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板倉聖宣の発想の仕方/自由がよいのか統制がよいのか? 前編

 板倉聖宣の発想法について最新のメールマガジンの〈たのしい教育の発想法〉から少し紹介しましょう。

 毎週メルマガをとてもたのしみにしてくださっている方が多いのですけど、一見むずかしい雰囲気の漂う発想法の章も人気が高く、人間は哲学的にものを見ることに魅力を感じていて、納得できる様に伝えることができれば、それが好きになっていくのだと実感しています。
 時には私の様に仮説実験授業を学んで来た方たちから
「もう今はいない板倉先生の〈ものの見方考え方〉を丁寧に伝えてくれていることがありがたいです」という内容のメールも届きます、うれしいことです。
 板倉聖宣の弟子を名乗る私が、今でもその発想法を生き生きと学び続けていて、それはいろいろな方たちの〈ものの見方考え方〉にも寄与するものになっているのでしょう。

 板倉聖宣が元気な頃も、そして倒れて入院(入所)し時も何度もお会いしてきました。その影響は私の中にドシンと横たわっています。
 これは亡くなってすぐ後に、奥様の玲子さんからお話を伺い、写させてもらった遺骨遺影です。師の板倉聖宣はこういう飾ったポーズをすることはほとんどなかったので、これを選んだのかもしれません。

 

 最新号で紹介したのは〈1992年仮説実験授業研究会委員会〉の中で語った内容です。
 親や先生が、そして組織の中にいる人たちが意識していた方がよいことを伝えてくれています。またこの短いフレーズ中には板倉聖宣の考え方の特徴が表れています。

 今回は前編として、その語った内容を味わってみましょう。

  メルマガで紹介した一部です、読んでみてください。

板倉聖宣

〈自由と統制〉というと、みんな自由がいいと言うけれども、言葉を換えると「自由」というのは〈わがまま〉で、「統制」というのは〈調和〉です。
 わがままと調和とどちらがいいかというと「調和の方がいいな」という感じがするでしょう、そのことについて考えてみたいのです。
 自由と統制のどちらの側面が強く現れるかによって、違う展開になります。

 調和つまり統制をとろうとすると、それが束縛になって現れる。自由をとろうとすると〈過度のわがまま〉になってしまう。
 仮説実験授業研究会は今までは、わがままと自由が同じでよかったんです。
 他人との関係は気にしなくてもいい平和な時代でした。
 わがままが同時に自由だった。

 ところが組織が大きくなると〈そうだよね、自由がいいよね〉といって、わがままをいいすぎても困るよね、ということになります。
 でもそれは「言いすぎては困る」ということであって、わがままというのはやっぱりいいんです。

 だからといって「わがままが100%いいんだ」といってもらっては困る。

 子どもに限らず「こうしてはダメ、こうしなさいああしなさい」と言われるより「自由にしていいよ」といわれた方が心地よいものです。〈全く初めての場所、状況〉に置かれた時などは「こうしてください」という様な指示がありがたかったりします、が、それはまた別な時に。

 家庭でも学校でも、この〈自由と統制〉についての見方・考え方をしていると、一方的な押し付けを避けることができる様になると思います。

 自由がよい時も、自由が困る時もある。

 学校にはたくさんの決まりごとが多く、学校にきたらこうしなさい、掃除の時はこうしなさい、給食はこうしなさいという様なものが、きっと先生たちも把握できないくらいたくさんあります、私自身が「え、そういう決まりあったの?」と思う場面がなんどもありましたから。

 社会が進んだ今、人間は自分の人生を豊かにたのしく過ごしていくことが究極の目的だといってよいのだと思っています。その時、周りの人たちの笑顔・たのしさも必須条件です。

 この〈自由と統制〉に対する見方・考え方は、自分の人生そして周りの人たちの人生にとって大切なものであると思います。

 一度読んだだけだと「じゃあどうすればよいのか」と感じる人がいるかもしれません。
 しかし「簡単にこうだと言い切ることはできないのだよ」という見方・考え方が自分の中にあるか無いかだけで、ずいぶん違うものになると思います。

 前半は以上

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