前項からの続きです、未読の方は戻って読んでから続けてください。「犬や猫はテレビを見ることができない」ということについて、〈たの研〉の一員ア~ルの様子で確認してもらいました。
「いや、猫は可能でも犬は無理だよ」という議論の進め方もあるかもしれません、でも初めから「犬や猫は」とまとめて語っているわけですから、その一方の事実で全体を否定できるでしょう。
さて現在はこういう事実を知ることがとても簡単になりました、子ども達でもインターネットで簡単にできるでしょう。犬や猫は色覚が人間と異なるという研究があるのですけど、犬もテレビを見ることができる事実をネット上で確かめることができるでしょう。
けれど大切なことは〈情報を得ること〉ではありません、ものの見方・考え方、思考の方法です。
※
いろいろな本には「ものごとを疑って見ることが大切だ」という様に書いてあります。〈科学は周りのものごとを疑って見ることからはじまる〉と力説する人たちもいます、「宗教は信じることから始まり、科学は疑うことから始まる」という言葉もたくさんみられます。
そうでしょうか?
疑がうことが大切だといっても、明日太陽が東の空から登ってきたり、潮が満ちて後は引いていくものだというのを疑ったりする人はいないでしょう。
コップを持ち上げて離したら下に落ちてしまうことを疑う人もいませんね、科学上の法則や確かめられてきた事実を疑う人はほとんどいない。
大切なことは疑うことではなく〈予想を立てて確かめる〉そのことです。
科学はそうやって真理をみつけてきましたから、他の人が同じ様な実験をしても、同じ結果がでます、もちろん子ども達がやっても。
誰かが言っていたこと、たとえば〈犬や猫はテレビを見ることができない〉と鵜呑みにするのもよいでしょう、でも時がくると前回書いた様にそれを確かめることもあります。問題は〈犬や猫はテレビを見ることができない〉ということを一つの「予想だ」と認識できるかどうかです。
予想して確かめてきた総体が〈科学〉です。
アインシュタインは、10歳の頃、父親から小さな方位磁石を贈られました。父親がいうには「この針はいつも同じ方向を向くのだ」といいます。アインシュタインはそれが信じられず、様々な実験を行いながらそれが本当か確かめました。それがアインシュタインが科学へ興味をもつきっかけになったといいます。
何でも疑うのではなく、「それは本当のことなのか」と気になったら『もしそうだとするとこうなるだろう』と予想して確かめてみる。
そういう思考の進め方をぜひたくさんの子ども達に、いや大人たちにも伝えていきたいと思います。
そうすることが明るくたのしく課題を突破していく社会を創るでしょう。
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