映画「この世界の片隅に」はずっと注目してきた作品です。前のメルマガで少し触れ、今週執筆する内容としてしっかり書き込もうと考えているところです。この公式サイトのトップページに「あたま と からだ と 心が喜ぶ教育が たのしい教育 です」と記してありますが、映画「この世界の片隅に」を見てあと、まさに「あたまとからだと心」とが大きくゆさぶられるだろうと思います。そしてしばらく経つと「観てよかった」「この作品を観ずに人生を終えていたらどれほどもったいないことだっただろう」と感じるだろうと思います。学校の先生たちにも保護者の皆さんにもたくさんの方達に観てもらいたい気持ちがしています。沖縄県 教育委員会が推薦指定してくれると、校内研修などでも行きやすくなるのですけど、指定されたから行くというのも悲しいものがありますね。ぜひ皆さん個人や組織の主体的研修として組み込めたらよいなという気がします。
原作は「こうの史代」のマンガです。こうのさんの作品はいくつか読んでいますが、読後の余韻がとても大きく「夕凪の街 桜の国」もなど名作を生み出している作家です。「この世界の片隅に」はテレビドラマ化もされたらしいのですけど、幸い私は観たことがありません。今回公開されたアニメーションを前にして、「アニメーションの新たなる可能性」と相対して「実写はこれでよいのか」という反省もなされるのではないかという気がしています。それほどまでに完成度の高いアニメーション作品だからです。
作品は戦火の迫る広島で暮らす主人公「すずさん」の暮らしを描いています。あまりにも人のよい、そして抜けている すずさん は、今の学校教育の中では特別支援教育の対象になるのではないかという気もするほどで、L.D.だA.D.H.D.だ、高機能自閉症だ、アスペルガーだといろいろなレッテルがどんどん増えて、子どもたちが分割されていくこの流れに疑問を持っている私は、複雑な気持ちにもなります。 アニメーションの描く世界は、隅々まで監督片渕須直さんが丹念に調べ尽くした映像に満ちています。この映画でやっと〈戦争と当時の人々の暮らし〉が〈今の私たちの暮らし〉とぜんぜん切れていない、ということがわかった気持ちになりました。
愛らしいすずさんは、食べるものがどんどん減っていく中でも明るく微笑ましいのです。戦争の時の人々の暮らしが肌感覚として伝わってくると思います。
プライベート・ライアンやプラトーンなど、戦争の残虐さ醜さをたくさんの作品で観て来た私ですけど、この作品ではじめて戦争の持つ本質的な恐ろしさに震えた気がします。
この作品を私たちに生み出してくれた片渕須直監督は現在56歳。のりにのった時期です。
この続きはメールマガジン「たのしい教育」でお届けします。興味のあるかたはお問い合わせください➡︎ こちら