校長試験対策ワークショップから-いじめの件数は増えているのか? いじめ防止対策推進法(2013/H25年)施行以降の流れ

 たのしい教育研究所では校長試験の合格を目指す方達向けの合格WSを開催しています。もちろん〈たのしい教育〉に興味関心の高い方たち向けのコースです。
 最新のテーマは〈いじめ対策〉。
 校長試験に臨む方たちだけでなく、たのしい教育に興味関心のあるみなさんに予想を立ててもらいたい問題があります。

 2011年学校側がいじめはなかったとして隠蔽や責任逃れをしたことが原因で起こった大津市中2いじめ自殺事件が2012年に発覚したことが契機となって2013/H25年、学校や行政の責務を明らかにした〈いじめ防止対策推進法〉が成立しました。
 
 そこには〈学校に、いじめ防止対策の組織を常設すること〉〈いじめた子への懲戒、出席停止の措置をとること〉〈重大な犯罪行為は警察に通報すること〉など、これまでの学校の取り組みに対して強い改善点を要求しています。


  さて、この法律の成立後、いじめの件数はどの様になったでしょうか?

 明らかに効果をあげて、いじめの件数は減って来たのでしょうか。
 あるいは緩やかに効果をあげて来ているのでしょうか。
 あまり変化はないのでしょうか?

 法律の施行と、その対象の問題をリンクさせて数字的にみていくことはなかなかしないと思います。
 予想を立ててみませんか。

 まず2012/H24までの〈いじめ認知件数〉の推移はこうです。

 減少しつつある様にも見えた件数は2011/H23からグンと上昇しています。

 いじめ防止対策推進法はこの翌年2013/H25成立しました。

 〈いじめ防止対策推進法〉の成立後〈いじめの認知件数〉の伸びはどうなったでしょう。

予想
ア.件数が落ち始めた
イ.件数が落ちるまでではないが、伸び方がゆるやかになってきた
ウ.伸び方に特に変化はなく、そのまま上昇している
エ.もっと伸び始めている
オ.その他

 

どうしてそう予想しましたか?

 

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考え中

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考え中

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平成 29 年 10 月 26 日(木) 文部科学省初等中等教育局児童生徒課が公表した〈平成28 年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(速報値)について〉
に掲載されているグラフです。 

 少し見えにくかもしれません。
 大きくしてみましょう。

 H24からH25の間が不連続になっているのは、その時に〈高校の通信制のいじめ件数〉が加わったためです。

 どうでしょう。
 いじめ防止対策推進法が成立したH25からH26、そしてH26から27、H27から28の変化をグラフの傾きで確認してみてください。
 ますます増加して来ているというのが現状です。

 法律ができて、いじめをあいまいにできない様になり、数としてカウントされる件数が増えたという様な理解もできるかもしれません。
 しかし〈法律ができたからいじめが減って来た〉とは考えられないことも言えるグラフだと見ることもできます。

 学校教育の中でますます本腰を入れて〈いじめ対策〉に取り組んでいかなくてはけません。

 さてあなたが校長なら、どの様に学校でリーダーシップを発揮して、その対策を進めていくでしょうか。
 それは受講する方への課題です。

 学校でいじめが減ることに〈たのしい教育〉は関係ないと考える人もいるかもしれません。しかし私は〈明らかに効果があがる〉と考えています。それはまたいずれ別の機会に書かせていただきます。この〈いいねライン〉をクリックすることで〈たのしい教育研究所〉を応援することができます !

大人が楽しめる教材の開発は子ども達にとっても重要

 沖縄大学で開催されたシンポジウム「子どもたちの意欲が高まる関わりを考える」にシンポジストとして参加してきました。主催は〈大学コンソーシアム沖縄〉です。シンポジウム当日はかなりの雨でしたが、主催の方たちの力で会場は予想以上の人数で埋まっていました。

 本島内の講演や授業などはスタッフも参加するのですけど、この時は研究所主催のワークショップと重なっていて、わたし一人の参加となったため、その時の写真が手元にありません。主催者側に提供していただいた写真を利用させていただくことになるので、他の方が写っているものは加工を強くしてあります、ご了承ください。

