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仮説実験授業研究会元代表 板倉聖宣の〈科学読み物論〉

 仮説実験授業研究会(元)代表 板倉聖宣(いたくらきよのぶ)という書き方は久しぶりです。たのしい教育研究所(RIDE)には、そのことをよく知らない人も学びにくるので、久しぶりのフレーズを使ってみました。
 板倉聖宣はたのしい教育研究所を強く応援してくださっていた恩人で、このサイトでもたくさん書いて来ました。惜しまれつつ2年前に他界しました(2018年2月)が、私たちに残してくれた見方考え方、授業の具体的な方法など、財産がたくさんあり、今でも学び続けています。

 これはたのしい教育研究所(RIDE)のスタッフが教材として作成して研究大会に持っていった沖縄の伝統的な扇、クバオージを「これ、いいねぇ~」と使ってくれている時の写真です。持っていった分がすぐに売れていきました。

 

RIDEのクバオージと板倉聖宣

 先日大阪からワークショップで来てくれた西村寿雄(ひさお)先生が準備してくれたレポートに「板倉聖宣の科学読み物論」がありました、最新のメルマガの中から少し紹介しましょう。

 西村先生が真っ先にあげたのは板倉聖宣のこのあとがきでした。ここにある「〈自然の本〉と〈科学の本〉は明らかに違う」という見方・考え方にハッとした参加者がほとんどでした。

 いわゆる「子ども向きの科学書」には、「自然の本」ではあっても「科学の本」でないものがたくさんあります。

 (「自然の本」は)自然科学の研究対象である自然界のおもしろそうな事物についてさまざまな知識を教えて、子どもを科学の世界に近づけようというのです。

 しかし、わたしはそのような考えに賛成することができません。科学は人間がつくりあげてきたものであって、自然の事物そのものとはちがいます。科学のおもしろさ、すばらしさは、自然の個々の事物のものめずらしさ以上のものです。

 よく「科学は冷たい」などという人がいますが、それはまちがっています。自然そのものは冷酷かも知れませんが、科学はちがいます。

 科学は人間がつくりあげてきたものであって、そこには人間の血がかよっているのです。

 ところが多くの人が手にする図鑑風の本には、科学のもたらした知識の断片が書きつらねてあるだけのものが多いので、科学というものは冷たいものだと思われたりしてきたのです。

 しかし生きた科学の世界を知らせる本は、まだ見知らない事物の存在について豊かな夢をもたせ、新しいものを見い出しつくりだしてゆくおもしろさを知らせ、さらに、そういうことを可能にした人間の知恵のすばらしさをしみじみと感じさせるものになりうるはずです。

 

『ジャガイモの花と実』〈あとがき〉

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