自由研究こそ本物の研究=菜の花の柱頭はハート形か?

〈自由研究こそ本物の研究〉シリーズをたのしみにしてくださっている読者の皆さんもたくさんいます。どうしてこういうタイトルにしているのか、という話は以前書きましたが、初めて読む方の為に軽く書かせていただきます。「あれをやりなさい、これをまとめなさい」と指示されてすすめる研究は一級の研究とは言えません。自分の興味関心・目的意識を源にした自発的な研究の中から一級の研究が生まれたのですし、これからもそうやって生まれていくのです。
 私が師と仰ぐガリレオ・ガリレイは「これ以上研究すると死刑だぞ」と言われても研究をやめられなかったほどの人物でした。
 私の師の一人 的川泰宣(➡︎こちら)先生に、以前「先生が第一級の研究者としてあげるとすると?」と質問すると「きゆな君、ラザフォードだよ。彼の研究はおもしろい。注目すべき研究者だよ」と熱く語ってくれました。
 ラザフォードが原子・量子の研究をすすめた時のエピソードも〈あれをやれ・これをまとめろ〉的な研究から高くかけはなれたものです。※写真は的川先生と一緒にアメリカ・ヒューストンに行かせてもらった時に一緒に撮った一枚から
 そういう〈やる気〉と〈熱意〉と〈結果の高み〉を表現したのが、わたしの〈自由研究こそ本物の研究〉という言葉です。このサイトを見てくださっているみなさんは、教育関係者も多いので、ぜひ子ども達にもこの言葉を伝えてくださるといいなと思っている言葉の一つです。

 さて今回は、仲間うちで評判になっている、わたしの最近の研究からおとどけします。

 わたしはわずかな時間があれば海に行ったり山を歩いたりするので、バッグには〈たの式顕微鏡〉が入っています。このサイトでも紹介したように、最近はその保存方法も確立できてきたので、乱暴な使いかたをしてもレンズが崩れることはなくなりました。

 さて、ある日のこと、道端に咲く〈菜の花〉を見つけた私は、たの式顕微鏡でその写真をいくつも撮りました。その一枚におもしろい画像が残っていました。
 これです。
 菜の花の雌しべの先〈柱頭〉がハート型をしています。

 話を進める前に〈雌しべ〉と〈柱頭〉について少し解説させてください。

 花が咲き終わると、花の根元の部分の〈子房〉が大きくなっていきます。丸く膨らんでいく植物もあれば、菜の花の様にニョキニョキと長く大きくなるタイプの植物もあります。

 菜の花は、完全に花びらを落とすとこういう姿になります。この伸びた先に黄色い部分があります。それが雌しべの柱頭です。元々は雌しべの先の部分です。

 この〈柱頭〉を顕微鏡で見ると〈ハート形〉だったわけです。とてもいい形をしています。

 「おや、菜の花の雌しべの柱頭って、みんなこういうようにハートの形をしているのかな?」
 そのことが私の興味を引きました。

 みなさんはどう思いますか?1日1度のここの「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか➡︎ いいねクリック=人気ブログ!=
 予想してみてください。

菜の花の雌しべの柱頭の形は

ア.ハート形
イ.いろいろある
ウ.そのほか
どうしてそう思いましたか?

つづく

歩行者死亡事故 島バナナと歩行者死亡事故数 ②

 前回書いた〈バナナと歩行者死亡事故〉も、たくさんの方の興味関心を引いた様です。わたし喜友名個人が考えていることと〈似たことを考えていた〉という方もいましたし〈考えてもみなかったので興味深い〉という方もいました。どの方も、自らの予想を送ってくださっていました。

 自然科学的な事象だけでなく、〈社会的な現象〉も予想を立てて確かめる手法が決定的である、という話としても有効な教材になるとおもっています。

 わたしのところに届いた予想を多い順にあげると

 ア.歩行者死亡事故は増えている
 ウ.歩行者死亡事故数は増えたり減ったりで、特に大きな変化はない
 イ.歩行者死亡事故は減っている

です。皆さんの予想はどうでしょう。20年ほどの推移で考えてみてください。

 結果を調べる前に、私が書いた〈自動車数そのものの増加も止まっているのではないか〉という予想にとても興味を持ってくれた方がいました。そこで、まずそのことから見ていきましょう。

 ここに、1966年から2016年までの自動車保有台数の推移の表があります。〈自動車検査登録情報協会〉というところがあって、乗用車から貨物車、二輪車など、いろいろなデータが乗っています。

https://www.airia.or.jp/publish/statistics/ao1lkc00000000z4-att/01_hoyu_suii.pdf

 自動車の合計を見ていると、1966年に〈8,123,096〉台、1986年には〈48,240,555〉台、2000年には〈74,582,612〉台、2016年には〈80,900,730〉台というようにどんどん増えている様にしか見えません。わたしの予想は間違っていた様に思えます。

 しかしこういう数字の羅列では見えないこともあります。〈まずはグラフに描いてみる〉ということが不可欠です。どこかがまとめてくれていたらよいのですけど、わたしが探した限りではみつかりませんでしたので、自力で作ってみました。

 これです。

 いかがでしょうか。
 1996年前後から、それまでの伸びの勢いが減り、2000年を越すと〈横ばい〉になってきていることがわかります。
 自動車産業は日本の基幹産業です。歩行者の死亡者数を調べている中で〈日本の産業構造の変化〉も見ることができました。この話はまたいずれ、今後の日本の産業構造を見る授業プランとして作成をすすめたいと思っています、お楽しみに。

