宇宙研究の第一人者 平林久先生のおすすめ本「星と生き物たちの宇宙」

ひと月ほど前に平林久先生が沖縄に来てくださった時のことを書きました。
平林先生は宇宙研究の大家であり武術の達人、まさに文武両道で生きている方です。⇨https://tanokyo.com/archives/5666

わたしが平林先生と初めて出会ったのは、2007年、沖縄で開催した「コズミックカレッジ」でのこと。
平林先生がブラックホールの講義をする時、わたしも自分の授業を終えてサポートさせてもらいました。小学校の子ども達が多かったので、ところどころで話に加わって、平林先生の話のイメージが伝わる様に、対談的に進めさせていただいたのです。

コズミックカレッジが大盛況で終わってあと、
「きゆなさん、出来立ての本ですけど、プレゼントさせてください」
と直接手渡してくださったのが

星と生き物たちの宇宙―電波天文学/宇宙生物学の世界 (集英社新書)

です。

これです。
なんども読んだので、ずいぶん古びてしまいました。

スクリーンショット 2015-06-28 21.28.18星と生き物たちの宇宙―電波天文学/宇宙生物学の世界 (集英社新書)

対談でありながら重厚な内容です。

開いてみましょう。
ここは、この本の中でも難しいテーマの部分です。
しかし平林先生が、誤魔化さずに質問に直球で答えてくれているので、わかりよいのです。
宇宙に興味のある方は入門編としてお勧めいたします。

スクリーンショット 2015-06-28 21.26.45 平林先生が「日付とサインいれましょう」とメモしてくださったので温かみが伝わってきます。

研究所に来る方で、サイン本を読みたい方は、お声がけください。

スクリーンショット 2015-06-28 21.28.27

 

沖縄のたのしく元気で賢い学力向上、たのしい実力のある先生方の育成
それに伴う教員採用試験突破講座、実践型カウンセリング、その他

たのしく学ぶ方たちを本気で応援する「たのしい教育研究所」です

ファインマンと原子論/科学の見方・考え方

すでに他界していますが、ファインマンはわたしが注目している科学者です。
1965年に朝永振一郎らと一緒にノーベル物理学賞を受賞しています。

先月、このサイトにも書いています。  ⇨  https://tanokyo.com/

thumbnail.image.shashinkan.rakuten.co.jp

 わたしが教師の時にいろいろコピーして残してあった資料から、彼について書かれた文章が出てきました。

紹介させてください。

元国立教育政策研究所室長・現日本科学史学会会長 板倉聖宣が2002年10月に
四条畷学園小学校で語ったものです。

読みやすくする為に少しだけ喜友名が手をいれてあります。

    今度,私は『たのしい授業』で,〈原子論を中心とした科学と社会の歴史〉と,長ったらしい表題の連載をやっていますが,始めにこれは〈科学の歴史〉だったのです。
それで,あの連載が始ってから,「これは科学と社会の歴史になる」というので,〈社会〉というのを補ったのです。
なぜならば,原子論というのは科学の最も中心的な話題だからです。そして,それはほとんど社会現象と連動しております。

昨日も言いましたけれども,原子論はルネッサンスが起こると変わります。ローマが滅びると変わります。ギリシャが滅びると変わるし,ギリシャが勃興しても変わります。

だから,科学の歴史と同時に社会の歴史なのです。だから,これはもう初めから総合学習なのです。総合的な学習だから,そういう授業は楽しくなるのです。
「原子論が全ての科学の中心であった」と言うのが,私の若いときからの一貫した主張でありますが,その私にとってとても都合のいい発言をしている人がいます。
みなさんの中にもご存知の方がたくさんいると思うのですが,ファインマンさんです。日本の朝永振一郎さんと一緒にノーベル賞を受けた人です。

日本人はアインシュタインが好きな人が多いのですが,それと同じぐらいファインマンさんは人気があります。アメリカ人の物理学者でありますが,亡くなってしまいました。反体制的な活躍もしていてノーベル賞も辞退しようとした人です。

