学ぶ力|鬼怒川決壊を科学的にみる① 原子論的な見方・考え方|学び方コース

マスコミから流れる情報から遠い生活をしている私も、今回の鬼怒川決壊は、とてもつらいおもいをしながら見ています。
3.11の大地震の後、居ても立ってもいられず、気仙沼ではまだ炎が収まっていない状況の中、テントを背負って飛んでいった日の事を思い出しています。

被害でつらい思いをしている方たちの事を思い、こういう災害を少なくしていくために、科学的に物事を見ていくことのできる人たちが増えていくことは不可欠です。

「学び方コース」でこういうお話をしました。
少しその事を書かせて頂きます。

今回の鬼怒川決壊に関連して、『水の力はすさまじい』という言葉を異口同音に耳にしています。
これはしかし
『水』だから恐ろしい
のではなく
『大量の原子が絶え間なくぶつかってくる』
から恐ろしいのです。

小学校の理科で「三態変化」を学びます。
簡単にいうと、私達の周りの原子は、
温度の状態で「個体」「液体」「気体」の3つの状態に変化する
ということです。

そしてそのイメージを、こう説明している図をよく見ると思いますが、実はこれを見ていると勘違いしてしまいます。
スクリーンショット 2015-09-14 9.00.47 同じ体積なら、そこに存在する原子の数が同じように感じてしまうからです。

実は、「気体」と「液体・個体」では、そこに存在する原子の量が「とてつもなく」違います。

気体はすき間(真空)の中をわずかな原子が飛び回っています。

私が個人的に好きだという事だけでなく、「原子論を教育する時の原点」であると断言してよい絵本があります。
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もしも原子がみえたなら―いたずらはかせのかがくの本
(いたずらはかせのかがくの本 新版)

その中の絵を見てみましょう。

気体はこういうイメージです。
針の先でほんの小さくつついたよりももっと小さな一点を拡大してみましょう。
ずいぶんたくさんのすき間(何もない空っぽ/真空)の中をわずかな空気の原子・分子(原子がくっついた分子の状態)が飛び回っています。

スクリーンショット 2015-09-14 9.18.32

これは0.000001 cmを拡大してイメージした図です。これを見ているメディアによって表示される大きさが異なるので、詳しい方からすると「縮尺的に変だ」と感じる人もいるかもしれません。しかしあえて「こういう目でみたかの様なイメージを持つことができる」ということも「学ぶ力」です。

では、液体はどうでしょうか?
「液体」と「固体」では原子や分子(原子が組み合わさったもの)の量はあまり違いません。どちらも原子・分子同士が隣りどおしくっつき合っているからです。

液体のイメージはこうです。
ほんの一滴の水をさっきの様に拡大してみた図です。

スクリーンショット 2015-09-14 9.18.54

液体から少し離れて自由にとびまわりはじめたものが「気体」です。
気体と液体・個体では、そこに存在する量がとてつもなく違う、ということが伝わるでしょうか。

今回の項は今回の鬼怒川決壊で『水の力はすさまじい』という言葉を耳にするという話からはじまりました。
そこに戻りましょう。

たとえば家・建物にぶつかってくるものが「気体」の『空気』であった場合と「液体」の『水』であった場合には、「それが空気だから、水だから」ということではなく

◎絶え間なくぶつかってくる原子の量がとてつもなく違う
 ⇒ 破壊力が比較にならない程大きい

ということなのです。

たのしい教育研究所は『沖縄』にあります。
沖縄は海が近いので、大量の水が山から流れ込んで来ても、それが比較的早く海に流れてしまいますから、洪水の被害は少なくてすみます。
その沖縄では「台風」はとても大きな災害の一つです。
毎年の様に被害があります。
台風は「気体」のスピードが増加することに伴う災害です。

