アドラー心理学/インディビジュアル・サイコロジーと全体論

ミュージシャン松任谷由実の「海を見ていた午後」という作品があります。

切ない歌は苦手なのですけど、なぜかこの作品は大好きです。
情景がきれいに浮かんでくることと、おそらくこの女性が、もうそんなに苦しんでいるわけではないからなのでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=0uEZ_AyFp7k

♫   
あなたを想い出す
この店に来るたび
坂をのぼって今日も
独り来てしまった…
山手のドルフィンは
静かなレストラン
晴れた午後には 遠く 三浦岬も見える

ソーダ水の中を 貨物船が通る
小さな泡も恋の様に消えていった

あの時目の前で
思い切り泣けたら
今頃二人 ここで 海を見ていたはず

窓にほほをよせて
かもめを追いかける
そんなあたなが見える 今もテーブル越しに

紙ナプキンには
インクがにじむから
「忘れないで」って
やっと書いた 遠いあの日…
♫  


映像がすぐに目に浮かんでくる様な作品です。

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この文章も実は、のんびりとソーダ水、まあ私が大好物の単なる炭酸水なんですけど、それを飲みながら綴っています。

 

さて、先日カウンセラー協会で、個別に幾つかの質問を受けました。
その中にカウンセラーの同業者としての専門的な質問が幾つかありました。

「正対の技法についてもう少し知りたいです」
「全体論の内容が興味深いです。言葉も行動も全体としてみるということですか?」
「非支持的なカウンセリングしか知らなかったので、今日の講座はびっくりしました。喜友名先生がカウンセラーも選択肢を出す、と話していましたが、それをもっと聞きたいです」
という様な内容がいくつも上がっていました。

 講座中も話したのですけど、わたしが担当したのは、わずか3時間ですから、全部を把握しようというのは無理です。ぜひ、その3時間をきっかけにして、自分でもいろいろ学んでいただけたら、とても嬉しく思います。

 その学ぶ刺激になればと思い、今回は「全体論」について少し書かせていただきます。

「全体論」は、アルフレッド・アドラーが自らの心理学を「Individual-Psychology/個人心理学」と名づけたことと深く関係する、とても重要な理論です。

 Individual(個人)の言葉の成り立ちは、In-dividual です。
“in”は「否定」の意味です。dividualはdivide(分ける)の派生語です。

つまりindividualは「これ以上分けることができない単位」という意味で「個々の」「個人の」というイメージの言葉なのです。

スクリーンショット 2015-08-10 16.59.42スクリーンショット 2015-08-10 16.59.58
Divide(ディバイド/分ける)できない存在が個人In-dividual です。
そもそも個人を分割したら死んでしまいますからね。

  アルフレッド・アドラーは、支援する対象のその人を、「個人」つまり「分けることができない全体」として捉えました。
生命としてだけではなく、行動も考え方も全てのものにおいて、です。

「あなたはこの時はこうですよね。しかし、この時はこういう一面がありますね」
ではなく、たとえば
「職場で悲しむのも、家で怒るのも、あなたが自分のことをもっと注目してほしいという目的でとっているのではないでしょうか?」
というように、矛盾のない一本の線で解釈するようにしたのです。

 結果して、その見方・考え方をすすめることでカウンセリングはとてもうまく進むことがわかりました。
ですから Individual-Psychology は「全体として相手をみる」ことと不可欠です。

 さて、冒頭の歌詞をよく読んでみませんか。

 主人公の女性は

あの時目の前で
思い切り泣けたら
今頃二人 ここで 海を見ていたはず

とつぶやいています。

 しかしわたしのカウンセラーとしての眼でその歌詞を読むと、そのままうなづくことはありません。

あの時、その男の人の眼の前でたくさん泣いても泣かなくても、結果として別れることになったのではないか、という選択肢が浮かびます。

 少し話は外れますが、別れるということは、表面的に悲しいことに思えるかもしれませんけど、人生全体としてみると、あながち悪いことではない可能性もあるのです。
痛い思いをした結果幸せになったということは実際、いくらでもあるからです。

話を戻しましょう。
特に人間関係というものは、その時にある行動をとったからということで流れが大 きく変わるということは、あまりありません。

単にひとつの行動を観て、と思われる様なことも、実は「Individual」 つまり 一人の個人として、矛盾ないその人全体としてみて関わっているからです。
ですから、たまたまそこで泣いたとか泣かなかったという行動一つが、二人の関係に大きく影響するとは思えない。
それまでの行動、スタイルといったものの全体の中で、たとえば「思い切りなかない」という選択を、その女の人はしていることが多いのです。

ちなみに、全体論を説明しようとする時に、たまたま頭に浮かんできたものを紹介してみたでけで、わたしは、歌をいつもこんな風に分析して聴いているわけではありませんので、誤解なきように。

 興味をもっていただけた方は、またわたしの講座を受講してください。

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