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  • 虐待の相談/文科省の手引きと照らし合わせる

      たのしい教育を普及していく活動の中で、いろいろな先生たちの悩みや苦しみと向き合うことがあります。今回はその一つについて綴ります。
     〈虐待〉に関わる事例に遭遇する教師は少なくありません。力によって態度や行為を強制する姿は、たのしい教育の対極にあるものといってもよいでしょう。


     しかし虐待によって命を落とすという信じがたい事例を耳にすることもあります・・・虐待そのものがどんどん減っていってほしいと願わざるを得ません。

     児童虐待防止法もすでに施行され、加えて2020年4月1日から童虐待防止対策の強化を図るために改正された〈児童福祉法〉が施行されます。
     しかしそれが実質的な歯止めになるためには「虐待に関して課せられているのは〈努力〉ではなく〈義務〉」だということを明確に受け止めて、それを食い止める勇気をもつことです。

     担任は家庭訪問や保護者会、参観日や行事など、保護者の方たちとの付き合いがあるだけに、子どもへの体罰が疑われても、それを取り上げる勇気が起こらないという場合があります。さらにこれがとても大きな問題だと感じているのですけど、教頭・校長先生たちの中には、担任からの虐待を疑われる事例に対して「〈注意深く様子を見守りなさい〉という様なアドバイスするだけ」という事例もあるということです。
     なるべく問題が起こらない様にしたいということなのでしょうか・・・

     私が虐待について相談者と整理する時、利用する資料があります。昨年2019年に文科省が出した〈虐待対応の手引き〉です。

    簡易版の前半部を載せてみます。

    ―――――――――
    1.基礎編
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    (1)虐待とは 虐待は、子供の心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるとともに、次の世代に引き継がれるおそれもあり、子供に対する最も重大な権利侵害です。保護者による虐待は、家庭内におけるしつけとは明確に異なり、懲戒権などの親権によって正当化されるものではありません。 虐待の種類は概ね次の4タイプに分類されますが、多くの事例においては、いくつかのタイプの虐待が複合していることに注意しなければなりません。

    【虐待の種類】
    身体的虐待
    幼児児童生徒の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。外側からは簡単に見えないような場所に外傷があることも多くあります。
    性的 虐待
    直接的な性行為だけでなく、性的な満足を得るためにしたりさせたりする行為などより広い行為が含まれます。子供をポルノグラフィーの被写体にすることなども含まれます。
    ネグレクト
    心身の正常な発達を妨げるような著しい減食または長時間の放置、保護者以外の同居人による身体的虐待や性的虐待の放置、その他保護者としての監護を著しく怠ること。例えば、重大な病気になっても病院に連れて行かない、下着など長期間ひどく不潔なままにする、子供を遺棄したり、置き去りにするといった行為を指します。
    心理的虐待
    子供の心に長く傷として残るような経験や傷を負わせる言動を行うこと。子供の存在を否定するような言動が代表的ですが、兄弟姉妹との間に不当なまでの差別的な待遇をする場合もあります。また、配偶者に対する暴力や暴言、いわゆるドメスティックバイオレンス(DV)や、その他の家族に対する暴力や暴言を子供が目撃することは、当該子供への心理的虐待に当たります。

     虐待は家族の構造的な問題を背景として起きており、児童相談所などでは家族の歴史や家族間の関係、経済的背景などを含めて総合的な見立てを行っています。学校・教職員においても、保護者の成育歴、就労や家計の状態、居住状況、ストレスの状態、心身の問題、子供の障害や疾病等の育児負担の問題、望んだ妊娠であったのかどうかという問題など、多様な要因によって虐待が起きるということを理解しておくことが大事です。

    (2)学校、教職員等の役割 学校、教職員においては、虐待の早期発見・早期対応に努めるとともに、市町村(虐待対応担当課)や児童相談所等への通告や情報提供を速やかに行うことが求められます。

