校長試験スーパーバイスから:学校におけるたのしい働き方改革

 校長試験の特別特訓の依頼がいくつも入っています。研究所は塾ではありません、〈たのしい教育を積極的に学んでいる方、学ぼうとしている方〉のみスーパーバイズ等を引き受けています。ちなみに研究所の論文・面接、模擬授業など二次試験に関する特訓を受けた方の合格率は塾などの合格率と比較できないほど高い数値を出しています。

 さて先日、校長試験を狙っている方へのスーパーバイズで取り上げたのは「働き方改革」です。校長試験に特化した内容は、このサイトの読者の多くの方たちには興味がないかもしれませんから、その中で整理した資料の一部に関わる内容について少しお話しをしましょう。「教育」に関心のある方たちなら知っていて損はありません。

 以前も話題にしたと思いますが、日本の教師の勤務時間はOECDの調査(2013)でもダントツの一位です。
 最近は「一律4%の教員調整手当を廃止する」という経済面からの解決を提案しましたが、その記事に対する反応もたくさん届いています。

 今回は〈校長試験〉という視点でお話ししてみましょう。

 教師の超過勤務がどのくらいなのか、文科省が2016年に調査して発表しています。

 ところで働き方改革が叫ばれた裏には〈過労死〉の問題が横たわっています。国は〈一週間にこの時間を超えたら過労死ライン〉という基準を設定しています。その基準の根拠を疑問視する見方もありますが、それはおいていて一週間にどれくらいの勤務時間を超えると過労死の危険があるとみていると思いますか?

 超過時間がないとすれば1日8時間勤務で5日勤務だと40時間、6日勤務で48時間です。

 国の設定した過労死のラインは「80時間」、労災認定の時に目安となる数字です。

 では教師集団は、どのくらい働いているでしょう?

 これが文科省の調査をグラフ化したもの、沖縄タイムスに掲載されたグラフです

 

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/200672

 このグラフで「えー、先生たちはこんなに働いているの」と驚く人がいるかもしれません。しかし長年教師をしてきた私からみると、この数字は低すぎると思えます。きっと現場の先生たちもそう感じているでしょう。
 この調査では、週80時間を越しそうな先生たちは自主的かあるいは周りからのアドバイスなのか本当の数字を調整している、あるいは、学校から出てファーストフード店や自宅で勤務を続けている、というのがわたしの見方です。

 今日この記事を書いているのは三連休の中の1日ですが、この日も教師から〈成績処理に使う表集計ソフトの不具合がある様なので修正のアドバイスが欲しい〉という依頼が来ていますし、研究所で学んでいる方たちから、休日返上で学期末処理をしていることが、ごく普通にメールで届いています。
 研究所に関わりがある人たちが働き者だというより、これは教師全体の日々なのです。

 さて、これはわたしが本当の数字に近いだろうと見ている統計です。妹尾昌俊さんという教育研究家が「学校だけでなく持ち帰りの勤務も含んだ数字」をグラフ化してくれています。

 これからみると小学校の先生で60%近く、中学校の先生で75%近くが過労死ラインを超えていることがわかります。 

 中学の先生の勤務に従事する時間が小学校の先生より長くなっていますが、これまで二度、四年ずつ二回、計8年〈小中学校〉で勤務して来た経験からいうと、部活などに携わる人たちの極端に長い数字によってこうなっているのであって、広く全体の先生方に関わる勤務時間としてみれば、小学校の先生たちが勤務に携わる時間の方が長いと思います。

 これだけの超過勤務が恒常化している実態は〈教育〉全体にとって危機感をもたなくてはいけないことの一つだと思います。

 それを改善していくことは教育行政が強くリードしていくことに併せて、校長が地域に出向いて、たとえば〈勤務時間後でもごく普通に担任の先生に電話で相談する〉という様な保護者や地域の方たちの慣習を変えていく取り組みが必要になります。
 これから校長となる、そして教育行政に就く方たちに強く期待したい取り組みです。

 ところでほとんど指摘されていないことですが
「〈魅力的な教育〉を実施している先生たちは勤務に関わる時間が短い」
というのは事実です。

 たのしい教育研究所が提唱している「働き方改革」は〈たのしい教育を推進する実力のある教師〉をどんどん育てていくことです。
 行政的な取り組みを支える現場としての決定的な改革がこのことだと考えています。

