道徳は楽しい②/道徳の教科化とたのしい教育・楽しい道徳

 道徳は本来たのしいものだと思います。それは楽しい教育の教材を実施したたくさんの先生たちから寄せられるお便りから見ても確かです。
 しかし、道徳が苦手、道徳嫌いな子ども達はたくさんいます。

 たとえばGoogleの検索で〈道徳 嫌い〉というキーを打つと51万件くらいヒットします。当然、その記事の全てが〈嫌い派〉ではありませんが、教師として見れば辛いこともたくさん書かれています。

 統計を見たいとweb上を探すと、学研がまとめたグラフが見つかりました。
 小学生を対象に「あなたが、学校の授業で一番好きな科目と一番嫌いな科目を1つ選んでください」と質問した結果がこのグラフ(2015-10の調査)です。

https://www.gakken.co.jp/kyouikusouken/whitepaper/201510/chapter8/01.html
 

 順番性を重要視する必要があるのかどうか疑問ですけど、このグラフから見えてくることがいろいろあります。
 もっとも注目したいのは〈道徳が嫌いだ〉という子どもは〈道徳が好きだ〉と感じている子どもの約3倍にのぼっています。これだけ大きい教科は他にありません。

 全体としても「道徳が好きな子の三倍近く、嫌いだという子がいる」という様に予想してみることは、それほど無茶なことではないでしょう。

 これは悲しいことです。

 「道徳教育でいじめを減らそう」として努力するという流れも、これでは効果がないどころか逆効果であるとも言えるかもしれません。

 そもそも道徳は儒教的な教えを子ども達にインプットしよういうところがある、というのは、いろいろな人たちが考え、感じていることの様です。 〈人を思いやること〉〈友達を大切にすること〉〈守るべきことを守ること〉〈約束を守ること〉etc.
それらは儒教の五常の中にしっかり記されていることです。

 子どもたちだけでなく大人も「それは大切でしょう、守りましょう」という教えに論理的にはNOと言えなくても、身体の中では受け入れることができず、〈道徳が好きだという子の三倍も嫌いだという子がいる〉というデータに現れているということが言えるかもしれません。

 ところが実は道徳は、生きる上でとても大切なことを教えてくれるので、子ども達も乗りに乗ってくれる授業にもなるのです。

 たのしい教育研究所の講座で実施した〈どう分けるの〉という授業は、参加してくれた学校の先生たちもとても喜んで授業に参加してくれました。そしてその授業プリントを持ち帰り、クラスで授業し、子ども達も同じ様にとても喜んでくれたという便りも届いています。

 その一つを紹介させてください。

 授業は、引っ越し作業を一生懸命てつだった、ゴリラさん、チンパンジーさん、リスざるさんの3人が、お礼としてもらった6個のりんごをどう分けるか、意見が違ってしまったことについて議論しあう内容です。

 大きな身体のゴリラさんは゜いちばんたくさん運んだのはボクだから半分ちょうだい」といい、リスざるは「みんな一生懸命がんばったんだから二個ずつ分けよう」といいます。それに対してチンパンジーは「どちらの言い分もわかるんだけど・・・」と悩んでいるのです。

 授業を受けてくれた子どもたちの評価・感想が綴られたものがあります。

 子どもたちが自分の問題として真剣に考えてくれていることがわかります。

 そしてそのことは授業を受けた数人だけではなく全員が、同じ様に自分の問題として真剣に考えてくれたというのです。中には、それまで授業ではほとんど発言しなかった子どもが、学年末のこの時期に、この道徳で明らかに変わり始めたことも綴られていました。
 嬉しいことです。

 大人も子どもも〈楽しいこと〉が大好きです。それが授業なら、それが学ぶことなら、こんなに嬉しいことはありません。休みより学校が好き、休み時間と同じくらい授業も好き、そういう子どもたちをゆっくり増やしていきたいと思っています。「日本一元気でたのしい沖縄」、それを夢のままに終わらせるつもりはありません。

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道徳の教科化とたのしい教育・楽しい道徳/道徳は本来楽しいはずだ①

 次年度からまず小学校で道徳が教科となることは、教育の流れに関心をもっている皆さんはご存知のことと思います。国語、算数などと違って数字による評価をしないこともあって〈特別の教科 道徳〉という名前になりました。今回は〈楽しい道徳〉について紹介したいと思います。

