。

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遠藤純夫先生の生き方を追いかけて/あれから三年の月日が流れて

 RIDE( ライド:たのしい教育研究所 )の設立を心から応援してくださった遠藤純夫先生が他界して今日7月2日で三年目を数えます。
 家族の方から容態がよくない、との連絡を受け、とるものもとりあえず飛行機にとび乗ったのは、こんな暑い日だったのですね。
 東京に着き列車に飛び乗り、乗り継ぎをしながらあと1時間ほどで着くという時が息をひきとる間際で、間に合わないと悟った家族の方が電話でつないでくださって、遠藤先生の最後の言葉を受け、こちらからも駅の構内から大きく声をかけたのが、つい最近のことの様です。

 日本の理科教育の泰斗でありながら誰とでも誠実に丁寧に接する、人間的にも深く清らかな方でした。

 これは遠藤先生が沖縄に来てくださって宇宙の学校を開いているところです。


 この後、一緒に食事に行く車中で「きゆなさんみたいな授業はできないなぁ」と言っていただいて驚いたのですけど、私にとって遠藤先生は追いかけても追いかけてもまだずっと先を行く偉大な人物です。

 RIDE( ライド:たのしい教育研究所 )は遠藤先生が育ててくれたという想いは生涯消えることはありません。
 遠藤先生を追いかけて、遠藤先生が伝えてくれたDNAを大切に育み、いろいろな方たちに喜んでもらえるRIDEにしていきたいと思います。

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野依良治(化学者/ノーベル賞受賞)の発想から① たのしい教育の出発点に近い見方・考え方

 2001年に有機化学の研究でノーベル賞を受賞した野依良治(のより りょうじ)という人物がいます。

野依 良治(のより りょうじ/1938年9月3日 )、日本の化学者(有機化学)。2001年に「キラル触媒による不斉反応の研究」が評価されノーベル化学賞を受賞

 〈IPS細胞〉の様な一般の人に対しての話題性が広がるものではなく、〈キラル触媒による不斉反応〉という研究なので、よく知らない人もいるかもしれません。
 私いっきゅうも、大好きな原子分子の模型をもって生き生きと語っている姿が印象に残っていたので名前と業績には目を通していましたが、人となりについて知っているわけではありませんでした。
 その野依さんが、たのしい教育の発想と似た考え方を持っている人物だということを、最近のニュース記事で発見しました。
 野依さんがそうだというより、一流の科学者で教育に高い関心をもっている人たちはすべからく、たのしい教育の発想になるのだと思います。

 野依さんは第一次安倍内閣で設置された政府の教育再生会議の座長にも就任していますし、文部省学術審議会委員、文部科学省科学技術・学術審議会委員、日本学術振興会学術顧問など、教育に関係する役職も歴任しています。

 今週は〈たのしい教育メールマガジン〉の半年に一度の構想・整理の週ですから、たのしい教育の発想法として、いくつかに分けて、このサイトに書いてみたいと思います。

 Yahooの国内アクセスランキングで1位になっていたので、すでに読んでいる方もいるかと思います。元は〈教育新聞〉に掲載された記事をyahootがニュースとして配信したものです。
※yahooが配信したから読むことができたとはいえ、web上の記事を6pまで開いてあとやっとその最後に「※本記事は教育新聞に掲載したインタビュー記事を再構成したものです」とだけ記すのではなく、トップのタイトルの部分に大きくそれを記してほしいものです

 記事の一部を紹介させていただきます。
 原文はこちら2019年6月25日17:30配信の記事〉からです。全体を読んでからここにもどってきても読み応えある様に、またこのサイトのみ読んでいただいてもわかるように書いていきたいと思います。一部、改行や読点に手をいれて読みやすくしてあります、ご了承ください。

 

 タイトルははげしいので、実際、怒り心頭なのかと思いますが、ここではその怒りの部分には焦点をあてないことにします。怒りは解決を遠ざけることが多々あるからです。

 まず冒頭あたりの、教育に対する野依さん自身の考え方を読んでみてください。

 学校教育は、社会のためにある。

 個人が自由に生きる権利は大切だが、決して入学試験に合格するためだとか、あるいは金持ちや権力者になるためにあるのではない。

 教育界というのは日本であれ、あるいは世界であれ、あるべき社会を担う人を育まなければいけない。

 健全な社会をつくることが、国民それぞれの幸せにも反映するわけです。

 日本は他国並みではなく、格段にしっかりした次世代を育てなければなりません。

 行政にも現場にも、その覚悟が求められる。

 そして、多様な文化を尊重する文明社会をつくっていかなければいけない。

  いくらか木になる部分はあるにせよ、全体について反対する人はあまりいないでしょう。

 その後、野依さんの子ども観がハッキリあらわれていきます。

野依

 日本の青少年の基礎的な学力ですが、PISA(※3)TIMSS(※4)などの国際調査結果などを見ると、割と頑張っています。

 ただ問題は、学びが消極的な点。

 積極的に定説に対して疑問を投げ掛けたりすることがない。

 教科書などに書いてあったら「ああ、それはそうですね」で済ませ、自分で考え「そうじゃないんじゃないか」と、工夫して挑戦しないのですね。

 私いっきゅうも、この現状把握は、かなり正しいと思っています。だから子ども達が悪いのだとか先生たちが悪いのだいう考えはありません。だからどうしたらよいかという提案がRIDE( ライド:たのしい教育研究所 )の活動です。

 話を戻しましょう。
 野依さんはかなり反骨の人だということが次の言葉でわかります、このことも私いっきゅうにはとてもよく理解できます。昨日と同じ今日を生きたいと考えているだけでは新しい改革などできないからです。

 創造性のある科学者に必要なのは、いい頭ではなく、「強い地頭」。

 自問自答、自学自習ができないといけない。

 それから、感性と好奇心。これが不可欠です。

 そして新しいことに挑戦しなければいけないから、やっぱり反権力、反権威じゃないと駄目ですね。

 年配者や先生への忖度(そんたく)は無用です。

 先生や社会は若者のこの自由闊達(かったつ)な挑戦を温かく見守る必要がある。

 歯に衣着せぬ論調でハッキリ語る野依さんの言葉はわかり安いのでグイグイ引き寄せられてしまいました。

 ただし、教育について語る時、ノーベル科学賞はさほどの権威を持たず、子ども達の教育や先生たちの教育、そして未来の教育に関して、RIDE( ライド:たのしい教育研究所 )は野依さんに勝るとも劣らないと自負しています。
 そのRIDE( ライド:たのしい教育研究所 )の見方・考え方と野依さんの見方・考え方はそっくりだということはいえませんが、かなり近いものを感じています。
 

 学びに消極的な子ども達、野依さんの言葉でいえば〈それはそうですね、で済ませる子どもたち・工夫して挑戦しない子どもたち〉の目を輝かせ、授業する先生自身にもたのしさを味わわせるのがRIDE( ライド:たのしい教育研究所 )が拡げている教育プランです。

 近々また野依さんの言葉を紹介しながら、たのしい教育研究所の見方・考え方を合わせて紹介させていただきます。

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