 大学生の皆さんなどいろいろな発表が続き、私の順番が最後になっていたので、予定していた話(プレゼンテーション)を変更して実験をすることにしました。話の連続ではない流れにしたい気持ちになったからです。とはいっても、事前に主催者の方たちに伝えていた内容から脱線するワケではなく、「子どもたちの意欲が高まる関わりを考える」という筋の真ん中を走る内容です。

 スタッフが準備してくれている〈いっきゅう先生セット〉と表示されたファイルにはブーメランなど、いくつかの教材が入っているので、こういう時にとても役立ちます。

 これがその時の様子です。
 わたしが参加者の皆さんに語りかけたのは
「みなさん、今日のテーマは〈子どもたちの意欲が高まる関わりを考える〉ですけど、子どもの意欲を高めることと大人の意欲を高めることは、どっちが難しいと思いますか?」

 会場がざわめいていくのがわかります。嬉しいことに笑顔も広がっていきます。

「大人は、やらなければいけないことがたくさんあって、もしかするとこの場に参加してくださっている皆さんも、いろいろな役割りを背負ってここにいるという面も大きいのではないでしょうか?
 では、さっきの質問に手をあげていただけますか・・・〈子どもの意欲を高めることが難しい〉と思う方・・・」

 さて、会場の皆さんが手はどちらに多く上がったと思いますか?

 圧倒的に〈大人の意欲を高めることが難しい〉でした。

 この公式サイトのいろいろな記事を読んでいただければわかると思いますが、私は幼稚園の子ども達から、小学生、中学生、高校生、大学生、一般といろいろな方たちへの授業をしています。
 小学生と中学生の〈乗り・盛り上がり〉の具合いは明らかに違います。
 小学生は始まってすぐに乗ってきてくれます。
 中学生の授業はアウェイで始まる事も多々あります。夏など「なんでこんな暑い時にクーラーも無い体育館にみんな集められて授業を受けなきゃいけないんだ」、冬は冬で「何でこんなに寒いフロアーに・・・」という様な雰囲気も伝わって来る事も少なくありません。
 実はそれを次第にこちらの授業に乗せていくのが、わたしの快感の一つでもあります。

 中学、高校、大学生となると、〈簡単には乗らない〉という感じが強くなって行きます。
 盛り上がるハードルは年齢と共に上がっていくと言ってよいでしょう。

  ですから、大人が盛り上がってくれる様な教材を作ることができれば、それは〈子ども達も盛り上がってくれる〉といってよいのです。もちろん完全ではありませんが。

 さっそくブーメランを取り出して、予想を立ててもらいながら、実験をしてみました。参加してくださった皆さんも身を乗り出してくれました。シンポジストの方達も一緒に予想してくれた。
 どんどん乗って来たので、あらかじめプレゼントとして準備してあった「グルくん」の実験まで進みました。

 
 全部終わって会場の片付けに入るころ、たくさんの方達が個人的に話をしに来てくれました。うれしい評価がたくさんで、名刺入れに準備してあった名刺がなくなるくらい、いろいろな方達と触れ合うことができました。

 実力ある子ども達がたのしく元気に成長する。その流れが明るい未来を作るのです。もちろん大人の我々もたのしく元気に成長していきましょう。それができれば、子ども達に伝わらないわけがない、そう思っています。
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たのしい教育への疑問②/本を楽しむ為には漢字や語句が分からないといけない様に、楽しい授業をするにも基礎基本をしっかり習得させる必要がある

 前回から続いて〈本を楽しむ為には漢字が分からないといけない様に、楽しい授業をするにも基礎基本をしっかり習得させる必要があるのではないか〉という疑問に対する話です。

 みなさんはどう考えたでしょうか。

 たのしい教育研究所の答えはシンプルです。

「本を楽しむ為には漢字や語句が分からないといけないということなら、〈たのしい教育研究所〉は、その漢字や語句を〈たのしく学べる〉様にしたいのです」

 その考えにA先生も納得してくれた様に感じています。

 A先生にはいくつかの事例についてもお話しました。このサイトのサイドにも出ている〈国語辞典をたのしもう〉もその一つです。
 もう一つ、私が学校にいた時に利用していた定番の教材「漢字の宝島」を紹介しましょう。入手できるサイトものせておきます。
 教務主任をしていたこと期間も長かったので、担任の先生がおやすみすると、そのクラスに入ることも多く、国語の授業としてよく利用していました。〈ぬり字〉とも呼ばれています。
 それぞの学年の数字型に描かれた島に、その学年で学ぶ漢字が配列されていて、それを見つけて隣と違う色で塗り分けていくのです。

