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板倉聖宣「日本にはもともと〈勉強はたのしい〉という発想が無かった/板倉聖宣2001.11.9 沖縄市市民会館

 「日本にはもともと〈勉強はたのしい〉という発想がなかった」という話は、仮説実験授業研究会代表 板倉聖宣(日本科学史学会会長)が沖縄に来てくれた時の講演からお届けします。〈たのしい教育〉の骨子となる発想法です。

 科学はどんどん進歩しております。ですから新しい知識をどんどん教える必要があるのです。しかしそれは上の方の学校で教えることになっていて、小学校・中学校の教育は昔からほとんど変わっていません。
 私が入った頃、小学校の段階では〈物理離れ〉というのはまだありませんでした。しかし中学校ではどんどん〈物理離れ〉が起こっていました。

 なぜ起こるのかというと、一つには、もともと日本には《勉強がたのしい》という発想がなかったからです。
 勉強はたのしくないけれど〈出世のため国家のためにしかたなくやるものだ〉という意識だったのです。
 ですから〈たのしいような勉強にしよう〉とした人はほとんどいない。
 覚えやすいように努力しようとした人はいたのかもしれませんけど、たのしくしようという人はほとんどいませんでした。

 そういう中で〈たのしい教育〉を推進することは簡単なことではありません。

 しかし同時に、その活動をすすめながらしみじみと〈たのしさの方向にこそ未来がある〉という実感しています。
 人間は〈たのしさ・楽しさ〉を求めています。苦しく辛いことを目標に生きている、という人はほとんどいないでしょう。多くの人たちが〈苦しさ辛さ〉に耐えることができるのは〈未来のたのしく豊かな日々〉を想ってのことです。
 本格的な教育内容を提供し、そのたのしみを味わうと同時に子どもたちに本質的な力を育てる。


 そのたのしい教育活動に全力投球する日々です。
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