私いっきゅうはたくさんの文章を書いているだけでなく、論文ドクターなどでたくさんの人たちの文章を添削しています。
学校の原稿用紙の使い方は〈新聞社〉の原稿の書き方を伝える様なもので、そろそろ改めてほしいと思っています。
学校で教えられた原稿用紙の使い方には
〈タイトルは2~3文字下げてから書く〉
〈苗字と名前の間は一ます開ける〉
からはじまって、うんざるするほどたくさんのルールがあります。
文章をたのしんで書いていく時に、そういうことを一つずつ確認していったらイヤになる人が多いと思うのですけど、どうでしょう。
がまんしてがんばって何とか書いてきた作文を、先生がみるなり
「段落のはじめなのに一時下げない」
「一番はじめのマスには〈、○〉を書いてはいけない」
というように、たくさん指摘され
「書きなおしてくるように」
と言われた時の虚しさ苦しさを味わった人は少なくないかもしれません。
特に〈読点 、〉の打ち方については先生自身も、その時どきで指摘の仕方が違っていてついていけません・・・
そういう窮屈な世界に比べて、本屋さんに並んでいる本は自由でした。
作家ごとに書きかたのスタイルがあって、しかも読みやすさはこちらの方が上だと思いました。
そもそも新聞記者のルールからのしばりや書き直しの世界にいる時は文章を綴ることは全くたのしくありませんでした。私が文章を書くことが好きになったのは、自由に書くようになってからです。
※
私が大切にしている一つが「美しいスタイルでつづること」です。
その一つを紹介しましょう。
・(中点)を打って箇条書きにする時がありますね、たとえば私が小学生の担任をしていた時に遠足のお知らせで書いたものをみてみましょう。
みなさん、今週の金曜日ははたのしい遠足ですね。体調をくずさないように、食事はしっかりとって、早めに睡眠をとるようにしましょう。
宿題が多くて遅くまでかかるという人は「体調をととのえるために宿題は半分しかできませんでした」と書いてくれたらOKです!さて、遠足の当日準備するもので、いくつか大切なことを書きます。
注意すること
・新しいクツで歩きたいかもしれませんけど、はきなれたクツをはきましょう
・ハンカチよりタオルがおすすめです
・チョコレートはとけるのでおすすめではありません
etc.
この後半部を、こう綴る人がいます。
注意すること
・新しいクツで歩きたいかもしれませんけど、はきなれたクツをはきましょう。
・ハンカチよりタオルがおすすめです。
・チョコレートはとけるのでおすすめではありません。
etc.
何が違うかわかりますか?
文章の終わりを示す句点〈○〉が加わっています。
ところで〈中点 ・〉はどういう役割をさせたくてつけたんでしょう?
「いくつかあるうちの〈一まとまり〉」として利用しますね。
〈この一文で一まとまりだ〉というのは〈・〉があるだけでわかるので「ここで文章の終わりですという句点〈○〉」を加えるのはダブっていて美しくないと私は感じます。なので〈 ・と 。〉はほとんど併記することはしません。長い文章が来てしまう時にはしかたなく途中で 。 をつけることがありますけど、できればそういう時には短くワンフレーズずつに分けるようにしています。
そもそも
・ハンカチよりタオルがおすすめです
・ハンカチよりタオルがおすすめです。
この二つのフレーズで意味が違って伝わりますか?
全く同じ意味として読み取ることができます。
なら、美しい方がよいと思うのですけど、どうでしょう。
美しさはたのしさに繋がります。
「 」の時も似ています、これで一つのフレーズ(文章)だというのはわかるのに、フレーズのうしろに〈 。〉を打たないとバツになります。
文章の最後には必ず句点がなくてはいけないと思っている人たちも、こういう場合はそれを打たないでしょう。
「こんにちは!」
「こんにちは!。」
句点は絶対ではないのです。
「私は〈 。〉があった方が美しいと感じる」ということで書いているなら、それはそれでよいと思うのですけど、それでも周りの人に「こうしなければいけない」というのは控えたほうがよいでしょう。私の文章スタイルで綴る人たちは文章のプロの作家の中にもたくさんいるからです、むしろ増えてきていると感じています。
これは最近私が読んでいる寺田寅彦の「旅日記」です。
会話は「 」の中に〈句点。〉はありません。ちなみに寺田寅彦は有名な科学者でありながら夏目漱石に師事した文学者でもあります。
そばにある「人間はどこまで耐えられるか」という本を開いてみましょう。ここにもカギカッコの中に句点はありません。
私は、自分が美しい気持ちよいと感じるように書いていく。そうやってまず文章を書くことへのストレスを減らしていくことが重要でしょう。
「原稿用紙に書くときもあるんだから、型を統一して教えた方がよい」という考えがあるかもしれません。
しかし「こうでないとバツです」という教育がどれだけマイナスであるか、それは誰の記憶にもいくつか残っていると思うのですけど、どうでしょう。
原稿用紙の書き方も教えなくては、ということはあっても「文章を綴る時、原稿用紙の使い方通りにやらなくてはならないわけではない」ということを伝えることは必要でしょう。だって、子どもたちが図書館で目にする書籍の多くは、原稿用紙のルールに従って文章を綴っているわけではないのですから。
そもそも、人間は機械と違って、いろいろな場面に対応できます。
きまりきまりの世界から自由に書くたのしさにシフトしてよいと思う今日この頃です。
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