たのしさが賢い身体と丈夫な頭を創る/五味太郎「じょうぶな頭とかしこい体になるために」

 五味太郎さんは学生の頃から好きで、教師になってから子ども達への授業で何度も利用してきました。今でも〈らくがき絵本〉他、RIDE(ライド)のおすすめ図書がいくつもあります。

 その五味さんの本に「じょうぶな頭とかしこい体になるために」という本があります。子ども達からの質問に五味さんが真剣に答えた本で、教師の頃、大きく刺激を受けた一つです。

  じょうぶな頭とかしこい体になるために

子ども達の質問には、たとえばこういうものがあります。

 ・学校には行かなくちゃいけないの?
 ・なぜ友だちと競争しなくてはいけないんだろう
 ・わたし 絵がへたなの・・
 ・わたし美人になりたい
 ・大人になんかなりたくない
 ・ずっと働かなくて暮らしていきたい・・
 ・お金がほしい  などなど

五味さんの答えの一つを紹介しましょう。

何をしたいのか自分でよくわからないんだ

目的に向かってすすむ以外ないのか?

 「きちんとした目的、目標を持って生活しなさい」「その目的、目標に向かって努力しなさい」などとよく言います。よく言われます。

 そこで言われた人(だいたい子どもですが)は仕方がないので、学年配当漢字を全部書けるようにするとか、全国音楽コンクールに向けて練習するとか、あるいは○○中学校、××高等学校、△△大学に合格しようなどという、とりあえず目的、目標をかかげて生活しなくてはなりません。

 そのほうがキリっとした生活をしているような気になるからです。
 充実した生活を送っているような感じがするからです。そして、そんな暮らし方をしている子どもたちを見て、大人は一応安心するぐらい無責任です。

 目的、目標をかかげて努力することが、どんな意味があって、どんな価値があることなのか、深く考えたり、自ら実験、実践してみようとはしません。
 ただなんとなくそのほうがいいのではないかと一般的に思っているだけなのです。その証拠には、その目的、目標の内容が少しでも一般的ではない場合、たちまちとがめられることになります。
 たとえばその目的、目標が「宇宙人と交信すること」というような少し一般的ではないものになると、いくらその目標のために毎日2時間は屋根の上に登るというほど、きちんとした生活態度であっても、認められたりはしません。

 「新しいヘアースタイルをあみ出す」と言う目標で毎日鏡に向かって努力型の男の子を見て、両親はあまり喜びません。むしろ心配になったりします。
 そして子どもというのは、おおかた心やさしい人々なので結果として「親が安心する目的、目標に向かって努力するふりをする」「その目的、目標の中になんとか自分自身の目的、目標を見い出そうと懸命の努力をする」というようなやや辛い生活を送らなくてはならなくなります。ふりをするのも辛いものです。

 のんびり屋の少女が、あるときから急にいそがしそうな様子になったので、ぼくが「なんだか人が変ったみたいだね」とよけいなことを言ったら、その少女が答えました。「やるときはやるんだよ」
 言葉は乱暴ですが、いい台詞だと思いました。少し尊敬しました。それ以外言いようはないと思えます。

 人間にある目的、目標が生まれるのも自然なら、それに向かって努力するのもまた自然です。その目的目標がどんなものなのかは誰にもわかりません。当人にもよくわかりません。そしてとりあえずの目的目標がないと言うのもまた自然です。

 その状態でいわゆる努力しないのもあたりまえです。
 そこのところがわかってない人が多すぎます。とくに大人にね。
 それでもなおかつやっぱり目的、目標、努力だと頑張る大人には、こんな言い方はどうでしょう
「人間、目的、目標を持って生れてきたんじゃないよ。はっと気がついたらいたんだよ。食って寝てのそのそ動きまわっているのが、もしかしたら目的、目標かもね」

 なんだか少し理屈っぽいです。それに、説得するために努力するというのも疲れます。やはり、「やるときはやるんだよ」で十分です。

 たのしい教育を学びはじめた頃、こういう五味さんの答えに哲学的な深みを感じていたのですけど、こうやって改めて読んでみると、まどろっこしい気持ちがします。

 今の私ならシンプルに「あなたが〈たのしい〉って思うことは何?」と問いかけるところからはじめます。

 そして人間が幸せに暮らしていく答えはそこにあると思っています。

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素晴らしきマンガ&TVアニメ〈Dr.Stone/ドクター・ストーン〉

 以前紹介した〈働く細胞〉を視聴してくれた方からの便りが届く様になりました。私いっきゅうはシーズン1を繰り返し見ているのですけど、その情報量と本格的な内容は、見るたびにたのしませてくれます。

 今週また素晴らしいアニメに出会いました、少年ジャンプ連載で人気が上がりテレビアニメ化された「Dr.Stone/ドクター・ストーン」です。

 タイトルから実際の内容をイメージするのは難しいでしょう。
 この表紙から中身をイメージすることも困難だと思いますし、素晴らしいという表現が誇張だと思う方もたくさんいるかもしれません。しかし素晴らしいというのは、何の誇張もない正直な感想です。

 ツバメが石化する現象がみられたある日、地球が謎の閃光に包まれ、今度は人類が石になってしまいました。そういう超SF的なものからスタートします。
 それから3700年後に目覚めた科学の申し子とも言える〈千空/せんくう〉が、人類の消えた地球上で科学文明を一から構築していく本格的なストーリーです。
 火をどう灯すか、というテーマや原始的な状況での食べ物に関わるテーマなど、科学に関することが満載です。