 たとえばこうやって漢字をたのしく学んでいく子ども達が増えていくとします。
 今までは「宿題」を増やすなどで漢字を覚えさせられてきた子どもたちが「こんな勉強ならもっとやりたい」と感じながら漢字を学んでいくわけです。


 するとその教師と子どもたちの関係は必然的によくなっていきます。それだけに止まらず、その子ども達の保護者の方たちとの関係も良くっていくのです。
 地域の方たちとの関係も良くなってきて、老人会や婦人会などの方たちも授業に協力してくださるということもありました。

 たのしい教育に取り組めば子ども達に問題が起きないかといえば、そうは言えません。少なくなるとはいえトラブルは間違いなく起こるでしょう。
 ところがそういう場合でも、初期状態で相談してくれる子ども達や保護者の方が圧倒的に多くなります。
 ですから生徒指導などに費やす時間は、普通の先生たちよりずっと少なくなるのです。

 行政的な取り組み、校長の学校運営上の取り組みに加えて、先生たちにたのしく教育をすすめる力がついていくことは、働き方改革にとって決定的だと考えるのはそれがあるからです。

 興味のある方はぜひたのしい教育研究所の講座などを受講してください。個別のスーパーバイズも可能な限りお受けしています。研究所の活動は慈善事業ではありませんから費用(5000円/h程度)がかかりますが、未来に向けて大きな財産を手に入れるわけですからとても安い初期投資だと思います。  毎日たのしい教育に全力投球、RIDE( ライド:たのしい教育研究所 )です! この〈いいねライン〉をクリックすることで〈たのしい教育研究所〉への「応援票」が入ります☆いいね☆

 

 

自由研究 ネコのおもちゃ

  RIDE( ライド:たのしい教育研究所 )の〈癒し&スマイル担当〉として活躍中の新人ア~ルはおかげさまで毎日元気です。
 来客があると、たのしくもてなし、みんな癒されて笑顔になって帰ります。

 誰もいない時にはどうしているかというと・・・

 学んで

遊んで 


寝ています

 ア~ルを見ていると、ネコ族があのジャングル最強のライオンと同じ仲間だというのが信じられません。

 ところで猫じゃらし系のおもちゃが100均にないかなとweb検索していたら、おもちゃメーカーから〈電動のねこじゃらし〉が発売されていることがわかってびっくりました。
 ニャンコさんたちの世界もすすんでいます。
 値段は1840円、映画料金ほどですから悪い買い物ではないと思います。

 しかしたのしい教育研究所の教材入手のベースは100均です。
 時間をみつけ、100均に出かけていって、商品を眺めながらア~ルがたのしめそうなものを考えてみました。
 そうやってできたおもちゃで遊んでいるア~ルが上の写真です。
 かなり好評で30分以上も1人で遊んでいます。

 とても簡単な原理です。
 ここで紹介しましょう。

 使うのは100均にあるネコのおもちゃとゴムひもとセロテープのみ。
 200円で出来上がります。

 まずこれが100均で入手した猫のおもちゃ。
 ゴムひもの先にネズミ型の小物と羽、鈴がついています。
 これだけでもけっこう遊びます。しかし人間が動かしてあげないと遊べません。

 

 ゴムひもは2mくらいで足りますから家でみつかるかもしれません。輪ゴムがあれば、それをつないでもOKです。
  写真は平たいゴムひもですけど丸くてもかまいません。

 高いところにそのゴムひもを結びつけて、その先に、猫のおもちゃを結びつけましょう。
 その時、棒にそのままくくりつけるのがコツです。外れないようにセロテープなどで固定しておきましょう。この写真を見ると全体の作りがわかると思います。

 この簡単な構造、ヒモの重さ、棒の重さ、ネズミの重さの違いで複雑な動きになります。
 一度ぽんと動かすとネコさんたちが飛びついて、その動きが続きますから、けっこう長い時間ひとりで遊んでいます。

 