 道徳の教科化について、文科省のサイトにこう記載されています。

【1】道徳科の指導方法の改善に関する前提 (道徳の特別教科化の趣旨)
 平成27年3月27日に学校教育法施行規則を改正し、「道徳」を「特別の教科である道徳」とするとともに、小学校学習指導要領、中学校学習指導要領及び特別支援学校小学部・中学部学習指導要領の一部改正の告示を公示した。

 今回の改正は、いじめの問題への対応の充実や発達の段階をより一層踏まえた体系的なものとする観点からの内容の改善、問題解決的な学習を取り入れるなどの指導方法の工夫を図ることなどを示したものである。

 このことにより、「特定の価値観を押し付けたり、主体性をもたず言われるままに行動するよう指導したりすることは、道徳教育が目指す方向の対極にあるものと言わなければならない」、「多様な価値観の、時に対立がある場合を含めて、誠実にそれらの価値に向き合い、道徳としての問題を考え続ける姿勢こそ道徳教育で養うべき基本的資質である」との答申を踏まえ、発達の段階に応じ、答えが一つではない道徳的な課題を一人一人の児童が自分自身の問題と捉え、向き合う「考える道徳」、「議論する道徳」へと転換を図るものである。
小学校学習指導要領解説(特別の教科 道徳)

※下線は喜友名

こちら

 
〈これまでと対して違いはない〉と思う人もいるかもしれませんが、今回、文科省はとても思いきったことをはっきりと語っています。

・特定の価値観を押し付けたり、主体性をもたす言われるままに行動するよう指導したりすることは、道徳教育が目指す方向と対極である

・答えが一つではない道徳的な課題を一人一人の児童が自分自身の問題と捉え、向きあう〈考える道徳〉〈議論する道徳〉へ転換を測る

というのです。

 わたしたちはついつい「道徳的にこれが正しい」とか「道徳心がなっていない」という様な、一定の価値観からものをいうことがあります。しかし、それを見直そうということでもあるのです。

 わたしたち〈たのしい教育研究所〉が提唱している授業は、道徳に限らず、何しろ子ども達が「この授業たのしい・もっとこういう授業を受けたい」という教育です。
 価値観を押し付けない、そして答えが一つに決まらない、考えて議論する道徳を、子どもも大人もたのしく歓迎してくれます。ですから、今回の文科省の道徳の方向性は歓迎すべきことでもあります。

 科学も、いろいろな考えの中から〈この意見が正しいのかな、あの意見が正しいのかな〉という様に丁寧に一つずつ確かめて「これだけは確かだ」というものを明らかにしてきました。その科学上の問題を授業で丁寧にたどることによって、どの子もその授業を目を輝かせて歓迎してくれることは実験済みです。

 

 〈道徳〉は〈科学〉とは違います。しかし、その手法は科学的なものとして組み立てることができます。具体的には

1.〈解決する価値のある問題を発見する〉

2.〈それについて議論する〉

3.〈どれがより確かなものに近いのか、時間をかけて検証する〉

という流れです。

〈1〉は教師が準備することになるでしょう。
子ども達はその問題に触れ、考える価値があると感じたら、思い切り議論するわけです。それが〈2〉です。
 そこで出した自分の考え・アイディア、仲間たちが出してくれた考え・アイディアの中で心に残るものたちを、子どもたちは自分の人生の中で問題意識として持ち続けるのです。それが〈3〉です。

 研究所でとりあげる道徳について、これまでもいくつか紹介して来ましたが、〈モラルジレンマ授業〉という方式です。これの授業を子ども達はとても歓迎してくれます。

 春の講座でT先生が〈いくつずつ分ける?〉というテーマでモラルジレンマ授業プランを実施してくれました。反響が大きく、さっそくいろいろな先生がクラスで子ども達と授業してくれています。 つづく
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たのしい授業プラン〈空気の力〉で「たのしい水槽」づくり/メルマガで大人気の実験

 研究所で魚を飼っています。
 〈ベタ〉という種類の魚です。
 その名前ではどうもね、ということで「左衛門尉(さえもんのじょう)」という立派な名前をつけて可愛がっています。メスだったらごめんなさい。

