このサイトを熱心に読んでくれている、ある中学生から科学の問題についての質問が来ました。
今回は、その話しの中で出た「光年」について書かせていただきます。
m(メートル)とかkg(キログラム)は、「これくらい」と予測がつく単位ですけど、「光年」という単位は人間の感覚でとらえるのがとても難しい単位の一つです。
映画「ライアーゲーム」の冒頭で
「俺に勝とうなんて100億光年早いんだよ!」
というセリフが出てきます。
「光年」が時間を表す単位だと勘違いしているのです。
その映画の製作に関わるたくさんの人たちが気づかなかった、というわけですから、もっとも勘違いの多い単位だと言えるかもしれません。
それも仕方ないですよね。
「年」とついているのですから普通は「時間の長さ」だと思ってしまいますよね。
ネーミングが下手だと思います。
「1光年とは光の速さで1年かかって到達する距離」です。
たいていは宇宙のスケールをイメージするときに利用します。
では実際に1光年がどれくらいの距離か。
それをmで表すとこうです。
10の上の15とは、「0」が全部で15個続くという意味です。
では、地球から見えている星たちまでの距離はどのくらいか?
太陽や月までは「光秒」とありますね。
月「1.3光秒」とは、光の速さで1.3秒かかる「距離」だということです。
話はここからがおもしろくなります。
私たちは例えばコップが落ちたら、その瞬間にわかります。
それはあまりにも近くにあるからです。
離れれば離れるほど、その事実を知るのに時間がかかります。
「光」がその事実を私たちの「目」に届けてくれるまで時間が必要だからです。
例えば上の図で
「北極星400光年」とありますね。
それはつまり、今私たちが見ている「北極星」は「400年前の北極星」だということです。
今、私たちの目に入った光は、その北極星が400年前に発した光なのです。
日本でいえば江戸時代の始まりの頃に北極星が発した光が400年の旅を経て、やっと私たちの目の中に届いたということです。
仮に星と星の衝突ですでに北極星が消えてしまっていたとしても、私たちはその事実を400年後にしか知り得ないのです。
とても不思議なことですけど、宇宙の大きさゆえの凄さでもあります。
わたしの頭の中にある「たのしい単位入門」という授業プランの中に織り込みたいと思っているお話です。
きゆな