 反対側にもおもりをつけると、また動きも変わってきますから、いろいろ工夫してみてください。

 上から棒までのゴムひもの途中に何か重りを加えてみると、もっと複雑な動きになります。

 たまたま近くにあったペットボトルをゴムひもにゆわえたところです。
 これだけでもかなり複雑な動きになりますよ。


ネコさんたちが飽きてきたら重りを加えてみてください。

 ネコのおもちゃも予想チャレンジです。

 みなさんが作ったたのしいおもちゃがあったら、ぜひ紹介してくださいね。

 今週も心を込めて送ります。

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月と火星とたのしい教育-7月はアウトドアで〈たのしい教育Cafe〉

 お待たせいたしました、7月の〈たのしい教育Cafe〉のお知らせです。
 7月は恒例のアウト・ドアでたのしもうを企画しています。
 期日は7月29日(日)夕方19:00~22:00
 7月の後半は火星大接近の日々(最も接近するのが7/31)です。
 晴れていれば20時ごろには火星の観測が可能になります。
 その日は満月なので星はほとんど見えませんが惑星の観測は可能です。

 美味しい食べ物と美味しい飲み物と天体観測、そしていつものようにゲームや読み語りなど思い切りたのしみましょう!

 今回は天体観測もあるので、花散歩の様に総勢10名以内で開催したいと思います、ご了承ください。そのかわり、8月のたのCafeはスペシャルとして大人数で開催する予定です⇨ 8/19(日)午前「自由研究もたのしくいこ~!」うるま市うるみん研修室(詳細は一ヶ月ほど前に確定)

 7月のアウトドアの場所は〈たのしい教育研究所〉から30分程度の距離の処で二ヶ所考えています。決定次第、参加確定した方へ個別でお知らせする予定です。

 また今回は食べ物・飲み物の準備の関係で、いつもより食事に費用を高めに設定しています。

※ ※ 記 ※ ※

期日:2018年7月29日(日)
時間:19:00~22:00
場所:研究所から約30分程度の場所(現地集合)
  決まり次第別途連絡します
費用:
 参加費1000円
 飲み物食べもの1500円
 必要に応じて教材費 200~300円
服装、もちもの
 軽装
 海岸の可能性が高いので濡れてもよい履き物をおすすめします
 日焼け止め
 帽子
 虫除けスプレーなど

では、お申し込み、お待ちしています ⇨ https://tanokyo.com/me-ru

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モラルジレンマによる授業-おすすめマイケル・サンデルの白熱教室2018

 たのしい教育研究所で取り上げることのある授業の一つに〈モラルジレンマ〉による道徳があります。先日、子ども達むけではなく〈教師向け〉のモラルジレンマの題材を思いつきました。若い先生たちとやってみたいと思っています。

 モラルジレンマによる道徳の授業はコールバーグが開発しました。コールバーグは道徳性の発達理論でも有名で、理論と実践を意識した特異な教育者です。マイケル・サンデルはそれを取り入れた授業を展開し、〈授業:白熱教室〉〈著書:これから正義の話をしよう〉でとても有名になりました⇨こちら

 サンデルの白熱教室は文庫にもなっていて以前私が読んだ頃の半値で手に入ります。

 

 そのサンデルが今年新しく白熱教室を展開しています。
 NHKで放送された内容ですがyoutubeにもアップされています。

 以前の切り口のシャープさは失われてきていますが、テーマ自体は、より現代に即したものになっていて、とても興味深いものがあります。
 興味のある方はご覧ください。
 第3回目のテーマは「どんな時でも人を見た目で選ぶことはゆるされないのか」です。例えば仕事で採用する人物を人種や見た目で選ぶことはゆるされないのか。空港のセキュリティチェックでも、警官の職務質問でも、見た目、人種などで変えることは不当なことなのか? そういう問いが熱い討論となっていきます。

 マイケル・サンデルは彼一流の構成ですすめていくので〈自分にはそういう授業はできない〉と考える人も多いでしょう。しかし、モラルジレンマによる授業は「問いかけ」が勝負を決めます。進め方はいくつかのパターンがありますが、それも難しいものではありません。

 たのしい道徳・楽しい道徳は今年度からスタートした新学習指導要領の〈特別の教科 道徳〉との親和性がとても高く、これまでの道徳で違和感を感じてきたたくさんの人たちに支持される内容をもっていると思います。
 いろいろな方たちに学んでほしいと思っています。

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