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実験論/実験によってのみ真理に至る

 今回は〈実験論〉、実験とは何かについてお届けします。研究所が出来た当時、わたしが語った〈実験とは何か〉という話をスタッフが書き起こしてくれたものがあります。それに少し手をいれておとどけします。

 組織をリードする者としても、いつも心の中に置いておかなくてはいけない重要なものだと思いますし、正しいものを見つけていく過程では最も重視される必要のある1つだと思っています。

実験とは何か

きゆな はじめ   

 

「たのしい教育研究所」は「たのしい教育を〈たのしみながら〉広める」ために設立された組織です。その時の重要なキーとして「仮説・実験の手法と哲学は全てに勝り最上位に来る」という一文を掲げてあります。
 たのしい教育研究所には私が提案した幾つかのルールやスタイルがあります。
 例えば〈大きなミーティングでも45分以内〉というルールです。
 そのルールも「〈仮説・実験〉の手法と哲学が全てに勝る」わけですから、「実験として続けてみよう。うまくいくなら継続して、無理がなるなら見直しましょう」という事です。

 もしもこういった〈実験〉の手法が例えばいろいろな組織、たとえば学校という組織に取り入れられていたら、もっと効果的なのにと思います。

 組織の中では時々〈自分の意見が正しい〉といって揉めることがあります。どちらも自分の意見が正しいと思っているわけですから、議論は果てしなく続くことにもなります。人間は次第に感情的にもなりますから、それを聞いている周りの人たちも、つらい気持ちになることがあります。
 強いほうが正しいなんていうことはありません。組織で上の人、管理職が正しいということもありません。
 反論できなかった者が結果的に正しいことを言っていた、ということもよく起こるのです。

 そういう立場による正否の決め方や、威勢のいい人が勝つ流れではなく「私はこの方がよいと思うのですけど、一度試してみませんか?」という様な動きができたら、その組織はもっと良くなっていくに違いないと思うのです。


その「実験」をする時に重要な事があります。

 1つは「必ず予想を立てる」ということです…今起こった状況を〈これはこういうせいだ〉とか〈あのせいでこうなったのだろう〉と解釈するのではなく、まず「こうすると、その後こうなると思う」という予想を立てるのです。
 予想を立てないものは実験とは言いません。
 たとえば〈蚊がいたので殺虫剤をまいた。翌日見てみるとクワガタ虫が死んでた〉ということがあったとします。しかしその事実があっても、それを実験とはいわないのです。
「クワガタムシは昨日の殺虫剤のせいで死んだのだろう」と予想したら、例えばそういう事がないかデータを調べてみる、そうやって確かめる、それが実験です。それなしに、〈これはこういうせいだ〉という様に判断するのは〈解釈〉であって実験ではないのです。
 科学は〈予想⇒実験〉で真理を見つけていったのです。

 予想を立てる時に重要な要素が「期間を区切る」という事です。「いつかはこうなると思う」というのではなく「一月後はこうなると思う」というように時間的な枠を決めておくという事です。

 予想を立てなくては新しい事は発見できない…しかしその予想は期限を決めて立てることで、ますますシャープに〈正しいことを見つけていけること〉につながります。組織としての動きを考える時に重要な1つです。

 

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