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力による教育からたのしい教育へ/押付けではなく感動で伝えたい、

 今回は何年か前のメルマガの〈たのしい教育の発想法・哲学〉の章を紹介しましょう。先日の「沖縄県グッジョブフェア」を受けてくれた方たちから届いた便りへの返事として添えたものです。

 たのしい教育メールマガジンの中でもこの章は、感動したというたよりがたくさんくる一つです。途中からなので全体像伝わらないと思います、しかし「押し付けではなくたのしい教育で子ども達を育てる意義」は伝わると思っています。
 ぜひお読みください。

 教育の中で〈押し付け〉や〈強制〉がエスカレートすると「体罰」という形で表れます。

「たのしい教育」を志す人たちは「どうすれば〈授業が嫌だ〉という子どもたちが振り向いてくれるか」「どうすれば自分の授業に感動してくれるか」を考えていますから、必然的に体罰と逆の〈内発的な興味関心〉に基づくベクトルに向かいます。

 つまり「たのしい教育」は平和な社会を築く礎でもあるという気がするのですが、どうでしょうか。

 自分の思い考えを力によって押し付ける行為は「体罰」という形で表れると書きましたが、それはさらにエスカレートすることもあります。

 「たのしい教育研究所」からほんの30分ほども離れていないところで、とても悲しい事件が起こりました。
 テレビやニュースをほとんど見ない私も、数週間前から行方不明になっている女性がいるという事は耳にし、心配していました。
「犯罪に巻き込まれているというのではなく、家出でもしていてどこかで暮らしていてくれたらいいな」
と思っていたのですけど、今朝の新聞で、取り返しのつかない結果になっていたことを知りました。

 事件の全貌が明らかになったわけではありませんが、命を奪われた、というのです。
 何という悲しいことでしょう。

 容疑者は米軍関係者だというのです。ただでさえ反発する人の多い沖縄ですから、何か過激なことが起こらなければよいのだがと心配しています。

 その事件の悲しみや怒りの中に「強いものが弱いものに力で自分の思い・考えを押し付ける構図」を見なくてはいけません。
 実は人類が犯す最も大きな悲劇といってよい「戦争」も、同じ構図なのです。

 押し付けや強制で成り立つ社会ではなく、いろいろな人たちが自分の可能性を伸ばし生き生きと暮らす社会に向かって、少しずつでも着実に近づけていきたい、それはきっと多くの人たちがそれに賛成してくれることでしょう。

 もしもそれに賛成してくれるとしたら、ごく日常の私たちの周りの人たちとの関係の中に押し付けや強制がはびこっていないのか、見直していく必要があると思います。

 押し付け・強制とは、相手が納得しないこと、イヤがっていることを力で従わせることです。

 その事によって、押し付ける側の目的が達成されたと思うかもしれませんが、それは早計です。逆の恐ろしい作用が芽生え成長し始めるからです。

 その押し付けの構図の中で育っていった人は「自分が強くなり、力を利用できる立場になれば弱いものたちを従わせることができる」という恐ろしい感覚を身につけていくことになるのです。
 反面教師ということもありますが、たとえば犯罪者といわれている人たちの周りの状況を見ていると〈力の構図の中で育っていった人たち〉が少なくないことに驚きます。

 伝えなければいけないことが大切なものであればあるほど、それは押し付けや強制ではなく、相手が深く納得してくれる様に伝えることができるはずです。
 ただし、人間の長い歴史の中で、やっとその流れに向かったばかりですから、押し付けや強制によらない新しい方法は、私たちが真剣に学び取っていく必要があります。「たのしい教育研究所」の活動は、いろいろな人たちにその方法を伝えることです。

 「たのしい教育」が広まっていくことで、子どもたちもきっと、「大切なことは感動や共感を持って相手に伝えることができる」ということを学びとってくれると思います。
 その中で、力や押し付けによらず、共感や感動による伝え方ができる人たちが増えていくに違いありません。
 そして、自分の笑顔と同じ様に、周りの人たちの笑顔も大切なのだということを実感として身につけていくのだと思います。

 政治から遠いところに身を置く私ですが、ますます「たのしい教育」に力を注ぎたいと思う日々です。
 今後ともご協力、よろくしお願いいたします。

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