春のアウトドアノマドワークはクローバーに囲まれて

 四月中旬今日この頃、那覇市でミーティングがあり、少し時間のゆとりがあって遠回りして海沿いの道を走らせていると、河と海とがつながるあたりに、クローバーが広がる公園をみつけました。

 ミーティングが終わってから来た道を戻って、その公園に寄って一仕事することにしました。
 わたしの場合アウトドアワーク・アウトドアノマドは、おおよそイスとバッグの二つがあればOKです。

 アウトドアワークをしたことの無い人にはイメージしずらいかもしれませんけど、「アウトドアでも仕事ができる」というより「アウトドアの方が仕事がはかどる」ということもあるのです。以前書いたので、興味のある方は記事をさかのぼってみてくださいね。

 バッグとイスを持って公園を少し歩きシロツメクサのじゅうたんの方に荷物をおろしました。イスをひろげてしばらくは風と花とをあじわいます。

 

 シロツメクサの間からタンポポの花も顔を出しています。

 よくみると〈ムラサキカタバミ〉も花を見せてくれています。

 実に気持ちがよい。
 気持ちがよいから仕事がはかどる、ということも十分あります。それだけでなく、閉ざされていない空間だから広がるイメージというものもあるのです。

 気持ちがよい中で、小一時間ほど、講座の構想を立てたり論文ドクターの仕事で、届いた文章に手をいれていました。
 いつかつくりたいと思っていた授業プラン「人とサル」についても手がけ始めることができました。DNAの本質についてイメージしてもらえるプランになると思います、ご期待ください。

 とても気持ちのよい春の季節、みなさんも外に出てノマドワークしてみませんか。

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予想が実物教授・実物教育の効果を高める②/ペスタロッチ・コメニウスを超えて

前回からの続きです。
さて「たまご」の話!

ニワトリの卵はみんな見たことさわったことがあると思います。
大抵の人は料理するために割ったこともあるでしょう。

ところでこれはダチョウの卵、本物です。

 もちろん、中身はありません。
 中を丁寧に取り出し、先生たちに卵焼きをふるまってあとの殻です。

 さてダチョウの卵って、カラはどれくらい厚さなのでしょう? 

 にわとりの卵の殻と同じくらいの厚さ、硬さなのでしょうか。
 もっと薄いのでしょうか、もっと厚いのでしょうか。
  それはどの程度の違いなのでしょう。

 それぞれ一人ひとりに〈これくらいの硬さかな〉とイメージしてもらってから一人ずつさわってもらいました。
 つまり実物教授、実物教育です。

 

 先生たちの口から
「いっきゅう先生、これ落としてみていいですか? 割れない気がします」
という声がでたくらい、硬いんですよ。

 殻の厚さは2~3mmはあると思います。

 「ダチョウの卵の殻は厚く、人が乗っても割れません」と書いてあるサイトもありました。この一個しかないので、乗っても割れないかどうか実験することはできませんけど、厚く硬いことは間違いありません。

 どの先生も子どものような表情で見て触って、その厚さを確かめていました。

 実物教育、実物を見せて味わう教授法にも「予想」は必需だと考えています。

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たのしさあっての実物教授① /コメニウス・ペスタロッチを超えて/予想がたのしさを導く

 若い先生たちへのワークショップの日は、わたしのたのしい1日です。今回はその中の一コマを紹介させていただきましょう。

 教育の常識の一つに「可能なら実物を使った方がより効果的である」という考え方があります。コメニウスやペスタロッチが提唱した教授法で、150年ほど前に遡ることができます。
 辞書的には

書物により言葉や文字を媒介として観念的に物事を教授し学習させるのに対し,具体的な事物,実際の事物を直接観察させたり触れさせたりして教授し学習させる教育方法

 です。

 ところでそれは本当でしょうか?

 そう言われているから正しいとか、正しいに違いないと考えるのではなく、それが正しいのかどうかは実験によって明らかにされなくてはいけません。

 もしも周期律表を提示して、その周期律表にある原子の実物を見せたら効果的な授業になるのでしょうか?

 虫の勉強をする時にたくさんの虫を見せると効果的な授業になるのでしょうか。

 石の勉強ではいろいろな種類の石を、図形の勉強ではいろいろな図形の実物を見せるとよいのでしょうか?