 子どもたちから評価が高く〈家庭学習でやりたい〉というので、いくつかの学年のプリントをもらっていく子も出て来るほどでした。

漢字の宝島 低学年
   漢字の宝島 高学年

 漢字を何度も書いて覚えるドリル学習も、苦痛ではなくたのしく組み立てていける教材があります。もちろんその為には教師が〈たのしい教育〉を本気で学んでいく必要があります。半端に学んでいくと腰砕けになってしまいますから注意が必要です。

 A先生からの疑問に戻りましょう。そこで提示された疑問は〈たのしい教育〉への反論的なものに見えたかもしれませんが、全くそうではありません。

 長い歴史の中で残されて来た文化は、私たち人類が感動をもって残して来たものです。ですからそれを学ぶ事は、たのしい教育として構築していくことが可能だと考えています。
 とはいえ、たのしい教育はまだ歴史が浅く着実に歩を進めていることは間違いないとはいえ、全ての教育内容をたのしくできるまでには至っていません。その為にはいろいろな人たちの叡智を注いでいく必要があります。たのしい教育の教材を開発し、それを広げる活動はまだまだこれからです。みなさんの興味関心と協力をたのしみにしています。
 社会にはいろいろな問題が山積しているとはいえ、一緒にたのしい教育を推進してくれる方達が増えてくれることが明るい未来を広げていくことになります。
 その活動そのものが、とてもたのしいですから、心からお勧めします。
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たのしい教育への疑問①/本を楽しむ為には漢字が分からないといけない様に、楽しい授業をするにも基礎基本をしっかり習得させる必要がある

〈たのしい教育研究所〉には批判的な話は届きません。たのしい教育と対立する様な見方・考え方が教育の世界に存在しないということかもしれませんが、それと敵対する考えの人たちは、そもそもこのサイトなどを読まないのでしょう。
 もしも〈教育にたのしいとか楽しくないということは関係ない〉という人がいても、自分の教育をより良くしたいという意図があるから、このサイトを読んでくれているので、子ども達の明るい未来に全力で取り組む姿を批判する気持ちにはならないのだと思います。

 もしも〈たのしい教育〉に疑問や批判を感じる人たちがいても〈子ども達の笑顔〉に反対する人はいないでしょう。

 そもそも、たのしい教育研究所には、その方法を学びに来る方達なので、必然的にその趣旨に賛同している皆さんが集う場になります。ですから、そういう方達から来る〈たのしい教育への疑問〉は、ありがたいことでもあります。

  今回は、その貴重な話を取り上げようと思います。

 某日、ある先生から「たのしい教育研究所の活動にとても関心を持っています。いろいろな組織と違って、教師をしていた喜友名先生が途中退職してまで立ち上げた組織である、ということが一人の教師として心をうちます」という挨拶から始まって、本題としてこういう内容が綴られたメールが届きました。

 子ども達が楽しんで授業に参加してくれることはいいことだと思うのですが、例えば読書を楽しむ時にも漢字や語句が分からないと楽しめないように、基本的なこと基礎的なことを習得することは欠かせないことだと思うのです。

 基礎的基本的なものをしっかり習得してこそ、喜友名先生のいう、たのしい教育も成り立つのではないでしょうか?

 この疑問はわたしにとって、とても嬉しい問いかけでもあります。

 みなさんなら、どう答えるでしょうか?

 特に〈たのしい教育〉に共感して下さっている皆さんが、どの様に答えるのか、それを聞かせていただけたら幸いです。

 ちなみに、その先生が心から賛同してくれたのかどうかまでは定かではありませんが、私とのやりとりはすでにいい形で終えています。

 みなさんの考えを聞かせてください。
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