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デマ宣伝を見破るには 板倉聖宣が高校生に向けて書いた文章から

だまされない人間になる、デマ情報に惑わされない人間になる、それは人間がよりよく生きることであり、社会全体が成熟していくことでもあります。テレビや新聞から情報を入手する習慣のない私でも、現在起こっている問題は気になります。以前書いた〈森友問題の本当の問題と解決方法/政治の見方・考え方入門/重層三権分立というアイディア〉が好評です。

 今回はたのしい教育の応援団の方に綴っている〈たのしい教育メールマガジン〉に書き始めている〈デマ宣伝を見破るには〉という文章を少し紹介しましょう。

 メルマガは〈たのしい教育研究所の今日この頃〉〈たのしい教育実践編:クラスや家庭でたのしめる教材〉〈映画の章:Let’s Enjoy movies.〉〈たのしい教育の発想法〉の四部構成になっています。
 ラストの発想法は特に反響の大きな章の一つです。

 1964年に板倉聖宣が〈高校生〉向けの雑誌(三省堂)に執筆していた「きみ自身の科学」という文章の一部が手元にあります。
 その中に〈デマ宣伝を見破る〉をテーマに書いた文章があります。

 その中の一部を書き抜いてみます。

 これまで私は、自然科学の例ばかりをあげてきましたが、もっともおそろしいデマ宣伝の領域は、社会に関するものです。

 自然がいくらデマ宣伝のような外観をもって私たちを惑わすとしても、自然に悪意があるわけではありません。ローマ教会が、太陽が地球のまわりをまわっているように見える事実を〈宣伝する〉ようになってはじめて恐るべきものになるのです。

 

 私たちにとって、手品や奇術は面白い見世物です。

 ところが、これが心霊術師というような人々の手に渡り、まことしやかに宣伝されたら、どういうことになるでしょうか・・・

「いまの科学ではまだ分らないことがたくさんあるから、心霊現象などという不可思議なこともあるかも知れない」

などという一部の科学者の懐疑論をつけそえて。

 

 そんなときにも、私たちは多くの場合、そのトリックを見つけることは難しいことでしょう。

 

 それは、たいていの人々にとって手品や奇術のトリックの種や仕掛けが見つからないのと同じようなものです。

 私たちは決して、空の弁当箱から卵がざくざく出てくるのが真実だとは思わないのですが、それと同じようなことがまことしやかに宣伝されたら、それも本当かも知れない、と思わなければならないのでしょうか。

 どう考えたらよいのでしょう。

 

 第二次大戦中、政府はじめ新聞がこぞってひどいデマ宣伝をしたことは、その戦争を経験した人々にとってはなまなましい教訓となっています。

 あらゆる新聞がこぞってデマ宣伝をやりました。

 そんなとき、私たちはいかにしてそれがデマ宣伝であることを見抜くことができるでしょうか。

 

 これはみなさんに是非考えていただきたい問題です。

 

 板倉聖宣が問いかけた様に、政府はじめ、あらゆる新聞(マスメディア)がこぞってひどいデマ宣伝(間違った情報)を流したら、私たちはどの様にしてそのデマ、間違った情報を見破ることができるのでしょう?

 これは全ての人たちが頭に置いていた方がよい重要なテーマです。

 子ども達の笑顔を育てるということはつまり、大人である私たち自身も笑顔であるということです。大人の私たちが苦悩を浮かべて暮らし、子ども達が笑顔になっていくということは考えられませんし、そういうことは継続できるものではありません。
 全ての人たちの笑顔、大人も子どもも含めてたくさんの人たちの笑顔、それがたのしい教育研究所のテーマです。

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