五味太郎 らくがき絵本 たのしい図工・たのしい家庭学習

 秋の講座の一コマとしてM先生ペアが協力して「図工でたのしめる絵本シリーズ」を紹介してくれました。何冊も取り上げてくれたのですけど、この写真で紹介しているのが、五味太郎「らくがき絵本」です。

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 教師をしている時は
・図画工作の時間
・家庭学習で
・お休みした先生の補充の時
・先生たちとのおたのしみ会
・理科で〈アイディアの出し方入門〉として
など、いろいろな時に利用していましたが、子ども達からの提案で〈学級活動のお楽しみ会〉の時にも利用したことがありました。

 どういう絵本かというと、五味さんが、お題(絵のテーマ)と、絵を描いてくれているのですが、その絵が途中で終わっているのです。何も描いてなくて言葉だけ、というページもあります。子ども達がそれぞれのアイディアを駆使して絵を完成させる、という絵本です。
 絵本のサブに「五味太郎50パーセント」という様なフレーズがありますが、M先生が出版社に電話して確認したところ「五味太郎が50パーセントは描いておきました」という意味だそうです。慣れないうちの子ども達だとそうかもしれませんが、しだいに子ども達が盛り上がってくると、子どもたちの描き込みが圧倒してきて「五味さんは10パーセントも描いていないな」という作品もたくさん出てくると思います。

 テーマのひとつをみてみましょう。
 たとえば「みちをかきましょう」というテーマにこういう絵があります。子どもたちがこのあとをどんどん描いていくわけです。

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「ギャォー!」という文字から浮かんだアイディアを子どもたちが描き込んでくれたものです。元はカラーでしたが、モノクロ印刷版しか残っていません。残念なことですが、アイディアそのものは伝わるとおもいます。わたしは、みんなの判定で勝ち抜き戦方式でたのしんでいました。チャンピオンが決まるのですけど、その時のベスト3です。

第三位

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第二位

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一位
その時のチャンピオンは、ある女の子が描いたこの作品でした。
子ども達から「笑い声」や「おー」という声が上がったことを今でも覚えています。
絵もそうですけど、何と言ってもアイディアの勝ちです。

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五味太郎 らくがき絵本 ブロンズ新書 お勧めいたします。
前回、ローレンツさんのお話を書いた時に「注文出来るコーナーがあると助かります」というメールもありました。五味さんの本が欲しい方は下からジャンプできます。二冊出ています。

欲しい方は⇨らくがき絵本 五味太郎(Part 1)

欲しい方は⇨らくがき絵本五味太郎 (Part 2)

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たのしく賢く親子レク 新聞に登場

 先日実施したPTAの「たのしく賢く親子レク」の様子が沖縄タイムスに掲載されました。

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 子ども達の声から、〈人間もドライアイスも原子でできている〉という内容が出ていたり、保護者の方から〈子どもたちの五感をすべて刺激する実験内容で、とても素晴らしかった〉という評価を載せてくれています。
 うれしい言葉です。

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 たのしい教育全力投球のたのしい日々です。

沖縄県 教育の成果を全国へ
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校長のリーダーシップとは/論文試験で勝つ〈ものの見方・考え方入門〉

 たのしい教育研究所で特訓を受け教員として本採用される方達もたくさん出て来ましたが、ゆっくりと管理職試験の合格を勝ち取った方達も出て来ています。まだ多数の方たちにコーチするほどのゆとりはありませんが、個別の面接指導や論文指導は実施していますので、たのしい学校づくりをテーマにして管理職を目指している方はご相談ください。力添えできるとおもいます。

 さて最近のこと、校長試験の論文のテーマとして出題し添削したところ「こういう視点はありませんでした。とても勉強になりました」という評価・感想がありましたので、今回はそれに触れて書かせていただきます。%e6%a0%a1%e9%95%b7%e3%81%ae%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%82%bf%e3%82%99%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%83%e3%83%95%e3%82%9a まず管理職試験特訓の中で、ある県で実際に出題されたテーマで書いていただきました。こういう内容です。

論文テーマ
「あなたは学校を運営するにあたって、校長としてどのようにリーダーシップを発揮していくか、具体的にのべなさい」

 