べたとはもともと「そのまま」という意味で使われた言葉である。ここから「特別でない」「ありきたり」といった意味を持つようになる(ベタ記事のベタはこの意)。

更に「ありきたり」という意味から派生して「面白くない」といった意味でも使われる。ちなみに楽屋言葉の『べたネタ』とは特に面白みのないありきたりなネタ(関西芸人がツッコミで使う「ベタやなあ」はここからきている)。-俗語辞典-

http://zokugo-dict.com/29he/beta.htm

 


 左衛門尉はペットボトルで飼っています。そのペットボトル水槽を見て研究所に来る方たちが驚いています。

  こういうペットボトル(2リットル)水槽です。

 別に普通のペットボトルじゃないか、と思うかもしれません。

 でも真ん中あたりをよく見てください。
 カッターで切り込みを入れて、パカッと大きく空けてあるのです。

 左衛門尉(さえもんのじょう)は、その穴のところからエサを食べたり・・・

 ペットボトルの上の方でのんびりしたり・・・

 底のあたりでのんびりしたり・・・
 まさに四方八方、縦横無尽に泳ぎ回っています。

 

 どうして真ん中にこんなに大きな穴が開いているのに水はこぼれていかないのでしょう?

 え?
 穴に見えているけど、実は開いていない、ですか?
 いいえ、しっかり開いていて、指を突っ込むこともできます。

 ペットボトルの真ん中をカッターで横に切り、そこにプリンなどのスプーンの柄を切ってグッと開いてあるのです。簡単ですから、みなさんもやってみませんか。
 カッターを使う時には注意してくださいね。

 これまでいろいろな学校でも作ってきましたが、子どもたちだけでなく、先生たちもとてもびっくりしてくれます。

 

 どうしてこういうことが起こるのでしょう。

 どこで誰がやってもこうなりますから、これは科学的にしっかり確かめられた現象なのです。メルマガでは三週に渡って、このおもしろさやどういう原理なのかを授業プラン化してまとめてきました。読んでくれた方たちからの反響も上々です。

 どうしてこうなるのか?

 簡単にいうと〈大気はあらゆる向きから物体を押しているから!〉 です。
 大きく開いた穴から水が出ないように大気がぎゅっと押しているのです。

 これは私が紅茶のペットボトルの横を空けてここからストローでお茶を飲んでみせた実験で使った時の写真ですけど、この矢印の様に大気が水面を押しているのです。

 これは〈大気の力〉という授業プランのはじまりの実験です。
 大気があらゆる向きから押しているのなら、ひっくり返してもこぼれないの?
 そうやっていくつかの実験をしながら、地球上の大気がしっかりとした力で地上の物体をぎゅうぎゅうに押していることが感動的にイメージできるプランです。

 今月の〈たのしい教育Cafe〉でとりあげようと思っています。
 興味のある方はお申し込みください。
 ちなみに、この水槽自体は「月刊たのしい授業」の1994年8月号に〈ふれあい水槽〉として紹介されたものを簡単にできるよう、工夫したものです。
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たのしい教材の魅力 シャトル・キャッチは優れもの!

 たのしい教育には、たのしく学ぶことができる〈授業プラン〉だけでなく、すぐに手にしてたのしめるグッズ・おもちゃ類もあります。
 講座では、受付前から売り場は賑わいます。

 ある小学校の先生が、講座の売り場で〈シャトル・キャッチ〉を入手し、子ども達がとても喜んでくれたという嬉しいメールが届きました。

 シャトル・キャッチは狭い場所でも思い切り投げたり、キャッチしたりしてたのしめるすぐれものです。 ⇨ これまでのシャトル・キャッチの紹介記事

 シャトルキャッチは、力強く投げても教室の半分にも届きません。
 そして、なげたシャトルはくるくる回りながら落ちて来ます。


 

 今回のメールにも、子ども達が、たのしく工夫して、たのしんでいたということで、写真もいろいろと添付されていました。加工して掲載させていただきます。

 

 みなさんもチャンスがあればぜひおたのしみください。欲しい方へは、コップ無しでシャトルのみ1つ250円、シャトルのみ10個セット1100円(送料込み)で送らせていただいています。コップは学校などにある紙コップで対応してください。ご要望の方はどうぞ。〈いいね〉の一票は、このラインのクリックで!