学生時代から〈量子力学〉について興味があって、いろいろな本を読んだり大学の特別講義を受けたりしてきました。〈量子〉そのものが、学ぶほどに理解不能な世界です、今日はそれにからむ話です。といっても難しいことをかくつもりはありません、それはいつもの通りのスタイルです。
第一研究所の書籍の多くを手放して、本そのものがかなり少なくなったので、読みたい本たちが目に映る様になってきました。本が無くなったのは残念なことですけど、よいこともたくさんあります。
以前購入しておいた量子論の本も科学のコーナーに並ぶ様になり、時々手にしています、やはりおもしろい。
私たちが目に見える世界よりもっと小さな世界が、このサイトでもよく話題にしている〈原子〉の世界です。現代の科学はすべてその原子の存在を元にして組み立てられています。
ほんの100年ほど前の科学者たちでさえ、原子の存在を否定する人たちがたくさんいたのに、今では、原子の存在を否定する科学者はいません。
原子の存在を元にして考えると、雨がふるスピードも、砂糖が溶けて見えなくなる現象も、どうして走ったり考えたりできるのかも、はっきり説明できるからです。
最近では写真を取ることもできる様になり、今では原子が動く様子までみることができます。
ぜひ動画もご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=gr4jLuqrzbw&feature=emb_logo
その〈原子〉より、もっと小さな世界が〈量子〉の世界です。
量子は〈粒〉という物体の性質と〈波〉である非物体の性質の両方をもっています。
何のこっちゃ、と思う人たちも少しお付き合い下さい。
私たちのみる世界では、たとえばAくんが投げた野球ボールがBくんのグローブに届く前に、その中間のたくさんの場所(中間点〉を通過します。
ところが〈量子〉はAくんの手から中間点を通過せずに突然Bくんのグローブに現れたりするのです、これはもうビックリの世界ですよね。
実際、その現象を発見した科学者たちも、それが信じられず「きっとどこかの点を通過しているだろう、今の自分たちの技術レベルが低くてそれを見つけられないだけなんだろう」と考えていました。
ところが〈予想➡︎実験〉すなわち〈科学〉の研究をすすめればすすめるほど 量子の存在や振る舞いは、私たちの知っている物理の法則では説明不能になってきたのです。そこで私たち人間は新しく「量子力学」という物理法則を組み立てて考える様になりました。
何しろ量子の研究でノーベル賞を受賞したファインマン自身が、量子のふるまいについて
「こんなことはあっていいのか?」と考え続けるのはやめなさい。
その問いへの答えは誰も知らないのだから」
と語っているほど、研究者にとってもおかしな振る舞いをするのが量子なのです。
つまり〈分からなくたってたのしい世界〉が今の科学の最先端を走っている、たくさんの科学者たちがその研究に没頭しているのです。
ところでも、わたしが現役の教師の頃「答えがわかる様になればたのしくなるんだから、子ども達が苦しいって言っても徹底的に基礎基本を教えるんだ。そうやって乗り越えてたのしくなるんだから」と先陣をきってがんばっていたA先生やB先生、C校長やD教頭たちは、今もそう信じてがんばっているのでしょうか。
そうやってがんばった中で何パーセントの優等生がいい点数を取っていい学校に進学したでしょう。ところが同じ授業の中で「学校に行きたくない」とか「算数なんて大嫌いだ」という子ども達がどれだけ生まれたことでしょう。
「わからなくてよい」という話ではありません。
そういう尺度で教育をふるいにかけない、ということです。
たとえば「岩にしみ入る蝉の声」という芭蕉の言葉の「声が本当に岩にしみ入る、しみ込む」のか分からなくても、なんだかすごいことを言っていると感じることは可能です。
「わかるからたのしいのだ」という頑なな思い込みを脱して、教育を〈たのしく授業できるか〉にしぼって組み立てていくことは、これからの教師にとっても大切な立ち位置になると考えています。
たのしい教育は、わかるからたのしい、という世界も、わからないけどたのしいという世界も、どっちも含む0教育です。
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