 科学のテーマは衣食住からどんどん進んで、鉄器、火薬、ガラス・・・なんと、病原菌を殺す〈サルファ剤〉をどうやって作るかなど、本格的なものにすすんでいきます。
 それだけではなく、この作品にしっかり根を下ろした〈原子論・本格的な科学への揺るぎない信頼〉は見事です。

 これだけの本格的なマンガを世に送り出してくれたことに感動しただけでなく、この作品が現代でヒットしたそのことがとてもうれしくてなりません。

 いろいろな準備ものの合間にRIDEで鑑賞会をしたところ予想通り人気上昇。
 ネットフリックス-Netflixやプライムビデオ-prime videosの入会が増えそうです。

 ネットの動画配信サービスの加入者が増えてもRIDEにメリットがあるわけではありません、でもこの秀作を多くの人たちが視聴するチャンスが増えることは、とても嬉しいことです。

 最新号のメルマガにも書かなくては・・・

 

 そうそう、you tube に第一話がそのままUPされていました。
 wi-fi環境の方はそのままご覧ください。

 

 

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スライムは遊ぶたのしさ+自分で作るたのしさ

 スライムは子どもたちにも先生たちにも大人気の教材です。たのしい教育研究所(RIDE)の前身〈沖縄仮説サークル〉が沖縄ではじめて広めた教材の一つです。

 基本的な作り方は簡単で〈洗濯のり/PVA〉+〈色水〉+〈ホウ砂飽和溶液〉を同量混ぜ合わせるだけです。

 講座の時などセットを作ってお分けしているのですけど、すぐに売れていき在庫0の状態です。

 スライムは触っているだけでも十分たのしめますし、ストローで膨らませたりするなど、いろいろなバリエーションでたのしむことができます。
 そういう遊ぶたのしさに加えて、自分で作るたのしみがスライムの魅力です。

 メルマガの会員の方からぜひ〈手作りセット〉をクラスで利用したいというので、スタッフにお願いして作ってもらいました。

 40人分のセットですから、けっこうな量です。

 〈ホウ砂水溶液〉を飽和(溶けきるだけ溶かした状態)状態にすることは簡単とはいえ、慣れていないと不完全な溶け方になることもありますし、色水の濃さなどのスタンダードバージョンで体験してから、いろいろな色でたのしむということも大事です。
 一度はスタンダードバージョンを体感してみることをお勧めします。
 実際、たのしい教育関係の人たちは、一度は私いっきゅうなどプロフェッショナルが作って、それを真似て自分で作るつまり自立してたのしむことができる様になった人たちがほとんどです。

 慣れない人たちが神経質に扱って「こうしてはいけない」「これは危ない」「使ったら手を洗って」などなど注意事項の羅列で、子どもたちにもそれが伝っていくことがあります。
 慣れていくと許容範囲が広がりますから、慣れた人たちをたくさん育てたいと思います。

 教材づくりスーパーバイズも可能ですから、希望する方はお申込みください。

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New教員採用試験合格ワークショップの準備本格化/たのしい教育派の先生たちを学校現場に送る試み

 RIDE(ライド)がとても力を入れている一つが〈教員採用試験合格WS〉です。
 11月からの新しいコースに向けて本格的な準備が始まっています。
 わたしの実施する何百人規模の授業や講演と違ってごく少数のコースですけど、それに臨む熱量は半端ではありません。
 これは準備会議でまとめたブレインノート、この設計の元に準備はフルスピードですすんでいます。

 コース開催に向けてこれまで合格した皆さんへのアンケートを実施しました。RIDE(ライド)のコースが本当に効果的であったのか、もっと工夫できるところはないかを具体的に掴むためです。
 帰ってきたメールには予想を超えた感動的な想いがたくさん綴られていました。
 長い文章の一部を切り取って紹介します。個人情報的な部分は伝わらない様に加工してあります。

 私は〈本務になりたい!〉と思った時から何年も、本当に悔しい思いをしてきました。
 途中、私はこのままこの高い山を越えられないのでは…と落ち込む日も多々ありました。
 でも、私が学んだたのしい研究所では1人ではありませんでした。
 優しい言葉で励ましてくれたり、がんばれとスイーツで癒してくれたりと、何度も背中を押してもらいました。

 たのしい研究所では、毎年たくさんの合格者を出して来ました。その一人一人のみなさんと一緒に学ぶことで、勉強法やアドバイスを受け、いち早く自分にあった勉強法を身に付けることもできました。

 また気軽に何でも聞ける仲間もいました。

 だからこそ、スランプに落ちて苦しい時期も頑張れたんだと思います。
 私も合格できるのだと思わせてくれたのは、きゆな先生やスタッフさんをはじめ、共に頑張れた仲間がいたからです。

 こういう感覚を持ちながら学ぶことができる人は、ステキな先生になるなぁ、としみじみ感じてしまいます。


 RIDE(ライド)は塾ではありません、引き受けているのは本人が「本当に合格したい」と考えているというだけではなく、たのしい教育で子ども達の学ぶ笑顔を育てていく力を高めていこうという先生たちです。

 たのしい教育の見方・考え方や講座でのたのしい教育プログラムを学ぶ中で、その人たちがどんどん輝きを増し、「この人を早く本務にしたい」という想いが高まっていきます。
 新しいコースもさらにブラッシュアップした内容でまた来年、合格者をたくさん出したいと思います。

 少数で実施して来たワークショップですけど、そろそろ枠を広げて、たのしい教育のセンスを高めながら合格特訓をすすめる流れを模索しはじめています。

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