 もしも実物をたくさん見せることが教育的にすばらしい効果をうむというなら、いろいろなものがたくさんある家庭の子どもは知的水準がより高く、ものが少ない家で育った子は知的水準が低いことにならないでしょうか。
 本当にそういうことが言えるのでしょうか。

 そこには決定的にかけているものがあります。

 その授業を受ける対象の興味関心です。

 さてこれは若い先生たちにイガグリを見せているところです。

 

 沖縄にクリは自生いませんが、イガグリを見たことがある人はたくさんいます。

「触ったことある人?」と質問すると多数の人たちが手をあげました。

「では質問、クリってこうやって手のひらに落とすと痛いの? 痛くないの?」

 やにわにざわめきが起こりました。

 どうなんだろ~、という表情です。

 予想を立ててもらってから手渡しているのがこの写真です。

 つまらなさそうにしている先生は一人もいません。
 たのしそうにしていたり、おどおどしたり・・・
 どっちにしてもムービング、心がしっかり動かされている様子が伝わってきます。

 痛いか痛くないか、興味のある方は、ぜひ自分でためしてみてくださいね。

 今すぐに試すことは無理でも、いずれ「あ、あの時のいっきゅう先生の質問、ためしてみよう」というチャンスがくるばすです。

 予想してから確かめることで人はたのしく賢くなっていくことができます。

 それがなくして実物をどんどん見せても教育効果はあまりのぞめない、というのが、長い教育実践の中で私自身が確かめてきたことです。

 あわせて「たまご」についても書きましょう・・・・
                           つづく

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たのしい教育メールマガジン最新号から/板倉聖宣「観念論と実験論」

 毎週金曜日は〈たのしい教育メールマガジン〉発行の日、わたしにとってもたのしい曜日の一つです。
 おかげさまでメルマガは有料版であるにもかかわらず全国に読者を広げています。

 最新号の表紙をご覧ください。


 今回はこの中から板倉聖宣が1990年に語った「観念論と実験論」の一部を紹介しましょう。
  若き日の私いっきゅうが、とても影響を受けた一つです。
 メルマガのこの章は、板倉聖宣の講演資料を何度も読み、私いっきゅうがわかりやすく編集していて紹介しています。
 読者の方たちからも「以前読んだことがあるのですけど、いっきゅうさんの文章で、やっと腑に落ちました」という様な嬉しいたよりがいくつも届く人気の内容です。
 ※編集に関しては生前、板倉先生から許可をいただいています。

板倉聖宣1990

「観念論と実験論」

 近代科学は天文学から生まれました。
 近代科学が天文学から生まれたというのは不思議ではありませんか?
 だって天文学ではいわゆる「実験」ができませんからね。

「手を動かすことが実験だ」などと考える人は、天文学では実験できないと思ってしまいます。
 しかし天文学は真理を実験的に見つけていったのですよ。
 それは仮説実験的な実験論です。
 自分で実験道具を操作してなくても実験できるのです。たとえば〈彗星が何年後に来る〉という予想をたてて彗星を見るのは実験なのです。

 実験を通して真理をみつけていくことで自分たちの財産が増えていきます。

 私は〈科学的というのは実験的だ〉ということに決まっていると思っているのですけど、どうもそうではないと考えている人がいるらしい。
「正しいことは決まっている。学問的に敏密に考えをすすめればわかる」と考えて実験をしないのですね。
 しかし撤密に考えたってだめなのです。

 たとえば医者が患者を良くしてやろうと思って治療しても、その逆に患者を悪くしていることだってあり得るのです。
 そんなとき「俺は患者を直そうと思ってやっているんだ。そんな医者が患者を悪くするわけないではないか」といったってだめです。
「自分たちが患者を直そうとしているから、患者は必ず良くなる」なんていうことはありません、そういうのは観念論です。

 ところがそういう観念論が学校では常に起こっている。
 教師は、子どもをかしこくいい子にしたいと思っているわけです。それは校長であろうと誰であろうと同じです。
 しかし客観的に見れば、そういう教育的な情熱を持てば持つほど、子どもを悪くしているということがあるのです。
 そんなとき「教師が子どもを悪くすることなどあり得ない」なんて主張してもダメなのです。

 

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