ファインマンさんを教育にかかわる話を一つだけご紹介しておきますが,とても見事な話が紹介されています。一番初め日本で出たファインマンさんの本は『物理法則はいかにして発見されたか』というので,私と共著のある江沢洋さんが訳しているのですが,江沢さんがファインマンさんと面識があるから序文に書いているのです。

ファインマンさんは子どもが好きで,家族連れでピクニックに出かけた時にグランドで子どもたちがかけっこをしていた。そこに4才位の子どもが「もし僕が勝ったら,お金をちょうだい」と手合わせを申し込んできたのですね。「よし!」という話になります。

みなさんならどうしますか?
小さい子どもと一緒にかけっこするという時に,ほとんど全ての人,私なんかもそうでありましたが,真剣には走りませんね。

子どもに合わせて,子どもが勝つか負けるかぎりぎりのところで子どもと速度を合わせます。日本の大人は協調性がいいのですね。子どもと合わせて,子どもを喜ばせたり,悔しがらせたりして,その時の様子でいい加減に走ります。初め子どもはそんなことに気が付かなかったりしますが,すぐに「あの,おじさんは,適当にしか走ってない」と気が付きます。わざと勝たせてくれたとか,わざと遅くしたとか,それが場合によっては子どもには屈辱です。

 

ファインマンさんはそういう時にどうしたのか?

「よーし,かけっこだ」という時に,子どもは走るのですよ。ファインマンさんは後ろ向きになったのです。後ろ向きになってかけっこをすると,子どもに勝てるとは限りません。だから真剣に走らないと子どもに負けてしまいます。それで200mも腕を背泳をするみたいに大きく振って後ろ向きで走り続けて,大きな息をしながらゴールしたと言うのですね。子どもには負けたのです。

ファインマンさんはそういうことが出来て,真剣に子どもと付き合うことの出来る人なのです。

アメリカで飛行機が落ちたり,ロケットの打ち上げが失敗をしたりすると事故調査委員会が出来ます。その時にファインマンさんはその事故調査委員の一人になります。彼はガンであるけれども,そういうのを引き受けるのです。

 

このファインマンの本が岩波書店から翻訳で出ています。こんな大きな厚い,『ファインマン物理学』という本です。

日本では岩波書店から原著は3冊だったのを5分冊にして出しています。

これは大学の教科書です。

こんなに大きな本でこんなに厚いのですから日本の学生たちは読めません。しかし,アメリカではそんなのは当たり前なので,どの大学の教科書もみんな厚いのです。

その本の「力学」の部分が日本語訳はもっとも長くなっています。その力学の本の一番前に「原子論」のことが書いてあります。そこには,

「もしも,今何か大異変が起こって科学知識が全部なくなってしまい,ただ一つ文章だけしか次の時代の生物に伝えられないと言うことになったら,最小の文章で最大の情報を与えるにはどんなことだろうか?」と。

 

みなさんはどう思いますか?

 

力学の教科書だから,「力学を伝える」と書いてあるかと言うと,そうではありません。「私の考えでは原子仮説だろうと思う」と,人類の最大の発見は原子論であると。

「原子がこの世にはあって,それによって出来ているということを次の時代の文明を持った人たちに伝えていく」と,最も短い言葉でそのように書いています。

 

あの,ファインマンさんの力学というのは,そういう脱線をするのです。「私はそう思う」と,ファインマンさん個人が出てくるのです。「物理学者はみんなこう考えている」なんて,そんな世論調査みたいなものではありません。ファインマンさんみたいな創造的な人は,「私はそう思う。みなさんはどうか」という形で書いているのです。

だから「原子論というのが最も人類の財産だ」と,これは私の主張でありますけれども,ファインマンさんの主張でもあります。それでファインマンさんは,現在の科学者の中で最も影響力がある人です。

以上

 

たのしい教育全力疾走RIDE(たのしい教育研究所)、みなさんの応援が元気の源です。一緒にたのしく賢く明るい未来を育てましょう。このクリックで〈応援〉の一票が入ります!

