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手作り望遠鏡は衝撃的なほど簡単にできる/難しく教えるより簡単に教える方がより高度で成熟しているのです

 星空のワークショップをやっているので雨の時にどうするか、いろいろな教材を考えています。最近偶然レンズが入手できたので、望遠鏡を作ってみることにしました。

 知人に中学の先生がいて、一度、望遠鏡の作り方をレクチャーしてもらったのだけど「ここが難しい」「これがなかなか大変で」という様な話をいろいろ聞いたので、作る意欲が無くなっていたのですけど、衝撃的なほど簡単でした。

 黒い画用紙に巻いてテープで固定し、その中にレンズを挟んでスライドさせてみたら何とびっくり望遠鏡ができてしまいました!

 4分くらいでパッと作ったので見栄えはよくないかもしれませんし、長い筒と短い筒の境目も隙間がありますから、実にラフなつくりです。

 しかし、これを使って遠くの家の屋根に合わせてみると、この一番遠くの家の側の電柱が・・・

 

 こう見えます。

 携帯のカメラでピントを合わせるのが大変でブレた画像になってしまっていますけど、実際にはクッキリした映像です。

 これで10倍くらい、この倍率でも〈月〉や〈すばる〉などなら十分たのしめると思います。

 それにしても、まさか近くにある画用紙二つにレンズを巻きつけただけで望遠鏡ができてしまうなどとは思いもしませんでした。
 レンズも単に筒をきつめに巻いて挟んであるだけで、接着剤や両面テープなどで固定しているわけでもありません。

 20年くらい前から、いろいろな人たちに手作り望遠鏡の作り方をたずねてきたのですけど、みんな〈レンズの口形がどうだこうだ〉とか〈二つの筒が入れ子になってピッタリするようなものを探すのが難しい〉とかいろいろと面倒な話をするので、結局、自作するまでの元気度、楽しさ度が維持できずに、これまで作ったことがありませんでした。
 どうして「あれは大変、これが面倒だ」という人たちが多いのでしょう・・・

 そういう説明は、望遠鏡をたのしみたいと思う人たちに、こういう図の様な話をしている様なものです。たのしもうという意欲が削がれてしまいます。
 そういう知識を披露することは、自分が周りの人よりたくさんのことを知っていることを披露することにはなっても、それで相手が望遠鏡の魅力にとりつかれることはないでしょう。

 きっとその人が望遠鏡の本質をつかんでいるわけではないからなのでしょう。その人たちも、まさか厚紙二枚とレンズ二枚で望遠鏡が簡単に出来上がるとは思っていないのでしょう。

 ガリレオが作った望遠鏡はこういうタイプです。
 はじめはこんな風にきれいに作ったわけではないはずです。きっと私の様に、簡単な筒を作って、レンズをはめてみて自分でもびっくりしたことでしょう。

 みてください、ガリレオの望遠鏡も10~20倍程度です。

 ガリレオはこういう望遠鏡で現代科学を切り開いたのです。

 ちなみにこの望遠鏡の話は、単に望遠鏡の仕組みだけの話をしているのではなく、文法にしろ、計算にしろ、経済の変動にしろ、全てにつながっています。
 シンプルに簡単に説明できる教材を創っていくことが、未来を切り開いていくことにも繋がると考えています。
 たのしい教育研究所はガリレオの意志を組む組織です。このたのしさがいろいろな人たちにどんどん伝わって行くように、その取り組みをすすめていきたいと思っています。
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