パン作りなどで利用する〈ドライイースト〉をご存知でしょうか。酵母という目に見えない生き物を乾燥させて仮死状態にしたのが〈ドライイースト〉です。
スーパーなどで200~300円くらいで手に入ります。
中はこんな感じで粒状になっています。
ドライイーストというのは〈酵母菌〉を乾燥させたもので、水分を加えるとまた生命活動をはじめます。
こういう様に、一度生命活動を止めておくことを仮死状態と呼んでいます。〈仮の死〉です。本当に死んでしまったわけではありません。
映画好きな私はSFでそのシーンをよく観ます。
長い宇宙旅行の間、仮死状態でほとんどの生命活動を止めてしまうわけです。すると年をとりません。ある星に着くあたりで目覚めさせるわけです。
酵母菌など原始的な生き物は乾燥させるだけで仮死状態にできます。
植物のタネもある意味〈仮死状態:生命活動を止めた状態〉であると言えるでしょう。
そのまま何年も保存して、水につけると成長をはじめるわけです。
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そういう〈仮死〉の状態は人間の様な進化した生物では難しいものがあると言われてきたのですけど、実はすでに人間を仮死状態にする研究はかなりすすんでいます。
今の医療技術では治せない病気なども、未来の医療は治せる様になっているでしょう。その時まで仮死状態で維持しておくわけです。
「仮死状態にする」というと賛否はいろいろあるでしょう。
たとえば大怪我などで治療そのものや、治療に入るまでに時間がかかることがあって、その間に失血などで命が尽きてしまうことがあります。そういう場合に、一旦その患者を仮死状態にして生命活動をほとんど止めてしまい、治療システムを整えてから、仮死を解いて治療に入る、という方法はすでに動物実験で成功しています。
そういう科学の発展に「そこまで進まなくてもよい」あるいは「そんなに進むのは危険だ」という様な意見もあるでしょう。
反対だといういう人も、もしかすると、我が子の命がその仮死状態システムで救われるとなったら、その選択肢を選んでしまうこともあることでしょう。
反対するにしろ賛成するにしろ、重要なことは〈一般の人たちの知らない世界でそういうことがすすんでいく〉〈普通の人たちには理解できない様に情報をとどめてしまう〉ことです。
ある一部の人たちの意思で重要な研究が知らないところで進められていくことに歯止めをかけて、多くの人たちが賛否の意思を表示できる形で研究がすすめられていく必要があります。
そういうためにも、ごく普通の人たちが「こういう難しい話はわからない」と敬遠するのではなく、生物学的なことをたのしく深く学び、こういう「仮死」についても理解できる人たちがたくさん出てくる必要があります。
「仮死」についてのたのしい教材の構想もほぼ出来上がっています。
いずれ「たのしい教育Cafe」で発表しようと思っています。ご期待ください。
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