 

自由研究/レンズの魅力

自由研究こそが研究である、シリーズです。
去年作成した授業プランに「レンズの魅力」があります。
その時に研究所でいろいろな実験をしている時の写真があります。

問題意識は
「透明なものがきれいに湾曲(カーブ)していればレンズになりうるのではないか」
です。

みなさんはどう思いますか?

虫眼鏡はいかにもレンズです。

では、コップに水を入れたらどうでしょうか?

きれいに湾曲していますね。
スクリーンショット 2015-06-27 19.38.31しかしレンズの様に一様にカーブしているわけではなく、筒状になっているだけですね。

これでもレンズの様にものを大きくしてくれるのでしょうか?

みなさんはどう思いますか?

予想

ア レンズの様に拡大してくれる

イ レンズの働きはしない

ウ その他

どう思いますか? また、どうしてそう思いますか?

 

予想を立てたら実験です。

やってみましょう。

スクリーンショット 2015-06-27 19.34.20 スクリーンショット 2015-06-27 19.34.26

どうでしょうか?

ぐっと大きく見えますね。

予想は正しい様に思えます。

みなさんも、いろいろ実験してみませんか。

沖縄の、たのしく元気で賢い学力の向上、たのしい実力のある先生方の育成、それに伴う教員採用試験突破講座、実践型カウンセリング、その他、たのしく学ぶ方たちを本気で応援する「たのしい教育研究所」です。

学力向上と自由研究/トマトの味も予想⇨実験 ! 家族でもどうぞ!

沖縄県の学力向上について「たのしい教育」の観点からいろいろ書かせていただいています。
かなり反響があり心強く思っています。

この機会にぜひこの「たのしい教育研究所」の公式サイトで「学力」について書いてところを読んでください。学力方程式を元に、本質的に学力を高めるにはどうするか、ということを意識していただけるものと思います。
    ⇨右の欄に検索の窓があります。そこに「学力」と
     打ち込むと幾つも出てきます

さて今回は「学力」を高めるためにも重要な「予想を立てて確かめる」という具体的な方法について書かせていただきます。
学校だけでなく家庭でも簡単にたのしめる内容です。

夏になると「自由研究こそが本物の研究である」という話をいろいろなところでしています。
つまり「これをやりなさい」「これを調べないさい」ということではじめる研究は本物の研究ではなく、本物の研究に至るレッスンだということです。

さて、学力を高めるという視点でみても、研究には、
「予想を立てて確かめることが必要不可欠」です。

「賢くなるためには 予想⇨実験」ということです。

その「予想⇨実験」のレッスンは、日常いろいろなシーンで可能です。

今回は、最近、研究所のメンバーとたのしんでいる「トマトジュースのお味」という実験を紹介します。
家族でも仲間内でもたのしめると思います。
最近、わたしが突然「トマトジュース」の美味しさに目覚めました。

そこで、少し大きめのスーパーにいって手に入るトマトジュースを全部買ってきました。
スタッフで、この中のどれが一番美味しいと感じるか、予想してもらうことにしました。
もちろんわたしもです。
スクリーンショット 2015-02-18 15.50.53 まずパッケージをみてもらって、どれが一番美味しそうか、予想してもらいます。
そのあと、パッケージをかくして、番号をつけた6つのコップの中から、一番おいしい、と思うトマトジュースあげてもらうのです。これには誰か一人、コップに入れて準備してくれる人の手助けが必要になります。
この「予想⇨実験」は自分が予想したものと、自分が美味しいと思ったものが同じなのか、違うのか、ということで、遊びとしてもとてもたのしい実験になります。
外れても、当たっても、どっちにしてもたのしめます。

ということで、わたしのおすすめは
伊藤園の「熟トマト」でした。
以来、お店で買う時には、もっぱら「熟トマト」にしています。

 

沖縄の、たのしく元気で賢い学力の向上、たのしい実力のある先生方の育成、それに伴う教員採用試験突破講座、実践型カウンセリング、その他、たのしく学ぶ方たちを本気で応援する「たのしい教育研究所」です。