 さて、自動車の数が頭打ちになったからといって、歩行者の交通死亡事故者数が減るにちがいない、と考えるのはどうかな、と疑問に思う方もいると思います。確かにそうです。ただし、自動車数は変わらない、という条件の中で交通事情が良くなった来たり、安全教育が推進されていく中で、歩行者の事故も減っていくのではないか?
 さて、どうでしょう。

 少し仕事が立て込んでいるので、歩行者の死亡事故数の統計は少し先になるかもしれません。
 早く知りたい方は、ぜひ自分でも調べてみてください。

 インターネットという革命的ツールは、こういうときにも画期的効果をもたらしてくれます。1日1度のここの「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか➡︎ いいねクリック=人気ブログ!=

径(みち)行けば バナナと歩行者死亡事故数

 最近は〈文章ドクター〉の依頼が重なって、必然的にパソコンに向かう時間がさらに長くなってきています。意識して身体を動かす様にしないとずっと研究室にこもって文章と向き合っていることもあって、朝、仕事を始めて、気づいて外を見ると暗くなっていたということもあります。なので、忙しさマックスの時にあえて外を歩く様にしています。ちなみにわたしは本来アウトドア系なので〈歩くこと〉が大好きです。忙しくて自然の中に行くことはなかなかできませんけど、歩くと、たのしいこともたくさんあります。予測していないたのしさに出会えるのです。
 最近歩いていた時のこと、研究所の近くの径(みち:大きくない道をさす言葉)を歩いていると、小さな畑があって、そこに無人売店の様にバナナが置いてありました。これです。少し小さく見えるかもしれません。

 しかし〈少し〉ではなく〈かなり〉小さいバナナです。ボールペンと比べるとよくわかると思います。

 沖縄の〈島バナナ〉といって、ずっと前からある種類です。この何倍もあって安いバナナが外国からくるので、もうこういうバナナはあまり目にしなくなりました。私の知っている〈島バナナ〉よりもずいぶん小さな感じです。聞いてみるとこれで400円とのこと。実の量でいうと、スーパーで売られているバナナの2本分もなさそうですから、意外な高さです。

 いろいろおしゃべりさせてもらった流れ上、購入することにして、研究所にもどって、スタッフと食べてみました。
 甘ったるくない、スッキリとした甘さです。
 幼い頃、うちにもバナナがあって、その味を思い出しました。400円でその思い出が湧き上がってきたわけですから、高くはない、と思いました。

 島バナナについて調べてみようと、ネットで検索して驚きました。

 〈島バナナの値段〉ってかなり高いのです。
 400円というのは破格値だったんですね、ごめんなさい。

  歩くと、たのしいことがいろいろあります。今日もかなりの仕事量ですが、機を見て、今度は別な方向に歩いてみようと思います。
 夜中歩くこともあるので、車には気をつけなくてはいけません。以前、授業でアメリカのある都市に行ったとき、スタッフの方から「きゆな先生、買い物に行くときには車を出しますから、必ず声をかけてください。歩いて行くと車にひかれちゃう可能性が高いですから、よろしくお願いします」と真剣な顔でお願いされたことを覚えています。 アメリカの様子はよくわかりませんが、〈日本の歩行者の死亡事故者数〉は減ってきているのではないかということを考えています。そうやってみると〈交通死亡事故者数自体が減少してきているのではないか〉という大きな予想も立つのですけど、まずは〈歩行者の死亡事故数が減少しているかどうか〉について考えてみたいと思っています。

 テレビ・ラジオや新聞などはほぼ観ないので、そこには連日の歩行者事故のニュースが連なっているのかもしれませんし、相変わらず救急車のサイレンの音をよく耳にしますから、実は増えているのかもしれません。ですから、まず予想をもって問いかけて調べてみる、ということが大切です。予想をもって確かめる・調べることを〈実験〉といいます。実験は自然科学的なものだけでなく、こういう様な社会の現象についても決定的に重要なことです。まず〈予想〉から始まって、それを確かめることで〈真理〉に迫ることができるからです。

 皆さんはどうおもいますか?
 まず、予想を立ててみませんか。
 4〜5年くらいのスパンではなく、20年くらいの推移で考えてみてください。

ア.歩行者の死亡者数は増えてきている
イ.歩行者の死亡者数は減ってきている
ウ.増えたり減ったりしていて、大きな流れの変化はない

 

どうしてそう予想しましたか?

 

 わたしの予想は〈イ.歩行者の死亡事故数は減ってきている〉です。

 どうして〈歩行車の死亡者数〉が減っているという予想を立てたのか?
 車の安全性能は確実に良くなってきています。これはまた別に調べてみなくてはいけませんが、〈車の数〉も頭打ちになっているのではないか、という気がします。
 学校教育の中では〈交通安全指導〉も続いています。わたしが教師になった頃はありませんでしたが、途中から、新学期には必ず〈登下校の道を先生方と一緒に歩いて安全指導する日〉も設定される様になりました。それに家庭での指導も加わって、子ども達の飛び出しなども減ってきている気がします。
 ドライバーの運転技術も、運転マナーも明らかに良くなってきていると思いますし、道路状況は確実に良くなってきています。

 〈予想〉を立てると、それが正しくても外れていても賢くなります。歩いていても、興味関心が広がり続ける日々です。こちらの「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか-いいねクリック=人気ブログ!-