これまで、入手できる仮説実験授業関係の書籍は全て読み、板倉聖宣が書いたものから多大な影響を受けてきました。他にもいろいろな方達がまとめた〈ガリ本〉と呼ばれる仮説実験授業研究会独特の冊子も、膨大な量を手にし、読んできました。その中で、ただただ脱帽、という本があります。仮説実験授業研究会の重弘忠晴「仮説実験授業50年のあゆみ第1巻 仮説実験授業の提唱」です。
奥付を見ると300部限定発行とあります。研究会向けの冊数としてはこれでも多い方なのですけど、内容からみるとその10倍くらいは売れてほしい本です。内容とは関係ありませんが、本の後ろの「仮説実験授業50周年イベント」の写真の中には私も写っています。
実は、ありがたいことにこの本は昨年、この本が出版された時に著者の重弘さんから頂いたものです。〈頂いたから〉ということでお礼代わりに書いているのではなく、この本は間違いなく仮説実験授業研究会が発行した本の中でかなり重要な一冊です。
私がこのサイトで書いた「ブルーナーの発見学習と板倉聖宣の仮説実験授業」についても、示唆に富む内容「第1章 板倉聖宣とPSSC物理」から始まって、「仮説実験授業の確立」「仮説実験授業と仮説実験授業入門」など、どの章も、重要で重厚な内容の連続になっています。
例えば〈板倉聖宣はいつから近代科学にとって原子論が決定的であると考える様になったか〉という、私がこだわっていたものに関しても、はっきりと書き記してくれています。
ところで,板倉はこのようなく近代科学が成立するためには原子論的な考え方が決定的に重要だ〉ということをいつごろから意識するようになったのだろうか。 前掲論文「理科教育におけるアリストテレス・スコラ的力学観と原子論的・ガリレイ的力学観」の「注(6) 」 に「板倉の前掲論文『科学史研究」No.44 ~ 46 [注「古典力学の成立過程・その骨組」のこと〕 ,では原子論に関する議論,評価が不充分で、あった。この点修正したい(板倉) 」とあるから, 「古典力学の成立過程・その骨粗J という論文以降ということになろう。この論文は, 1957年12 月提出の板倉の博士論文の一部で,それが『科学史研究』44号~46号(1957年12 月~ 1958年6月)に掲載されたわけである。「理科教育における…」のおよそ1年半前ということになる。
だから,この1年半の聞に,板倉は「原子論的な考え方」 の重要性に気づいた,ということになる。 そこで,板倉の論文をくわしく追ってみると,このころ板倉が編集・発行していた『物理学史研究』NO.3 (1959年2 月刊) に[原典紹介〕 4 の1,ガリレイの力学のなりたち そのー,静力学から動力学」という板倉の論文が掲載され,そこに「原子論的な考え方」を示すガリレオの論文が訳出紹介されているのを見出すことができる。
それはガリレオ「運動について」という遺稿からの抜粋紹介で,その中で「原子論的な考え方」を述べている部分は下記の通りで,そんなに長いものではないので全文紹介しよう。 つづく 65pより
著者の重弘さんは仮説実験授業の初期からのメンバーで、数年前に小学校の校長先生を退職した方です。これだけの内容をまとめる力は研究会随一と言って間違いないと思います。 わたしの様に板倉聖宣の哲学や発想法を追いかけている人間には〈ただただ脱帽〉の一冊です。同じ関心を持っている方がいたら、ぜひ入手しておくことをおすすめします。頂いたものなので金額がはっきりしなかったのですが、調べてみると5724円(本体5300円)です。もちろん一般の書店では扱っていませんので、希望の方がいましたら直接研究所にお問い合わせください。研究会員の方はそのまま入手できますが、そうでない方は、わたしの方で重弘さんに確認してみます。
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