 提出された論文は具体的にまとめられ、読みやすい内容でしたが、たのしい教育研究所の論文特訓は「多くの人が書きそうなことを書いても王手にならない」ということ、そして採点する方達が「他の人を置いても、この人物に学校運営を任せたい」と思ってくれるかどうかを基準にします。

 まずリーダーシップの辞書的な意味はこうです。

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 本県の教育課題の解決に向けて、具体的にどのようにリーダーシップを発揮するか、どんどん書くことが出てきます。提出させれた論文にも、それらがいくつも記載されていましたから、合格線上にはあるでしょう。それらに「⭕️」印をつけつつ、後半に加えたいこととしてこういう趣旨のメモを記しました。

「リーダーシップを発揮する、という視点で見た時、たとえば〈こういうリーダーの元では働きたくない〉と職員が感じたら、それはリーダーシップを発揮していることになるでしょうか?
 あなたの元で教育課題に取り組んでいけることを、職員が〈喜び〉として受け止めてもらえるとしたら、それは大いなるリーダーシップとなるのではないでしょうか。

 リーダーシップを技巧的に捉え、いかに統率するか、という視点で見ていくことも大事かもしれません。しかしそれに勝るとも劣らないことは、魅力あるリーダーとなるために自分を高めていくことだと思います」

 特訓を受けた方は、文章力も磨かれてきたので、この調子でいけば、きっと合格を勝ち取ることでしょう。

 教育の未来は、明るくたのしい世界であってほしいと思う日々です。
 ますます元気なたのしい教育研究所です。

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沖縄県 教育委員会 「インクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育」に至る特別支援教育の歴史的変遷を整理してみる:ノーマライゼーション・インテグレーション教育 ・インクルーシブ教育

 インクルーシブ教育について若い先生方に話をしたところ「うまく整理できました」という評価・感想がいくつもあったので、少し書いてみます。時代が進むにつれて教育現場には「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」「自閉症スペクトラム」などいろいろな言葉も増えています。そういう言葉を理解する時に、歴史的変遷や、その言葉本来がもつイメージを把握しておくことも大切なことです。今回の記事は沖縄県 教育委員会「インクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育」も併せてお読みください。教員採用試験でも狙われる内容だと思います。

 いろいろなところで語っていることですけど、わたしが日本語の中で最もといってよいほど嫌いな言葉が「障害」という言葉です。ですから教育用語の解説の時に最小限で使うくらいです。「知的に少しハンディがある」「運動するにはハンディが大きい」など「ハンディ」という言葉で表現できますから、わたしの様な言語感覚の方はそれを用いるといいと思います。

 ところがかつて特別支援教育の歴史の中では、〈障害〉という言葉より驚くべきことばが使われた時代がありました。ハンディのある子ども達をなんとかしたいという意図はあったと思いますが、それを〈廃人教育〉という言葉で表していたのです。明治期のことで、文科省のサイト「特殊教育の発展」にもしっかりと出ています。それ以前は、家の奥座敷から出さない様にしていたこともあったといいますから、それからみると大いなる進歩です。そして現在、そういう言葉が克服されたことは教育の大きな成果の一つでもあると思います。ただしいくら良い意図でも、相手を傷つけることがあることを知る意味でも、〈廃人〉という言葉がまかり通っていた時代があったのだということを、わたしたち教育者は知っていてもよいとおもいます。

 そして未来においては「〈障害者〉という言葉を使っていた時代さえあったのだ」と言われる様なこともあるのだろうとおもいます。話は裾野を広げてしまいますが、かつて知人から「協力」を要請され、そのネーミングをどうにか変えられるなら一緒にやりましょう、と答えたことがありました。具体的な活動の名称は控えますが「性同一性障害者の差別をなくそう」という取り組みでした。性同一性を《障害》と呼んでいる時点でわたしは引いてしまいます。その様な方達を〈障害者〉と呼んだ時点で、わたしの様に差別を感じてしまう人もいるのです。「差別をなくそう」という人たちは、せめてそういう言葉からくるイメージを大切にしてもらえたらという気がしてしまいます。といっても、これはおそらくたくさんの人間の中でわたしくらいが感じていることなのでしょう。しかし未来的にはゆっくりとこのイメージが広がっていくという気がしています。

