科学というと、それだけで自分には遠いものと感じる方たちもいます。何やら実験器具を持って特別なことをしているイメージがあるかもしれません。しかし誰にとっても〈科学的な見方〉は人生を豊かにするために必要なものです。今回はその話を紹介させていただきます。
初期の頃のメールマガジンに、「たのしい教育研究所は科学者の集団でありたい」.という話を書きました。
変わった実験などをする集団という意味ではなく、〈仮説・予想を立てて議論し、研ぎ澄まされた刃の様な目でそれを確かめる〉そういう科学の見方・考え方ができる集団だという意味です。
おかげさまでメルマガを購読してくださる方たちも増えてきましたが、初期のことから読んでくれている方は少ないので、一部をこのサイトに掲載させていただきます。
(1).たのしい教育の哲学・発想法
たのしい教育研究所は毎朝9時にスタッフ四人のミーティングが始まります。
前回も書いたのですけど、その一コマとして私が「哲学・発想法」と題して話をしています。
そこで話した内容をスタッフのMさんがまとめてくれているので、紹介しましょう。
「科学者の集団でありたい」
いっきゅう
私が開発した「100%戻ってくる手乗りブーメラン」があります、どこでやっても「うわ~」という歓声が上がる教材です。
おそらくそれがRIDE(ライド)としてはじめて販売する教材です。
今まで〈回転させればほぼ確実に戻ってくるブーメラン〉というのは、たとえば「月刊たのしい授業」にも出てきていません。
それがなぜ開発できたのか?
はっきり覚えているのですけど、講座の売り場のアイディア会議で
「ものづくりマニアのA先生が〈こうやって作ればちゃんと戻ってくるブーメランができる〉と発表していて、その通りに作ったのだから、講座の売り物にしてよいんじゃない」
というメンバーの意見に
「でも実際には投げてもほとんど戻ってこないよ。練習してできるようになった人もいるかもしれないけど、これを小学生とかいろいろな人たちに〈もどるブーメラン〉って提供するのは納得行かないな、自分で研究してみたいから、少し待ってもらえない」
と、言えたから開発できたんです。科学者というのは、本当にものわかりが悪いのです。
簡単に納得しないのです。
例えば誰か権威ある人が「これはこうなるんだよ、わかった?」といっても、自分で納得いかないものは実験が済むまで納得しないのです。
ガリレオは、当時〈学問の神様〉の様に思われていたアリストテレスのいっている事が納得いかなかった、だから大きな球と小さな球がほとんど同じ速さで落ちて行くことを証明できたのです。
ガリレオはキリスト教が主張する天動説、そして実際誰がどう見ても〈太陽が地球の周りを回っている〉としか思えない自然現況にも納得せず、地動説を科学的に決定づけました。
ただしその地動説の源はガリレオより2000年も前の古代ギリシャの〈アリスタルコス〉でした。
アリスタルコスは「こんな小さな地球の周りを、あんな巨大な太陽がまわっているなんておかしい!」
そう予想を立てて、地動説を主張したのです。
それから時間をかけて、全ての人たちが納得する形でゆっくりと真理にたどり着くのが「科学」です。
大切な真理であればあるほど、いろいろな人たちが納得するまでに長い時間がかかります、けれどそこに「押しつけ」は入り込みません。
大陸移動説は、ウェゲナーが提唱してから世界の人たちに認められるまで100年以上かかりました。
逆に押し付けられたものごとを、納得するのではなくカンタンに受け入れる人たちが〈優等生〉です。
うちの「たのしい教育研究所」は優等生集団であってはいけないと思います。
RIDE( ライド:たのしい教育研究所 )の集団は「科学」をベースにしてすすめていきたい。「科学の研究をする」という意味ではないですよ。
科学的な流れ<予想を立てて丁寧に確かめる>過程をベースに、いろいろな物事を進めていきたいと考えています。
そうやって実験結果を提供していく科学者の集団としての「たのしい教育研究所」でありたい。
自分自身が納得いくところはよいのです。
いちいち何でも実験してみなければわからない、なんて言っていたら途方もない時間がかかります。でも納得いかない部分がでたら、例えば「所長のいっきゅう先生がいうのだから正しい」なんて簡単に言わずに、科学者の感覚で「ほんとにそうかな」と確かめていく。
そうやって科学は真理に行き着くのですから。
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