「たのしい教育 春の講座」のテーマの影響もあるのだとおもいますが、研究授業や校内研修に関わる問い合わせがいくつか届いています。今回は「研究授業」について書いてみましょう。いろいろな先生方を代表して授業を実施し、それをたくさんの人たちが見にきて、その後、授業についての研究会・検討会を行う、というのが〈研究授業〉です。校内での比較的小規模な研究授業から、市町村での研究授業、全県的な研究授業という大きなものまでいろいろあります。
わたしが赴任した時と学校は3年継続の体育の研究指定校でもあったので、校内だけでなく、市町村教育委員会、県教育庁、文科省などから参観に来る様なものまで合わせて年間何本も研究授業をうっていた記憶があります。
サッカーの授業で研究授業を設定していた時のこと、土砂降りの雨になってしまいました。そういう場合〈運動場が使えないなら体育館で〉という選択肢も考えられるかもしれませんが、その時の研究授業は県レベルの大きなもので、前日には体育館にシートが敷かれてイスやテーブルがならび、体育の授業ができる様子ではありません。
実はそういう場合も想定して「保健体育の授業」をうてるようにと準備してありました。研究指定校のメインテーマが〈体力づくり〉でしたから、〈保健体育的なアプローチ〉も十分そのテーマに迫る一つです。職員会議の中でも事前にみんなで確認していたのですけど、
とりあげたのは仮説実験授業の「食べ物飲み物なんの色?」という授業です。今でもそのプリントは大切に持っています。
身近な食べ物の合成着色料を実験的に確かめていくもので、キャンディーやジュース、漬物などには石油から合成した着色料を使っているものがあることを学ぶ授業です。
プリントを印刷して、その内容通りにすすめていくので、あまり準備に時間はかかりません。あえていえば、ジュースやつけものを買いにいくくらいですけど、それはスーパーにいけば手に入るものばかりです。染める時に毛糸を使ったのですけど、それは手芸屋さんで売っている安いもので十分で、今では100均に行けば簡単に手に入ります。1日一度の「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか➡︎ いいねクリック=人気ブログ!=
仮説実験授業ですから、プリントを一枚ずつ配りながら、予想を立てて実験してお話をよんですすめていきます。具体的な内容はいずれ「たのCafe」か「講座」で紹介するとして、その研究授業の強く心に残っている思い出があります。
それまで体育の実技の研究授業はたくさんやってきたのですけど、「きゆな先生と同じ様な授業をしました」という人はほとんどいなかったとおもいます。ところが、その保健の授業のあと、いろいろな研究会で顔をあわせる体育仲間たちから「あの授業、わたしもやってみましたよ。子どもたちも喜んでくれました」と声をかけてもらうことができました。
何が違っていたのか。もちろん授業そのものが教師にとっても感動できる展開であったということ。そして何より、プリントを印刷して配りながら自分でもにた様な授業ができる、ということが決定的に大きかったとおもいます。
これがその時に使ったプリントの一部です。
ジュースをろ過する実験ですけど、理科が苦手な人たちにも難しいことはありません。選択肢もついているので、意見の違いがシャープに出ます。
研究授業というのは何か、いろいろな捉え方があるとおもいます。
これまで数々の研究授業を見てきましたから、中には「わたしはこんなにすごいでしょう」という様なことを見せたいがために研究授業をしているのか、と思う様なものをいくつも覚えています。道具や準備や子ども達の躾から教室掲示に到るまで「これは真似できない」という授業は多々あります。
しかしその時からわたしが目指した研究授業は、この二つです。
授業を見た人たちが
1.真似をしたくなる様な魅力的な授業
2.簡単にその授業を真似することができる授業
「たのしい教育研究所」が提唱する授業は、そのときの目標をそのまま今も引き継いでいます。
そしてその財産はどんどん増えてきています。
前回の講座で評価の高かった「30倍の世界」も、絵本版で授業できる様構成し、ライトスコープではなく〈たの式けんび鏡〉で簡単にたのしめるようにしましたから、遅くまで準備をしなくてはいけないものではなく、初任の方でも臨時採用の方でも、子どもたちが喜んでくれる、自分自信も感動する様な授業が可能です。
興味のある方はぜひ四月のたのしい教育Cafeにお申し込みください。学校の先生のみでなく、地域や団体で教育に関わるみなさんも対象にしています。少人数のとてもたのしいCafeですよ。