しかし水は「液体」ですから、もともと持っている破壊力がすごいのです。

防災に関して単純に比較はできないといいつつも、そのものが持つ破壊力ということで考えれば「より怖いのは液体が激突してきた時である」ということです。
そこに存在する原子の量がとてつもなく違う、つまり破壊力が違うのです。

液体がぶつかってくるという事は、原子の量で言えば、固体がぶつかってくる、つまり大きな岩石・土砂などが絶え間なくぶつかってくることとあまり差がないのです。

「津波」はこの液体が、台風並みのスピードで押し寄せてくるわけですから、さらにすさまじい破壊力になります。

小学校で学ぶ三態変化が『原子論』的にいきいきとイメージできる様になれば、ここで書いた内容であっても、小学校低学年の子ども達、いやもしかすると保育園の子ども達でも理解できる様になると思います。

たのしい教育研究所の授業は、そういう本格的なものを、子どもたちだけでなく、いろいろな方達に伝えたいのです。

今回は「学び方コース」で取り上げる内容を書かせて頂きました。
日を改めて、その②として「川の作り」から見た今回の災害について科学的にみていくことにします。

教育に全力投球
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たのしい教育研究所です

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  きゆな

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気持ちのゆとりも
たのしい教育で
「たのしい教育研究所」です

たのしい教育Cafe 今月も大にぎわい!

たのしい教育Cafeは、今月も大いに賑わいました。
新しい先生たちも参加して、総勢14名。
研究所のふた部屋いっぱいにイスと机を広げての開催でした。

たのしい教育Cafeで「それはとっても素敵なこと」という保健体育のプランを発表するために、昨日はかなり遅くまで準備をしていたので、睡眠不足でしたが、やはり「たのしさ」はそれを上回ります。

たくさんの人たちと、たのしい教育を深めていくことで、ますます元気にたのしい活動が進んでいます。

内容もたっぷりで、画期的なものにあふれていました。
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たのしい教育をたのしむ教師が着実に増えていることを実感する日々です。

たのしい教育が沖縄の未来をつくる!
その意気込みで活動している
「たのしい教育研究所」です

ものの値段/社会にも発明や発見があるというお話

今朝、ものづくりの材料を探しにと近くのスーパーに行くと、大好きなキャベツが158円と、だいぶ安くなっていました。
つい最近まで350円とかいう値段になっていましたから、半額以下になっています。
これだけ上がったり下がったりするものも珍しいですね。
野菜は、台風などの影響で突然、値が上がることもあるのです。

それを考えると「定価/値段が定まっていて、その時々によって上がったり下がったりしない」というのはとても素晴らしい発明だと思いませんか?
昨日買ったシーチキンは明日も同じ値段で手に入ります。
特に値下げとか値上げという場合でなければ、いつでも同じ値段で買うことができるわけですから。
台風が来ても来なくても同じ値段です。

東京は工場が近いから安くて、沖縄は遠いから高いということもありません。
考えてみると、沖縄まで運ぶために、かなりお金がかかります。
ですから、その分を値段に上乗せするということも考えられないことではありません。
なのに、どこで買っても、いつ買っても100円のシーチキンは100円なのです。

この「定価」という方法を発明したのは誰なのでしょう?
その人は、どの国の人なのでしょう?

みなさんはどう思いますか?

実は、世界に先駆けて「定価」という方法をとったのは日本人らしいのです。
江戸時代の呉服屋「越後屋」だと言われています。

越後屋は「現金かけ値なし」という宣伝で、客をとても増やしたということです。「かけ値」というのは、はじめに高い値段をつけておいて、客が「値引きしてくれ」といって来た時に、それから値を落としていく方法です。

「現金かけ値なし」ということは、つまり「いつでも定まった値段」ということです。
つまり「定価」ということです。

自然科学だけではなく、社会にも様々な「発明や発見」があります。
興味のある方は、仮説社の「社会の発明発見物語」をお勧めします。
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社会の発明発見物語 (新総合読本 (3))

たのしい教育の普及
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