    ①虐待の早期発見に努めること(努力義務)
    ②虐待を受けたと思われる子供について、 市町村(虐待対応担当課)や児童相談所 等へ通告すること(義務)
    ③虐待の予防・防止や虐待を受けた子供の 保護・自立支援に関し、関係機関への協 力を行うこと(努力義務)
    ④虐待防止のための子供等への教育に努 めること(努力義務)

    このほか、児童虐待防止法第13条の4により、児童相談所や市町村(虐待対応担当課)から虐待に係る子供又は保護者その他の関係者に関する資料又は情報の提供を求められた場合、必要な範囲で提供することができるとされています。

    (3)教育委員会等の役割 教育委員会等設置者は学校と同様に自ら虐待の早期発見に取り組むとともに、虐待対応に当たって、例えば以下のような役割を果たしていくことが求められます

    関係機関との連携の強化のための体制整備
     虐待の予防及び早期発見並びに迅速かつ適切な虐待を受けた子供の保護及び自立の支援等を行うため、関係機関との連携の強化等のために必要な体制の整備に努めること。 また、学校及び教育委員会等設置者は、要保護児童対策地域協議会(要対協)に参加するとともに、特に教育委員会等設置者は、教職員等に対して、学校及び教職員等に期待されている役割や関係機関等の役割の周知に努めること。 さらに、虐待問題に関わる法律問題について弁護士等の専門家にいつでも相談できるよう、体制を整えておくこと。

     研修の充実
     学校の教職員が、虐待の早期発見・早期対応等虐待の防止に寄与するとともに虐待を受けた幼児児童生徒の自立の支援等について適切に対応できるようにするため、研修等必要な措置を講ずること。 これら日常的な対応のほか、学校から児童相談所や市町村(虐待対応担当課)に対して虐待と疑われる事案の通告があった場合、当該事案のその後の経過について学校と共有しておくことが重要です。 また、要保護児童対策地域協議会への参画や学校からの虐待に関するあらゆる相談に対応することも重要な役割です。その際、市町村の虐待対応担当課との連携は欠かせません。 さらに、教育委員会等設置者においても、保護者から情報元に関する開示の求めがあった場合は、情報元を保護者に伝えないこととするとともに、児童相談所等と連携しながら対応すること、虐待対応に当たって学校や教育委員会が保護者から威圧的な要求や暴力の行使等を受ける可能性がある場合は、速やかに児童相談所、警察等の関係機関、弁護士等の専門家と情報共有し、対応を検討することが重要です。

    2 児童虐待防止法によって学校や教職員に求められる主な役割は、以下の①~④の4点ですが、虐待の有無を調査・確認したりその解決に向けた対応方針の検討を行ったり、保護者に指導・相談・支援したりするのは権限と専門性を有する児童相談所や市町村(虐待対応担当課)です。

    ①虐待の早期発見に努めること(努力義務)

    ②虐待を受けたと思われる子供について、 市町村(虐待対応担当課)や児童相談所 等へ通告すること(義務)

    ③虐待の予防・防止や虐待を受けた子供の 保護・自立支援に関し、関係機関への協 力を行うこと(努力義務)

    ④虐待防止のための子供等への教育に努 めること(努力義務) このほか、児童虐待防止法第13条の4により、児童相談所や市町村(虐待対応担当課)から虐待に係る子供又は保護者その他の関係者に関する資料又は情報の提供を求められた場合、必要な範囲で提供することができるとされています。

