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NHKテレビドラマ 村岡花子さんの英語

 今回の内容は,一般教養「英語」の学習にもなります。
受験生の皆さんは英語の部分を特に丁寧に読んでみましょう。
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 テレビはほぼ観ないので,NHKの「花子とアン」の中身は知らないのですけど,研究所のメンバーから,とても面白いのだと何度も聞かされていました。
その話の御陰で,ほんの少しだけ内容を知っています。

 さて最近は都会(那覇市)に出る機会が多く,某月某日,話し合いの合間に1時間ほど空いたので,デパートの本屋さんに行きました。
すると催事場で「村岡花子と赤毛のアン展」を開催していました。

 時間はあまりなかったのですけど,もちろん行ってみました。

スクリーンショット 2014-10-08 16.30.51

本もいろいろあったので,モンゴメリーの原書と村岡花子の訳したものを読み比べておどろきました。

スクリーンショット 2014-10-08 10.13.07

まず赤毛のアンを書いたモンゴメリーさんの文体が異常に長いのです。

私の英語力のせいもあるだろうけど,子ども達に向けて分かりやすく書いているようにも思えないのです。

始まりからして,この長さですよ。

Chapter I
Mrs. Rachel Lynde is Surprised

Mrs. Rachel Lynde lived just where the Avonlea main road dipped down into a little hollow, fringed with alders and ladies’ eardrops and traversed by a brook that had its source away back in the woods of the old Cuthbert place;it was reputed to be an intricate, headlong brook in its earlier course through those woods, with dark secrets of pool and cascade; but by the time it reached Lynde’s Hollow it was a quiet, well-conducted little stream, for not even a brook could run past Mrs. Rachel Lynde’s door without due regard for decency and decorum; it probably was conscious that Mrs. Rachel was sitting at her window, keeping a sharp eye on everything that passed, from brooks and children up, and that if she noticed anything odd or out of place she would never rest until she had ferreted out the whys and wherefores thereof.

セミコロン( ; )は元々,それで一文というようにも考えられるので,そこまでをワンフレーズだと考えても,でも長いなぁ。

花子さんも,私と同じ事を感じたのだと思います…独自に短くして訳してくれています。
赤毛のアンのヒットには,花子さんの文体が大きく作用していると思います。

モンゴメリー原文
Chapter I 
Mrs. Rachel Lynde is Surprised

Mrs. Rachel Lynde lived just where the Avonlea main road dipped down into a little hollow, fringed with alders and ladies’ eardrops and traversed by a brook that had its source away back in the woods of the old Cuthbert place;

このモンゴメリーさんの文章を,強引に直訳すればこうなったところです。

第一章 レイチェル・リンド夫人の驚き
 レイチェル・リンド夫人は,ちょうどハンの木やレディーズ・イヤー・ドロップの木が茂り,奥の方にある古いカスパート家の森を源とする小川が横切るアヴォンリー街道を降りたところにある小さな窪地のところで暮らしていました。

花子さんはこの固まりを,三つの短い文章に分けてリズミカルに訳しています。

スクリーンショット 2014-10-08 10.13.30

花子訳
一 レイチェル・リンド夫人の驚き
アヴォンリー街道をだらだらと下っていくと小さなくぼ地に出る。レイチェル・リンド夫人はここに住んでいた。まわりには,はんの木がしげり,ずっと奥のほうのクスパート家の森からながれてくる小川がよこぎっていた。
花子さんのこのセンスは,とても好きです。
たとえば…
「レディーズ・イヤー・ドロップ」という植物がどういうものなのか私もしらないのですけど,花子さんも知らなかったのでしょう。あるいは知ってはいても,日本にはなじみのない植物だったのかもしれませんね,原文にある単語を飛ばしてやくしています。

文章も読みやすいと思いませんか。
あの時代に,みごとな才能だったと思います。