 話を戻しましょう。
 かつて呼ばれていた〈廃人教育〉という言葉はなくなり、それが特殊教育となり、特別支援教育と呼ばれる様になりました。

 そして現在の特別支援教育の中ではいろいろなコンセプト(概念)が提唱されてきました。特徴的なものがこの三つです。

・ノーマライゼーション 
・インテグレーション教育
・インクルーシブ教育

それらについて説明してみましょう。

a.ノーマライゼーションについて
 ノーマルとは〈標準的〉とか〈普通〉という言葉ですから、ノーマライズするというのは〈標準的にする〉〈普通の状態にする〉というイメージの言葉です。ですから、ノーマライゼーションという言葉は、教育とは別のところで普通に使われています。
 たとえばわたしも授業や講演で利用するために動画編集することがありますが、音量を均一化する処理です。大きい音や小さい音を、ある範囲の中に納めて、音割れを防いだり、聞こえない音を上げたりする処理を〈ノーマライゼーション〉と呼びます。

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b.インテグレーション教育とは
 インテグレーションは〈統合〉という意味で、いろいろなものを併せていって完全な状態にするというイメージを持った言葉です。インテグレーションという言葉もごく普通に使われています。数学の「積分」のことです。数学史上の画期的アイディアの一つで、無限に小さい変数を扱う「微分/ディファレンシャル」と、極限まで分割したものを積み上げていく計算が「インテグレーション/積分」です。ちなみに車好きの人は知っている人も多いと思いますがHONDAがかつてインテグラという車を生産していたことがあります。インテグレーション(統合)という言葉の造語ですが、車のもつ良さを統合してより完全なものに、というコンセプトをもった車でした。

%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%86%e3%82%b0%e3%83%ac%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b3 特別支援でいうインテグレーション教育は、ハンディのある子ども達も、そうでない子ども達も一緒に(統合して)教育しようという理念をもった言葉です。ですから「統合教育」という名前で呼ばれることもあります。普通学級の子ども達もハンディのあるクラスの子ども達も、ある教科では一緒になって学習する交流学習も普通に行われていますが、これもインテグレーション教育の流れです。今、学校で一般に行われている特別支援的な学習はまだインテグレーション教育の段階に止まっていることがおおいと思います。

c.統合(インテグレーション)から包み込む(インクルーシブ)教育へ
 統合(インテグレーション)というよりも、いろいろな子ども達を包み込んで(インクルーシブ)教育することが大切である、ということで提唱されたのがインクルーシブ教育です。インクルーシブ教育・インクルージョン教育、両方とも全体を包み込むというイメージの言葉です。
 ハンディのある無しで異なる教育を実施するのではなく、両者が一緒になっても、より豊かな教育が保証される様な教育を理念としています。ですから、かなりハードルが高い教育システムだということができるでしょう。
 板倉聖宣(仮説実験授業研究会代表・日本科学史学会会長)がかつて沖縄で「頭がよいとか、そうでないとかいうことで結果に差がでる様なものではなく、どういう子ども達でも感動できる様な教育内容として仮説実験授業ができあがった」ということを語ってくれました。たとえば仮説実験授業の授業書「じしゃく」で、ハンディのある子ども達も普通学級の子ども達も一緒に授業したことがありましたが、どの子も感動してくれました。そして知識内容の定着も高いものがありました。そういうかなり上質な教育内容が伴ってはじめて可能となる教育だと思います。

 インクルーシブ教育について沖縄県 教育委員会がまとめた「インクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育」にもありますが、そのシステム的なものとして〈合理的配慮〉と〈基礎的環境整備〉とが重要なキーワードとして提示されています。※もちろん文科省の指針の元に作成されていますから沖縄県独自のものというわけではありません。

 〈基礎的環境整備〉についてはいろいろと具体的なものが示されていますが、残念ながら〈合理的配慮〉についてはあまり具体的ではありません。そもそも〈配慮〉と言わず〈合理的配慮〉という言葉になっていること自体、「学校でその配慮をすることが合理的だと言えるのか」という価値判断を委ねたものなので、難しいものがあるのでしょう。

 

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システム構築のための特別支援教育」より

  少し長くなりました。
 今回はここまでにしましょう。

頭と身体とこころが喜ぶ教育 それが〈たのしい教育〉です。
たのしい教育を実践できる力のある先生たちを育てる活動にも全力を尽くしています。
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