    (3)教育委員会等の役割 教育委員会等設置者は学校と同様に自ら虐待の早期発見に取り組むとともに、虐待対応に当たって、例えば以下のような役割を果たしていくことが求められます。 関係機関との連携の強化のための体制整備 虐待の予防及び早期発見並びに迅速かつ適切な虐待を受けた子供の保護及び自立の支援等を行うため、関係機関との連携の強化等のために必要な体制の整備に努めること。 また、学校及び教育委員会等設置者は、要保護児童対策地域協議会(要対協)に参加するとともに、特に教育委員会等設置者は、教職員等に対して、学校及び教職員等に期待されている役割や関係機関等の役割の周知に努めること。 さらに、虐待問題に関わる法律問題について弁護士等の専門家にいつでも相談できるよう、体制を整えておくこと。 研修の充実 学校の教職員が、虐待の早期発見・早期対応等虐待の防止に寄与するとともに虐待を受けた幼児児童生徒の自立の支援等について適切に対応できるようにするため、研修等必要な措置を講ずること。 これら日常的な対応のほか、学校から児童相談所や市町村(虐待対応担当課)に対して虐待と疑われる事案の通告があった場合、当該事案のその後の経過について学校と共有しておくことが重要です。 また、要保護児童対策地域協議会への参画や学校からの虐待に関するあらゆる相談に対応することも重要な役割です。その際、市町村の虐待対応担当課との連携は欠かせません。 さらに、教育委員会等設置者においても、保護者から情報元に関する開示の求めがあった場合は、情報元を保護者に伝えないこととするとともに、児童相談所等と連携しながら対応すること、虐待対応に当たって学校や教育委員会が保護者から威圧的な要求や暴力の行使等を受ける可能性がある場合は、速やかに児童相談所、警察等の関係機関、弁護士等の専門家と情報共有し、対応を検討することが重要です。

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    2.日頃の観察から通告まで
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     事案によって異なりますが、学校・教職員が虐待を発見し、児童相談所や市町村(虐待対応担当課)に通告するまでは、概ね図1のような流れとなります。

    (1)発生予防、相談体制の充実等 学校・教育委員会等設置者は、日頃からスクールカウンセラー(SC)、スクールソーシャルワーカー(SSW)等による相談体制の充実に努めるとともに、虐待やいじめなどのあらゆる子供の悩みや不安を受け止める窓口があることを幼児児童生徒に日常的に伝えておくことが大事です。子供や保護者が早い段階からSOSを出すことができれば、未然防止、早期発見、早期対応につながるからです。 例えば、養護教諭やSC、SSWの役割を伝えておくほか、子供が相談しやすくなるよう、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)を含む電話相談やSNSによる相談、児童相談所全国共通ダイヤル「189」(いちはやく)など、複数の窓口を常に教室や廊下等に掲示しておくことなどが考えられます。

    (2)日頃からの観察等 学校・教職員は虐待を発見しやすい立場にあることを自覚した上で虐待の早期発見に努めなければなりません(児童虐待防止法第5条)。虐待を早期に発見する観点として、虐待はどこにでも起こり得るという認識に立ち、表1のような子供や保護者、状況をめぐる「何か変だ」という異変や違和感を見逃さないことが重要です。また、アンケート等の訴えからの発見や、放課後児童クラブ(放課後児童健全育成事業)や放課後子供教室等の学校外からの虐待の情報提供もあることから、日常的に情報を漏らさずに得られるように注意することが必要です。 さらに、児童虐待防止法ではドメスティック・バイオレンス(DV)により子供に心理的な外傷を与えることも虐待のひとつとして定義しており、子供が目撃しているか否かにかかわらず、DVの問題がある家庭で子供が育つことは心理的虐待として対応するとともに、DVに伴って、子供自身が直接暴力などの虐待を受けている場合もあることに留意が必要です。 このほか、健康診断においては、身体測定、内科検診や歯科検診を始めとする各種の検査等が行われることから、これら検査や水泳指導の際は身体的虐待やネグレクトを早期に発見しやすい機会であることに留意し、支援が必要と思われる子供を把握した場合は市町村(虐待対応担当課)への情報提供が必要です。 図2のように、事故による外傷と異なり、外傷(打撲傷、あざ(内出血)、骨折、刺傷、やけどなど様々)が臀部やふともも内側など脂肪組織が豊富で柔らかいところ、首やわきの下などの引っ込んでいるところ、外からわかりにくいところにある場合は、虐待が疑われます。

    図2 身体的虐待と不慮の事故による外傷部位の相違

     子どもたちが学ぶことを喜び、生き生きと学校で過ごす姿、それはたのしい教育の目指す姿です。
     親がかわるのを待つのではなく、教育関係者だからできることを丁寧にすすめていきましょう。

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