たのしい教育を学びながら、教員採用試験の合格を目指している方たち向けのワークショップが近づき、資料の作成などもたのしくすすんでいます。来年度から指導要領が改定されるので、その新しい内容を整理して何度も読んでいます。
その中で〈小学校〉の〈算数の目標〉について紹介させてください。
文部科学省がほぼ10年ごとに〈教育過程・カリキュラム 〉の基準を定めた「学習指導要領」を出しています。
現在使われている指導要領(現行指導要領)にはこうあります。
後半の青い部分に注目していただけますか。
算数的活動を通して,数量や図形についての基礎的・基本的な知識及び技能を身に付け,日常の事象について見通しをもち筋道を立てて考え,表現する能力を育てるとともに,算数的活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付き,進んで生活や学習に活用しようとする態度を育てる。
実際の授業がどうなのかは別にして、目標は〈算数的活動の楽しさ〉〈数理的な処理のよさ〉に気付いてもらい、進んで生活や学習に活用しようとする子どもたちを育てることです。
「たのしい教育」は指導要領のその目標に沿っているという見方もできます。
学習指導要領は改定されて来年度から「新しい学習指導要領」の元で教育過程が編成されます。
さて、新しい学習指導要領の〈算数の目標〉はどうなっているでしょう?
「楽しさ」という言葉はまだ生きているでしょうか。
それとも削除されたり、別な言葉に変わってしまったのでしょうか。
みなさんはどう思いますか?
予想 ア.そのまま生きている
イ.削除された、あるいは別な言葉に変わった
ウ.その他
では見てみていきましょう。
一見してわかると思いますが、新しい指導要領は文章がだいぶ長くなっています。
テストに臨む人たちはその分、覚える量が増えていきますが、これまでのものより整理されているので、思考の文脈的には覚えやすくなったという気がしています。
来年度から始まる新しい指導要領の〈算数〉の目標はこうです。※( )はワークショップの問題として使うために私が加えたものなので気にしないでください。
第1 目 標
数学的な見方・考え方を働かせ,数学的活動を通して,数学的に考える資質・能力を次のとおり育成することを目指す。(1) 数量や図形などについての( 基礎的・基本的 )な概念や性質などを理解するとともに,( 日常の事象 )を数理的に処理する技能を身に付けるようにする
(2) 日常の事象を数理的に捉え見通しをもち( 筋道 )を立てて考察する力,基礎的・基本的な数量や図形の性質などを見いだし( 統合的 ・ 発展的 )に考察する力,数学的な表現を用いて事象を( 簡潔 ・ 明瞭・(的確 )に表したり目的に応じて柔軟に表したりする力を養う
(3) 数学的活動の( 楽しさ )や数学の( よさ )に気付き,学習を振り返ってよりよく問題解決しようとする態度,算数で学んだことを生活や学習に活用しようとする態度を養う
比べてみると、前半の部分は大きく書き加えられていますが、後半の「楽しさ」の部分はほとんど同じです。
(現行指導要領)
算数的活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付き,進んで生活や学習に活用しようとする態度を育てる。
(新指導要領)
数学的活動の( 楽しさ )や数学の( よさ )に気付き,学習を振り返ってよりよく問題解決しようとする態度,算数で学んだことを生活や学習に活用しようとする態度を養う
算数的活動は〈数学的活動〉とまとまり、「楽しさ」「よさ」という言葉はそのまま生きています。
それらをこれからの生活や学習に生かすだけでなく、〈ふりかえって 〉よりよく問題を解決しようとすることにも生かしていく、というのが新しい指導要領の目標です。
「これからの社会はますます〈たのしい教育 〉のめざすところに近づいてきている」そう思える事象の一つです。
算数・数学の〈楽しさ・よさ〉を子どもたちに伝える。そういう授業は、教師にとっても〈たのしい 〉ものであるに違いありません。そういう目標に迫ることのできる教師を育てて、学校現場にたくさん送り出したいと思っています。一緒に〈たのしい教育〉を広げませんか。ここのクリックで人気ブログに一票入ります!